二十二日目

 目指すところは午後からのドッグラン。家事労働、キッチンでの作業、調べ物に投稿に、ひとしきり数を熟しているうちに、疲れが出てしまい、がっつり昼寝してしまった。
 今日は天気、予報通りらしい。ドッグランに行ける。が、しかし、大物が手付かずのままだ。応募書類に着手していない。流石に週末のうちにポストに入れなければ、受け取る側も「こいつは書類を寄越すまで、どれだけ時間を要するのだ」と良い印象を持たないだろう。応募の連絡を週の終わりに持って行ったのは、タイムラグを狙ってのこともあるのに、週が明けてしまっては元も子もない。
 昼食後、一心不乱に没頭した。3時には出発したい。元来、焦らされるのは好まないが、追い込まれると必死になるのも特性である。結果、目標のタイムに間に合った。しかし、昼寝の佳境に入った母の準備が遅れ、出発はその分、遅くなってしまった。
 道中の車内、ずっと緊張していた。息が荒い。何処に連れて行かれるんだろう…と、不安に感じているのが伝わってくる。犬は一睡もしなかった。
「ランに行くよ」とは伝えていた。丸い目を向けて、行くのを喜んでいるようにも見えた。しかし車に乗る準備をしているのを見て、〝話が違う〟と思ったようだ。話は違わない。唯、暑くなってから何ヶ月も行けていなかったので、ランがどんなところか忘れてしまったのだと思う。
 無理して囲いに入らなくても良いと思っていた。ちびの頃、何度か噛まれたせいで、運動場みたいなランの囲いの中ではずっと尻尾が下がっていた。友達が出来て一緒に遊べることもあったが、ゲートの傍からなかなか離れず、誰かが出入りする度に、ひとりで出て行こうとした。囲いの外の芝生広場で、リードに繋がれて散歩する方がテンション高く、楽しそうだったから、それだけでも良いかと思っていたのに…。自ら囲いの中に入ると言った。入ったら入ったで、ずっと尻尾が上がっていた。誰かと遊ぶわけではなかったが、ゆっくりぐるりと一回りし、時々他の子に匂いを嗅がれて、ゲートの傍に戻って来たら「もう出る」と自己申告した。尻尾、一度も下がらなかった。
 芝生広場を抜けて、海沿いも歩いた。時間が足りないくらいだった。
 帰りの車内では少し寝た。おやつも食べて、後は帰るのだとわかったから、安心したのかも知れない。帰った後も、ちーくらいはするかもと思って散歩に連れ出そうとしたが、歩かなかった。食後、くるくる大回転が始まり、時間も早かったので散歩に連れて行くと、ばったりキュウちゃんと出会う。結果的に、とても良い日になった。
 良い日になって気が紛れただけかも知れない。しかし、気が紛れるくらいまでは、回復に向かっていることなのだと思う。今日は後遺症が殆ど気にならなかった。

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