宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-32

 宅本健一・春子夫妻の葬儀は、武装した多数の警察官が警戒に当たる物々しい雰囲気の中で執り行われた。
 何しろ、侠元弁護士と、成金組組長の成金譲治、若頭の古鉄裕也らが出席するらしいといううわさが流れていたのだ。
 マスコミも彼らから、コメントを得ようと詰めかけていた。
 侠元弁護士が手にしている遺言書については、マスコミの間では既に偽造であるという結論で一致していた。
 それに対して、彼らがどうコメントするのかが注目されたのだ。
 黒塗りの外車が葬儀会場に泊まり、女形という風情の男が降り立った。侠元弁護士である。たちまちマスコミが群がった。
「侠元先生。遺言書に関してコメントをお願いします! 」
「あの遺言書は成金組が偽造したものだ! 」
「自白ですか? それじゃあ、宅本健一の遺産はどうなるんですか? 」
「私の子供のものだ! 」
「侠元先生――宅本保志先生に子供がいらしたんですね」
「当然だ。私の子供が代襲して相続することになる」
「失礼ですが、宅本保志先生。あなたに関して、ある疑惑が出ています」
「疑惑だと? 」
「宅本保志先生は無精子病だとの診断書が存在するそうですが。その点についてコメントをお願いします」
 侠元弁護士はギョッとしたように立ち止まった。それから、その質問をした記者に唖然として向き直る。
「な、なんだと……? 」
「無精子病です。つまり、あなたが女性を妊娠させる可能性は極めて低いそうですね。それなのに、どうして、子供が授かったんですか? 」
「どこから、そんな情報をほじくってきたんだ! 」
「それでは本当なんですね。無精子病だと。あなたの子供として認知した子は、実はあなたの子供ではないと? 」
 たちまち、記者たちから、いくつもの質問の矢を浴びせられた侠元弁護士は、直ちに車に逃げ込み、葬儀会場に入ることなく、立ち去った。
 その様子を建太郎と胡桃は会場の片隅で見守っていた。侠元弁護士の狼狽した様子に、二人はひそかにほくそ笑む。
「これで、やつらは、伯父さんの遺産を横取りできないだろうね」
 建太郎の言葉に、胡桃もうなずく。
「そうね。後は、宅本健一・春子夫妻を殺したのが奴らだということが分かれば、全員逮捕できるけど、時間がかかるでしょうね」
「ひとまず、伯父さんの遺産は俺のものだということで確定するわけだ」
「だからと言って、成金組の連中が捕まらない限り、安穏としてはいられないわ。連中が、宅本健一さんの遺産をこのままあきらめるとは思えないわ。いずれ、反撃してくるものと見て、警戒するべきよ」
「そうだな」

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※権利関係編は完結しています。今年の合格を目指す方は、先に読み進めてくださいね。


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