宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-40

 賃貸マンションのエントランスには、『タクモト・パレス』の金文字が飾られていた。宅本・オーガナイゼーションが全国で展開している賃貸マンションのブランド名である。
 建太郎がこのマンションを訪れた理由は、宅本・オーガナイゼーションの従業員の仕事を覚えるためだった。
 まずは、賃貸マンションの管理や運営から始めようというわけである。
 管理人室に入ると、管理人に扮して席に付いた。宅本・オーガナイゼーションの会長兼社長の地位にある自分がこんなところにいるとは誰が想像するだろう。と建太郎はひそかにほくそ笑んだ。
 琴美が早速、最初の仕事が書かれたファイルを手渡してきた。
「今日は、とある女子学生さんが入居の手続きのために訪れることになっています。建太郎さんには賃貸借契約の締結の仕事をしていただきます」
「賃貸借契約の締結って、仲介業者の仕事じゃないの? 」
「一般的な賃貸マンションでは、宅建業者が仲介しますが、『タクモト・パレス』が、宅本・オーガナイゼーションが直接運営し、借主も直接募集しています。仲介業者が入らず、仲介手数料は無料というのが売りです。そのため、賃貸借契約の締結は、管理人、コンシェルジュの仕事なのです」
「なるほど。そういうことなのね」
「今回、来られるお客様は、未成年者の方です。何が問題になるかお分りですよね? 」
「未成年者ということは、制限行為能力が問題になるんだよな? 」
 建太郎がつぶやくと、胡桃が身を乗り出してきた。
「制限行為能力の三つのキーワード。すぐに思い出せるかしら? 」
「行為能力、権利能力、それから、意思能力だよな」
「その違いを説明できるかしら? 」
「行為能力は、単独で完全な法律行為――契約、単独行為、合同行為――を行うことのできる資格のことだよな。この資格に制限がある者のことを制限行為能力者といい、未成年者がその代表例だ」
「どうして、未成年者は、行為能力が制限されているの? 」
「簡単に言えば、人生経験が少なくて、老獪な大人にだまされやすいからだろ。いざという時は、簡単に取引を取り消せるようにして、未成年者を保護しようというわけさ。それに、制限行為能力者の範囲を決めておくことで、大人の側としても、いつ取り消されるかビクビクしなくて済むようにしようというわけさ」
「そのとおりよ。よく分かっているわね。じゃあ、権利能力って何かしら? 」

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※権利関係編は完結しています。今年の合格を目指す方は、先に読み進めてくださいね。

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