見出し画像

GWと四葉のクローバー

去年のGWもコロナ禍、緊急事態宣言の真っ只中だった。私は、在宅勤務と自宅保育の両立は不可能だと気づき始め、進まない仕事を「GWだから」という理由で一旦手放せることが嬉しく、毎日、子供達と共に人がまばらな川沿いや海辺に赴いた。子供たちも、持て余したエネルギーを発散するように走り回って、とても良い気分転換になった。"気分転換"なんて軽い気持ちだったのは、「来年は、例年通り両家の祖父母のところに遊びに行くのだ。」と信じて疑わなかったからだ。
まさか、今年も同じ状況になるとは。しかも、より深刻さは増し、「コロナ」という存在は、影のように私たちの後ろにピッタリとくっついている。

今年の4月に入ってから、私、娘、息子と次々と体調不良となった。コロナではなく、ノロだ。冬に多いはずのノロウイルスが、なぜか4月になってから保育園で流行り、娘と息子が次々と感染した。そして、ノロがひと段落したと思ったら、次はRSウイルスだった。昼夜咳をする娘から私へ、そして娘の遊び相手の息子が感染したのが4月後半。パパイヤ期のおかげなのか、夫だけはノロもRSウイルスにも感染しなかったのが幸いだったが、私はGWにたどり着くまでヘトヘトになり、GWに入ってもしばらく家に引きこもっていた。

GW後半に入って、ようやく気力が湧いてきた私は、急に思い立ち、「猫たちのカリカリ(ドライフード)もなくなるし、天気も良いからホームセンターに歩いて行こう。」と夫に提案した。そしてバタバタと準備をして、家族全員で出発した。ホームセンターまでは一駅先程度の距離だが、娘も息子も私と引きこもっていたから、ご機嫌だった。息子は道端の虫・草花を見つけては「これは何?、あれは?」と次々と質問し、娘は時々「抱っこ」をせがんだが、一生懸命歩いた。ホームセンターに着くと、せっかく来たからと、色々衝動買いをして、ほくほくした気持ちでホームセンターを出た。
それだけでも楽しかったし、私たちはそれぞれたくさんの荷物を抱えていたが、「お弁当を買って、公園で食べよう」ということになった。昼過ぎの公園にはほとんど誰もおらず、風が少し強く肌寒かったが、ベンチに座って家族でお弁当を食べていると、ようやく、GWを過ごしている気分になった。

食事を終えた子供達に付き合って公園を走り回っていると、この公園には白詰草が群生していることに気がついた。夫は先に気がついていたらしく、しゃがみこんで四葉のクローバーを探し始めていた。私も子供たちも夫に続いてしゃがみ込み、みんなで探した。
「見つけた!」探し始めて5分程度、私はあまり形は良くなかったが、四葉を見つけた。その後は、すぐに飽きてしまった子供達にせがまれて白詰草の冠作りに移行した。夫は根気よく探し続けたが、子供達が遊び疲れてしまうまでに四葉のクローバーを見つけることは出来なかった。

たくさんの荷物と、もう歩けなくなってしまった娘を抱えて、みんな疲れ果ててしまったが、久しぶりに太陽の下でごはんを食べ、走り回り、とても心がすっきりとしていた。

帰宅して、荷物の片付けと子供たちのあれこれでバタバタして、一息つこうとテーブルの側に行くと、私が無造作に買い物袋に入れた四葉のクローバーは、折った部分を湿らせたティッシュで丁寧に包まれてテーブルの上に置いてあった。
「萎れちゃってたから、これでちょっと回復するかなと思って。」と夫が言った。四葉のクローバーといっても、雑草だし。という軽い気持ちだった私は、思いのほか丁重に扱われていた四葉のクローバーを見て、申し訳ない気持ちとともに、夫に対して「きっとこういう人に幸福が来るのだろうな」と思った。

少し回復した四葉のクローバーは、押し花にすることにした。完成したら夫にあげよう。
今日の楽しかった事を思い出せる様に。そして、いつまで続くかわからない閉塞した日々でも、暖かな気付きをたくさん教えてくれる夫には、これからもずっと幸せでいて欲しいと思う。

この記事が参加している募集

休日のすごし方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?