二十三日目以降

 腕のだるさ、痺れは、時々思い出したように発生する。常時不具合を感じて不快だった頃からは随分良くなったが、これってやがて、すっきりと消えてなくなるのだろうか…と僅かながら不安が付きまとう。
 無くならないのは咳だ。元々、風邪などを引いても、一ヶ月程度続くことはよくあった。喉の痛みは全くないが、突発的に発作のように咳が止まらなくなる。痰が絡んだようなときもたまにはあるが、殆どが空咳。問題が気管にあるのか肺にあるのかもよくわからない。癖のようになっていると思わなくもないが、出たら止まらなくなるし、マスクをして布団に入っても、うとうとし出すと何だか喉をくすぐられているような痒みを感じて咳き込んでは、止まらなくなる。お陰でちょっとした転寝が全く出来なくなった。
 寒暖差の激しい気候のせいもあるのかも知れないが、ちょいちょいと風邪をひきやすくなった。コロナは肺炎の一種。風邪はまた別物ということなのか、コロナに罹ったからといって風邪に耐性が出来るというわけではないらしい。後者の症状は、主にくしゃみ鼻水。プラス風邪症状か後遺症なのかわからない咳が起こる。何だか滅茶苦茶だ。
 予定通りやって来た生理で、生理痛もやって来たが、今回は下腹部痛にも太腿痛にも悩まされなかった。生理を起源に起こりやすいそれらの苦痛が、生理とは関係なく起こったコロナ発症後の約一週間。鎮痛剤を手放せなかったのが嘘のようだ。起因するのは疲れやストレスのような気もしているから、大分体力が回復したということなのかも知れない。コロナに罹ったお陰で、全ての根源である下腹部の爆弾が消えてなくなった…ということは無いと思うが、翌月末の三ヶ月検診で「影も形もありませんよ」ということになったりしたら、それはそれでコロナの良い面での成果が医学界に変革を齎すかも知れない。きっと夢物語に過ぎないけれど、そんな風に考えていたら、定期検診がちょっと楽しみになって来る。
 丸一ヶ月を経たら、後遺症もすっきりと治るのではないかと思っていた。罹ったのは丁度月初めで、今月が終われば全て元に戻るかも知れないと…。
 いつもは当たらない占いが、ばっちり当たったので脅威した今年の十月。予言通り体調を崩した原因が、予想していた旅疲れでなく、社会的な感染症であるコロナだったことは驚くべきことであった。流行には乗らない主義。また、乗れない性質でもある。そうなろうとしてそうなったのでもないし、気付けば自分はそうだった…というだけ。身体も強く、インフルエンザでさえ無縁だったから、私は大丈夫だと高を括っていた。がしかし…疲れや免疫力の低下は、良くない意味でのミラクルを引き起こす。食べられても寝ていなければ体力は落ちる。その上、過酷なスケジュールに埋没していると、気は張っていても身体は悲鳴を上げるのだ。年を重ねていても、体力が落ちたとか、身体が疲れやすくなってきた…といった自覚はない。唯、無理は禁物。そして、ニュースが耳に入り辛くなってはいても、人の多いところでは、マスクを手放さない方が良い。まだまだ気を付けなければならない。
 月を跨いで間もなく一週間が経つ。すっきりとは消えない咳よ。せめて年内には、幻だったと思わせて欲しい。

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