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時にはギブアップする勇気も必要~WWOOFを初めて早々に挫折した話~

私たちは日本に帰国して以来、自分たちが住みたい、好きだと思える土地を求めて気になる地域を転々としている。
そして、今回、その手段の一つとしてWWOOFを利用することになった。

WWOOFとはお金のやり取りなしで「食事・宿泊場所」と「力」そして「知識・経験」を交換( WWOOFジャパンのホームページより引用)という概念の元、運用されている。
つまりウーファーがホストの元で働く代わりに、ホストはウーファーに食事と宿泊場所を提供するという仕組みである。

ウーフに登録したその日に、全国のホストリストの中から私はここだ!っと直感的にびびっとくるホストを見つけた。
なんというか、そのホストを見つけた時の私は嬉しすぎて興奮しすぎて踊りだしそうだった。
私はすぐさま旦那さんに報告し、彼もいいねと賛同してくれて、早速そのホストに受け入れ滞在を依頼することにした。

ホストとの話はスムーズに進み、連絡をとってから1週間後には実際にウーファーとして働かせてもらうことになった。

ウーフは基本的に有機農業がメインの仕事が多い中、受け入れて下さったホスト先では農業だけではなく子どもたちと関わる機会があった。私は子どもと関わることが好きなのでちょうど私にあっているとワクワクしていた。

旦那さんも私と共に新天地での生活にワクワクしていて、もしずっとそこに住みたくなったらどうする?なんて笑ってジョークを言っていた。



この時の私たちは、これから先に待ち受けている経験を想像すらもしていなかった。


私たちは、ホストの提供する寮に活動が始まる1日前に到着した。寮はかなり築年数の経った町屋だった。

結論を言ってしまえば、その寮は、思い出すだけでもブルっとしてしまうような雰囲気の、寒くて古い私たちにとっては心を落ち着けられない場所だった。また料理と風呂は別の建物でする必要があった。真冬の極寒の中、風呂上がりに濡れた髪で寮まで歩いて帰るのはなかなか辛かった。

そんな訳で寮に到着した私たちは、予想していなかった状況に唖然とした。そのホストには約1ヶ月お世話になる予定だったのだが、楽観主義の私にとっては人生で初めてレベルで、1ヶ月先にここでの生活を乗り切った自分たちの姿が想像できないという不安を覚えた。

でも私は割と自分の直感を信じるタイプなので、あんなにビビッときたんだから何かいいことがあるかもしれない、まだウーフの活動は始まってないんだからと自分を奮い起こした。

実際、活動はとても充実していて楽しかった。毎日新しい学びがあり、久しぶりに子どもと関わる機会が持てて私は余計に幸せを感じていた。ホストとホストファミリーもみんないい人たちでここに来れてよかったなとすら思っていた。

でもやっぱり活動が終わって寮に帰ると辛くて気分が落ち込んだ。
私の旦那さんはオンラインで仕事ををしており、元々は寮の一室で仕事をする予定だったが、彼もまた寮は居心地が悪かった様で、いつしか近くのカフェやファミリーレストランで仕事をするようになっていた。


明らかに心と体は抵抗しているけど、私は日本人特有の考え(カナダ人の夫曰く)で、一度始めたことは簡単に辞めるもんじゃないし、活動にやりがいを感じているなら夜寝るだけの場所ぐらい気合いと慣れで乗り越えられるだろう、これも一種の人生修行だと無理やり自分に言い聞かせるようにしていた。

でも気づけば、私たちはウーフの活動が終わると寮に帰るのを避けてどこかで時間を潰すようになっていた。またお風呂は銭湯や温泉に行っていた。旦那さんも日中はカフェ等で仕事をするようになっていた。しまいには、私たちは周辺の宿やホテルを探すようになっていた。普段なかなかしない夫婦喧嘩もするようになった。

それでも私は、活動は楽しいしホストはいい人だし、裏切りたくない、諦めたくない、こんなにすぐに辞めるのは情けないの意地っ張りでなんとか続けようとしていた。
私は頑張らなきゃに捉われすぎて、少しずつ私の横で疲弊している旦那さんの姿に気付きつつも、見て見ぬふりをしていた。また本当はここで活動を続けるのは嫌だと叫んでいる自分自身の声も無視しようとしていた。




