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ドルインデックスとは/ドル安に終わった2020年

ドルインデックスとは、世界の通貨のなかでドルが高いのか安いのかを判断するためのインデックスだ。日常会話レベルではユーロドル相場だけをみてドルが高いのか安いのかを判断をすることがあるが、当然、これだけでドルの高安を判断することはできない。

為替というのは、他国通貨に対し対象国通貨が買い越されているのか、売り越されているのかでレートが決まる。たとえばドル円相場だけを見たとき、ドルを買って円を売る人が、円を買ってドルを売る人に比して多ければドル円相場は上昇する(円安ドル高になる)。

世界の通貨が円とドルだけであればドル円のチャートが上がってるからドル高だねとか、逆ならドル安だねといったことが言えるのだが、世界には円以外にも多くの通貨が存在する。ドル円相場でドル買いが進んでいたとしても、一方、ユーロドル相場ではドル売りが進行しているというのは為替相場ではよくあることだ。

つまり、世界全体でドルが買われているのか売られているのかを判断するためには、①すべての通貨を対ドルで見て、②何らかの基準を以ってドルの動向を判断(たとえば全通貨の半分以上でドルが買われていればドル高、逆ならドル安と)する必要があるのだが、そんなときに便利なのがドルインデックスだ。

①、②のプロセスでドルを指数化(インデックス化)し、「すべての通貨を見なくても、これさえ見とけばドルが高いのか安いのか判断できる」という代物だ。世の中には①、②のプロセスの違いで複数のドルインデックスが存在するが、基本的な方向感はどれも変わらない。インデックスなので90とか120という数値自体に意味はない。飽くまで、時点間でドルが高くなったのか安くなったのかを判断するためのものだ。

①、②のプロセスの違いとして、採用する通貨の数や種類、それぞれの通貨に対するウエイトのかけ方が挙げられる。主要なドルインデックスではユーロのウエイトが最も高い=ドルの高安はユーロに左右されやすいので、冒頭に挙げたようなユーロドル相場だけをみてドルの高安を判断するというのは理にかなっている部分もあるが、当然、正確ではない。

チャートを見ると、たしかに2020年ではドル安が進行したことが分かる。その背景にあるのは、主に米政策金利の切り下げドルの過剰感だろう。ご案内の通り、2020年は経済が落ち込み、その対策として米国では大規模な金融・財政政策がとられた。これは、突き詰めれば市場にカネ=ドルをジャブジャブに供給するということに他ならず、供給が多いものは売られるという当然の原理でドル安が進行した。

2021年もこの環境は変わらないだろうということで多くのアナリストが21年もドル安を考えている様子だが、そのような見通しに水を差すような米長期金利の上昇。筆者は21年はドル高となるのではないかと考えているが、果たして。

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