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イブの悲劇

娘が高校の頃の話である。忘れられないクリスマスイブである・・・。

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イブの夜は晴れて、星が瞬いていた。いい夜だ・・・と思ったが悲劇が待っていた。

イブの夜、娘の友達が4人来てパーティーを始めていた。
それはいいのだが、ひとりが帰った後、トイレを使った子が
「溢れてるーーーー!!」


そんな馬鹿な・・・格闘するも溢れるばかりで、明らかに何かが詰まっている。

汚い話で恐縮だが、私はこういう時ためらいなく何とかしようと努力する女だ。
大概のことは何とかなった。
しかし、今回は色々手を尽くしても水路は開通しないのであった

業者を呼ぶべきか、どうするか。
業者も仕事とは言え、イブなのに気の毒でならない。

詰まりを直す道具がホームセンターで売られている。


頼もしいラバーカップ

一度シャワーを浴び、寒空の中買いに出かけた。

営業時間は夜8時まで。
着いたときは8時6分だった。

殆ど閉まりかかった自動ドアに必死で走ってくるオバサン。
その形相は、とても聖夜にはふさわしくないものであったと自覚している。

「すみません!!! あのっ!!!トイレが・・・詰まってしまって・・・」

声を張り上げるわたし。

店員は
「ハイ!」
と私の動きに釣られて素早いのだった。

無事にそれを買い、店の人に何度も頭を下げ帰宅して、また立ち入り禁止のトイレに決死の潜入を試みた。

やってみるが、コツがつかめずさっぱりだ。

諦めず格闘することしばし・・・・

ある一押しを境に、コォォォォォォォォ・・・・
っと汚水が綺麗に流れてった。

「なおったぁぁぁぁ!!!」

「おーーーーっ!!!」

娘たちの拍手が起こった。

そのあとハイターで念入りに辺りを消毒し、拭き清め、イブの夜は更けていくのであった・・・
ケーキを作る同じ手で・・・・
なんともいやはや・・・

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