宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-37

「尤も、建太郎会長の働きぶり次第では、寄与分が考慮されたことも十分に考えられます」
「それはどうかな。何も知らない俺が、宅本・オーガナイゼーションのために貢献できたとは思えないけどなあ」
「いいえ。宅本前会長は、建太郎会長に期待していたようです。遺言書の続きをお読みください。遺産分割の方法について指定しているんです」
 遺産分割とは、相続財産を共同相続人の間で、その相続分に応じで分割することである。
 相続が開始しても、相続人は直ちに、遺産を売却したり、自分の名義に書き換えられるわけではない。とりわけ、相続人が複数いる場合は、その共有に属するとされ、抽象的な持ち分を有しているに過ぎない。
 
民法
(共同相続の効力)
第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
2 相続財産について共有に関する規定を適用するときは、法定相続分の規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。
第八百九十九条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
 
 この抽象的な持ち分を具体的に分ける手続きが遺産分割である。遺産分割の基準として民法には次のような定めがある。
 
民法
(遺産の分割の基準)
第九百六条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
 
「宅本前会長は、『株式会社 宅本・オーガナイゼーション』の経営は、建太郎会長に引き継がせるつもりでいたのです」
 琴美がそう語った。
 遺言書を読むと確かにそのような趣旨が書かれていることが分かる。『株式会社 宅本・オーガナイゼーション』の経営は建太郎に、妻の春子、末子の美羽には、優良な賃貸物件をいくつか――、生活に困らないだけの賃貸収入を得られるという程度の遺産しか相続させない。というつもりだったらしい。
 億単位の遺産ではあるが、『株式会社 宅本・オーガナイゼーション』の経営権に比べれば、微々たるものである。
「もしも、この遺言書どおりに、遺産分割が行われていたら、春子や美羽の遺留分を侵害していたんじゃないの? 」
「そうならないように、生前にかなりの額を奥様やお嬢様に贈与し、特別受益を与えておく予定だったようです。結局、そのような手配をする前に、今回のような事態になってしまったのです」
 遺言書によって、相続分を指定することを指定分割という。民法には次のようにある。
 
民法
(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第九百八条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

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