あれから2年が経つ。

一緒に自転車で走った兼六園の周りや、
高校生みたいに過ごした海岸、
ちょっと古風なリゾートホテルと美味しい朝食。

俺様でいつも自分が正しいと思っていて、
でも人一倍優しいあなた。

昨日のように覚えているのに、
ドアを開けたらあなたがいそうなのに、
でももう2年も前のこと。

あの時私が一日早く連絡していたら？
あの時あなたが一日遅く彼女に連絡していたら？
たったそれだけのことが、運命の歯車を外してしまった。

別れたのに想い続けるのは愚かなことですか？
彼がいるのに想い続けるのは罪なことですか？

あなたはこの春結婚する。

私は私の一部をあの季節に置いたまま、歳を取る。
　
私は、優しいあの人をあなたにしようとしている。
あの人は、あなたを超えることが出来るだろうか？
過去においてきた私は、今の私の一部になることができるだろうか？

昨日のことのように覚えているのに、
もう2年前のこと。

季節は巡り、私はまた私を置いて歳を取る。