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⑨告別式(出棺まで)

通夜の夜、マジで喪服きて化粧したまま風呂も入らず爆睡してしまい起きたら7時だった。
孫代表の挨拶文を請け負っているのに!!弟から催促のラインが来るのを内心焦りつつ応答し、文章を作る。こんな感じで昔から弟の読書感想文や税の作文を請け負って小銭を稼いでいたのだ。父が亡くなろうと何も変わらない。ただし今回は大サービスでお代はいただかなかった。
孫代表の言葉と言いながら父の人柄が忍ばれて書きながら涙がでてくる。あんなに暴君だったのに!!死んでしまえば良いことばっかり思い出される。

無事に文章を作成しおえ、ばたばた支度をしてセレモニーホールに行く。こんな日に限って末っ子はわがまま。
そして叔父をホテルに迎えに行った夫も叔父を連れてセレモニーホールに。
夫が耳元でささやいた。
「叔父さんに、どちらさんでしたかといわれた…」
マジか。これほんまもんやん。
まじかーとブツブツ言いつつ甥っ子に孫代表挨拶の清書をさせる簡単なお仕事。

告別式自体は、セレモニーホールの隣に家がある幼馴染がおばさんと二人で来てくれた以外は家族と親戚だけのこじんまりしたもので昨日ほどのバタバタもなく滞りなく進んでいく。

誤算だったのは、お経が昨日と違って激しく、鈴がじゃんじゃか鳴らされるので、聴覚過敏のある次男が具合が悪くなってしまったこと。通夜は大丈夫だったからすっかり油断していた。真宗、やはり侮れない。

出棺までの最後の時間。

昨日そば屋の女将さんが届けてくれて、さっきまで冷蔵庫に入れていたうなぎ弁当は結構な主張をして父の胸に鎮座している。
耳の横には大相撲の番付表もある。
たくさんの花を体の周りに埋め尽くす。
父を喪る儀式が終わりに向かって進行していくのを感じる。

父と母は霊柩車に乗り、私達はマイクロバスであとに続く。
斎場まで車で10分かからない。
実家から1.5キロ圏内ですべてが済んでしまうナイスな立地。
斎場までの道のりは父が運転していた頃によく近道で使っていた道で生活圏内で空に昇っていくのだなあとしみじみする。

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