十一日目

 コロナに罹ったために、帰省から戻って数日中に行く予定だった映画を観損ねていた。いつものように二本立てしようとしていたうちの一本が、公開からひと月も経っていないのに明日で終わるとわかって、せめてそっちだけでも観に行こうと腰を上げた。
 映画は面白く、行って良かったと思えたが、下腹部と太腿の痛みは変わらずロキソニン頼りになり、体力が追い付いていないことも実感する。また、変に便通が良く、何か口にする度、トイレに駆け込まねばならない有様。結局一日5回も6回も個室で長居した。
 いつも映画のお供にするジャンクフードを、この日は注文しない選択も考えていた。食欲が戻っていない。しかし食べながら観る…という長年の習慣を、食欲がないことで放棄することで、鑑賞中落ち着かなくなり、また、反って集中できなくなったり、急にお腹が鳴りだしたりすることを懸念した。食べられなかったら持って帰れば良い…そう思って調達。結局完食し、エンドロールぎりぎりまで粘ってトイレに駆け込んだ。
 
 図書館にも行った。
 銀行にも行った。
 カラビナと消臭芳香剤を求めて百均を梯子し、「あっさりしたものが食べたい。お寿司なら食べられるかも…」という母の要望に応えて、スーパーも梯子した。
 帰る頃にはお茶の時刻になっていて、かといって重いものはジャンクフードで凝りていたから、何か喉越しの良いものを…と、シャトレーゼに寄った。プリンでも買って行こうと思っていたが、何故かいつもは買わない杏仁豆腐にした。舌が欲するものが、感染症に罹ったのを機に、違えてしまったのかも知れない。実物は好きだがスイーツに使われていることに対して興味をそそられない、シャインマスカットのソースが乗った杏仁豆腐だった。
 映画館で久しぶりにコーヒーを飲んだから、おやつのお供はC.C.レモンにした。このところ炭酸ジュースが飲みたくなる。買い置きは無いが、隣人からのお裾分けが冷蔵庫を占拠していて、旅のお供に帰省時、保冷ボックスに入れて行ったのに一本も捌けなかったせいで、全て冷蔵庫に出戻っていた。それもコロナのお陰で空になった。
 
 翌月中旬に、淡路島で行われる犬種別のオフ会に参加しようと思っていた。しかし参加申し込みをする前にまさかのコロナ。回復に向かってはいるが、思いの外、身体はしんどく、しかも十日を過ぎてまだ不調が続く。行きたい気持ちが勝るのに、丁度一ヶ月後のその日までに体調が戻るのだろうか…と心配になりつつ、参加の連絡を入れたら、翌日には申し込みを締め切る予定だったと知って慌てた。
 一ヶ月後の日帰り旅が、健康回復の目標になった。
 参加申し込みを知った同胎のなぎさくんから(正しくはそのオーナーさん)から、スタンプが送られて来た。そもそもこのオフ会を知ったのは、なぎさくんのInstagramの情報だった。同じ関西に住む三男くんと、いよいよ会えるのかも知れないと思ったら、一気に力が湧いた。

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