二十日目

 雨だからハローワークに…と思ったのに、午前中に降らなかったせいで、母は畑へ行き、私は家事労働となる。
 食欲が復活して以来、やたらとラーメンが食べたかった。帰省から帰る日の晩、SAで食べたのは、その時からちょっと調子がおかしかったせいか、しっかりこってりのを食べたい気になれず、一番あっさりしていそうな鯛だしのを選んだのだが、鯛の匂いと風味がきつくて、ラーメンを食べた!という満足感には繋がらなかった。そもそも本当は、その時、ラーメンの口ではなかったようにも思う。海風がきつく、ひんやりしていたので、あったかいラーメン…と思ったのは事実なのに、美味しく食べられなかったのは、それが美味しくなかったからだというわけではなかったのだ。普段通りならきっと、鯛だしもあっさり風味も、堪能出来た。そんな風に思えて仕方がない。
 ラーメンが食べたい。しかも、ちゃんぽんみたいに野菜がどっさり乗ったやつ!
 母娘で何故か、望むところが一致して、数日前から近所のラーメン屋を片っ端から下調べしていた。結局、過去何度か行ったことのあるラーメン屋へ行くことになったのだが、連日の夏日と、ご近所からおかずをもらうなどして、食べるものの優先順位がどんどん後退し、今日になった。迷った結果注文したのは、野菜どっさりのちゃんぽんみたいなのではなかったが、迷ったもう一品の方が希望に近かったと注文後に気付いて後悔した。美味しくいただき満足はしたが、年末までにリベンジしたい。割引クーポンもらったから、使わないと。
 応募書類送付用の切手購入、健康保険料の払い込みを母に任せ、私は楽譜のコピーを取りに行った。
 お腹が満たされた後、母を自宅まで送り届け、私は車から下りずにハローワークへ行った。窓口には三人。利用者は私だけだったのに、検索している間に二人来て左の二席が埋まり、私は何度か担当してもらっている右端の方になった。
 クールな女性だ。もう顔を覚えられてしまった。しかしこの人で良かった。仕事がとても丁寧で、クールだが親切。初めて来たとき、左の二人も空席だったが、この方が積極的に声を掛けて呼んでくれた。以後、ずっとこの方に対応してもらっている。
 今日みたいに、空席なのに順に埋まり、最後に残ってお願いする…というパターンを経験すると、縁の不思議を感じる。何かに操作されているような…そんな経験が、年を重ねるにつれ増えているような気がする。意識の問題なのかも知れないが。
 仕事探しは疲れる。プレッシャーや将来への不安、受けても落とされる…という、負の経験を重ねたことによるストレスが、一緒くたになるからだ。これは私が頑張っていることの一つだと割り切って、帰りにはご褒美を用意する。
 今夜は外食に頼る。昼はラーメン。夜はスーパーの総菜。お茶するためにケーキも買った。食べてなくなるものは後に残らないが、心は満たされる。食べるとは生きることだから。
 窓口に座っている間も、腕のだるさと痺れは交互にやって来た。だるさより痺れが勝るというのは、勝手に良い傾向だと思っているが…果たしてどうなのだろう。

 

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