十日目

 下腹部と太腿の痛みが続き、ロキソニンが止められない。我慢しない方が良いと言われているから、我慢せずに薬を飲む。母の中に在る、「鎮痛剤は飲み過ぎない方が良い」という思い込みだけが私を追い詰める。友人知人曰く、筋腫はやはり取った方が良いらしい。取っている人が多いと言う。しかし手術による他の臓器への癒着や悪影響がリスクとなるから無暗に執刀しないのだと、私は調べて納得している。どちらが正しいかなんてわからないけど、こちらは医者に罹り、医者と相談して様子を見ているのだから余計なことで惑わせないで欲しいと思う。こんなことで疲れてしまう。苛々してしまう。早く日常に戻りたい。
 散歩に出たが、住宅出入り口から動かなかったので、そのまま戻る。
 掃除が何とか出来るほど元気になったようだが、私以上に食べられていないせいで体力が落ちている母は、その後、くたびれてベッドに倒れ込む。体力の回復は、やはりちゃんと食べられないと難しい。
 洗濯と風呂掃除を済ませ、今朝も回転焼きがメインになった。その後、ダウン。横にはなるが眠れないので、借りて来たエッセイ漫画を読む。腹が捩れた。
 二度と戻るつもりのない職種、業界を描いた漫画。しかし背中に冷たいものが流れる思いがする。面白可笑しくて仕方がないのに、その裏で経験した闇に、戻らなければ仕事になんて就けないのではないか…との強迫観念に囚われる。弱っている時に更に弱りそうな思いに圧し潰されそうになる。現状を回復すること。そこに集中しなければ…。
 母が少し食べられるようになって来たので、昼はにゅう麺と残りの副菜でちゃんと摂った。収穫した後、納戸に干したままにしていたサツマイモを段ボールにまとめ、雨でほったらかしにしていた畑へ収穫しに行く。生ゴミも溜まっていたので畑に埋めた。
 太陽を浴びたら少し元気になった。水やりはせずに済んだ。雨、太陽、どちらも今の私には恵みだ。
 暑くて喉が渇き、極小缶のラムネとC.C.レモン。そしてアイスバーでおやつ。コーヒーに戻す道は遠い。
 夕方散歩はわんわんデーになった。久しぶりにワープする。涼しい風に吹かれながら迷いなく歩いた先には、そらちゃんにすーちゃん、そしていなりちゃん。挨拶しかしなかったが、ラッキーくんも行ったり来たりした。向かいの公園に戻ったらビンゴとエルちゃんの真っ黒わんずと鉢合わせ。何とも幸せな夜になった。
 太陽とわんこからパワーをもらえたせいか、食べる前に調理した。時間があった、材料もあった、だから出来たとも言える。オクラの肉巻き、冬瓜の水晶煮、焼き茄子、みかんと梅ジュース。お酒は未だ飲む気になれない。量は少なくても、母も通常の食事を口に出来るようになってきたから、作り甲斐もある。

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