そして遂に、お互いの限界がきた。




しかし、こうして答えが明白になっても尚、私はホストに辞めたいと打ち明けるのがこわい、申し訳ないとうじうじしていた。

そして、とうとうそんな私を旦那さんが叱った。
「Don’t be too Japanese!! WWOOFはそもそもギブアンドテイクの仕組みなのに今のままならテイクがテイクになってないでしょ。本来掛かるはずじゃなかった費用がいっぱいかかってるじゃない。そこはじぇりーが気にするところじゃない。これはあくまでもボランティアなんだよ。本来の目的を思い出して。無理な時は諦めるのも大事でしょ」


彼はとてもはっきりとシンプルに言ってくれた。


結局、旦那さんのひと推しもあって、私たちはホストに事情を正直に話し、
1週間でウーフを終了させてもらうようことになった。

私はホストに、実は寮生活が辛いなんてことは全く相談できていなかったし、その素振りすらも見せていなかったから、突然打ち明ける形になってしまった。ホストは少し残念そうにされていたが、私たちを責めることはなく、それは仕方ないねと理解してくれた。


最後はホストに申し訳ない気持ちでいっぱいだったが感謝を伝えてその場を後にした。



ウーフ終了後は私の実家でしばらく泊まることになった。

実は私の旦那さんは猫アレルギーがあり、猫のいる私の実家では数時間滞在するのが精一杯だった。そのため、実家に泊まることは今まで考えたこともなかった。
しかし、流石にウーフを予期せずして途中終了してしまった私たちは、他に泊まる場所がなく、ダメ元で一晩実家で寝てみることになった。
幸い、旦那さんは何の症状も出ることなく無事に朝を迎えることができた。

実家で朝日に包まれて穏やかな朝を迎えた時、心から幸せを感じた。
そして自分たちの想像していた以上に、自分たちは本当に寮の生活が辛かったのだと実感した。
家があることのありがたさと心安らげる家を持つことの大切さを実感した。


ウーフでの寮生活のことだけを思い出すと今でも辛い記憶が蘇ってマイナスな気持ちになってしまう。
しかし、客観的に考えるとこの経験を通して学んだことは沢山あった。

・家を持つことは大切。住む場所、泊まる場所に妥協はしない方がいい。
妥協するとしても、妥協できることと、できないことを明確にしておくことが大切。
・(私の場合は)直感を正しいと思い込みすぎるのは良くない。
その時、その時の自分の感覚や心の声を大切にする。
・特に私の決断によって相手に迷惑をかけるかもしれないと悩んでいるなら、冷静に客観的に自分の置かれている状況を振り返ってみる。相手のことを考えすぎて自分を犠牲にする決断をしようとしていないか考える。
・自分の進んでいる道に迷いを感じたら、まずその道に進んだ目的・意図を振り返る。それに沿っていないのならそれを手放す勇気をもつ。
・結婚して夫婦で動いている以上、自分だけを軸にして考えない。自分のしたいことを求めつつも2人にとってベストな決断をするようにする。
・2人で限界が来る前に話し合いをちゃんとする。
・何か新天地で挑戦する時はバックアッププランも立てておく。
・気合いでどうにかならないこともある。自分の心の声を大切に。
そしてパートナーの心の声もちゃんと聞く。

今まで私と旦那さんは、楽観主義で何かしら縁や運に恵まれて事が上手進むことが多かった。しかし、今回の経験を通して、上手くいかない時にいかにその違和感に気づいて自分たちの声を聞いて、良い方に方向転換をするかの大切さを学んだ。
この違和感や自分の声に素直になることは私の大きな課題だ。
カナダ人の旦那さん曰く、始めたことを途中で辞めることや、人に迷惑をかけることに過度に不安を感じるのは日本人らしい特徴だそうだ。
他人がどう思う、他人にどう思われるよりも自分はどうなのか、自分は何をしたいと思っているのか をもっと大事にし、これからも何事にも挑戦、決断していきたいと思う。もちろん他のWWOOF活動にも挑戦してみたい。


今日もここまで読んでくださってありがとうございます。



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