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ルールを作る側になるには

自動運転技術の開発競争

自動運転技術の開発が急ピッチで進められている。
自動車メーカーだけでなく、GoogleやAppleそして家電メーカーまでもが開発に取り組んでいるという。
いよいよ「車って何?」という感じで、車の定義さえも難しくなってきた。

各メーカーが目指すのは自動運転技術を活用した車で、いち早く市場を獲ることだ。


世の中の基準(ルール)を作るのは誰か

公道を走れる車には、一定の基準があり、この基準を満たした車だけが正規に販売を許される。
つまり、どんなにカッコいい車でも、どんな最新の安全システムを搭載した車でも、基準に適合していなければ、販売はおろか道を走ることさえできないのだ。

では、その基準はどのようにできたのだろう。

自動車ができる前、お金持ちが使っていたのが馬車だった。
やがて燃料で動く自動車が開発され、T型フォードの登場と共に、自動車は一般に普及した。

「自動車の基準」は自動車が誕生する前には存在しなかった。
当然だ。そもそも自動車がこの世に存在しなかったのだから。
自動車の基準は、自動車が普及してからできた。その後の技術の進歩にあわせ、基準も見直され続けて、現在に至っている。


技術ができてから、基準はできる。
技術が進歩してから、基準は見直される。

当たり前すぎる。
でも、ここがすごく大事なところ。

基準すなわちルールは、最初にできた技術(=先行者)に合わせて作られる。
先行者は自らルールを作れるのだ。

どんなゲームだって、他人が決めたルールより、自分にとって都合の良い“特別ルール”の方が、勝つ可能性は高くなる。

だから、新しいものを作る場合には、最高のものを作るより、まずは誰よりも速く、より良いものを作り、それを世の中のルールにすることが大切だ。
最高のものは、世の中のルールを作ってから、じっくり作りあげればいい。
もし、君が最高のものを作ろうとしている間に、他の人が世の中のルールを作ってしまったら、完成間近の君の最高傑作も、そのルールに合わせてやり直さなきゃいけなくなる。

一番最初に、成功をおさめることは大事なんだ。


「先行者なんて目指すもんじゃない」と大人は言うが

先行者を目指す!
君が宣言すると、大人たちから、こんな答えが返ってくるかもしれない。

先行者は、時間とお金がかかる上に、失敗する可能性まである。失敗したらどうするんだ。
先行者なんか目指さなくても、ルールが出来てから参入し、先行者の技術を真似て応用した方が確実に成功する。と。

その意見に耳を貸すかどうかは君次第。
ただ、もしその大人が先行者になるための挑戦をしたことがない人だったり、挑戦を諦めた人だとしたら、全く参考にならないから要注意だ。
「はーい。ありがとう」と聞き流そう。


昔の開発は、博打(バクチの意味がわからなければ調べてみて)に近かったと思う。大成功か大失敗かのどちらかにしか転ばない。
そして、先行者を目指すのは、一発を当てようとギラギラした変わり者が多かった。変わり者が世界を変えるのは、今も昔も変わらないか。
きっと大成功を掴んだ人より、失敗をした人の方がずっと多かっただろう。


先行者を目指すことを否定する大人たちの思考は、「先行者を目指す=失敗する」


先行者を目指すのには良い時代

これからは、先行者を目指すには絶好の時代だ。と僕は思う。

自分の好きなこと、得意なことを、好きなようにしたいのならば、先行者を目指してみると楽しいんじゃないかと。
しかも、昔とは違って、今は先行者を目指すチャンスに溢れている。

チャンス1
ルールの賞味期限が短くなった。

ルールにはそのルールが通用する期間(賞味期限)が存在する。それは、簡単に言うと新しいルールができるまでの期間だ。
ルールを作った先行者は、ゲーム序盤は圧倒的な勝利を掴むことができる。しかし、後から優れたものが出てきたら、追い越されることがある。ひとつのルールの賞味期限が何十年と続く時代ならば、後から参入しても先行者を追い抜き、その後の市場をリードする期間が十分にあった。
しかし、テクノロジーの発展と共に、様々な物事の技術革新のスピードはとんでもなく速くなっている。それと同時に、ルールの賞味期限はどんどん短くなっている。
つまり、後続が追いつく前に、新しいルールが生まれる。もしくはせっかく追い抜いても、すぐに次のルールが生まれるので、追い抜いた側はうまみを十分に味わうことができない。先行逃げきり勝ちの確率が高くなった。


チャンス2
誰でも先行者レースに参加できるようになった。

昔は先行者レースに参加するには、人生を賭けた大勝負に出る必要があった。
今は大きなお金や時間を投資しなくても、自分の頭で物事を考える力と知識、アイデア、そしてわずかな協力者がいれば、先行者レースに参加することができる。
世の中に出すまでの過程が変わったからだ。昔は完成品を出して、結果は成功か失敗かの二つに分かれた。
今は、ある程度の試作品を少しだけ世間に出してみて、その反応をみる。反応を元に修正を加え、改良版をまた世に出す。その繰り返し。
小さな成功、小さな失敗を重ねながら開発するので、世間の求めているものに近づくまでの時間が短くなっただけでなく、これはうまくいかないと思ったら途中で撤退しても痛みが少ない。


チャンス3
先行者を目指す変わり者は少ない。

新しいことを始める人が最初から世間に称賛されることは珍しい。変人扱いされたり、時に批判される人の方が多い。これは昔も今も変わらないように思う。
だから変人扱いをされるのを嫌う人は、先行者レースからすぐに離脱する。批判されても、自分を信じて進み続けられる強さを持っている人は少ない。
レースの参加者が少ない、あるいは途中でリタイアすると、残った者にとって勝つ率は上がる。
最後まで自分の道を信じて進んだ人だけが、先行者になる権利をもっているわけだ。


宿題

最後に、冒頭に書いた自動運転車の開発レースについて、どこまで開発できたらルールを作れるだろうか?
君なりに考えてほしい。


僕の考えをまとめておこう。

自動運転を可能にするシステムを、今は各社が独自に設計している。
ルールをつくるための条件は、一番最初に、安全にどんな道でも走れる車を世に出すこと。燃費や速度は関係ない。部分的に手動で操作するのではなく、緊急停止以外、車庫入れまで完全に自動で運転してくれる車を販売すること。
この条件を満たした自動車が、普通に道路を走るようになると、「自動車」の基準(ルール)は、「手動運転車」と「自動運転車」に分かれると予測する。
運転免許証にも、「自動運転限定免許」が生まれるだろう。
僕は、車については素人だから、参入しないけど。


君も、君の得意な分野で、新しいルールを作ってみないかい?


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