見出し画像

やってみせ やらせてみせて またやってみせ by ケケ(母三毛猫)

 三毛猫母さん名前はケケ 感心するケケの子育て

 牧場猫ケケファミリーは、基本的に外暮らし。牛舎や納屋の至るところを知り尽くして 何処が快適かも知っている。
 お産が近づくと暖かく安全な藁小屋に潜んで 赤ちゃんを産み落とす。大抵は4匹とか5匹とか生まれてくる。みんな父親が違ったりして 子猫の毛色は違った子が生まれて来る事もしばしば。最初は赤子の丸裸で もちろん目も開かない。ミャーミャーと小さな声で母を探す子猫たち。
 ケケ母さんは慣れたもので1匹1匹確かめるように綺麗に舐める。そして横たわると赤ちゃん猫たちは ケケのお腹を揉むようにしておっぱいを探し当てて 吸い付いていく。誰に教わる事なく それは生きる本能。
 ケケ母さんは、おっぱいをあげ終わると赤ちゃん猫を置いて 私たちのところへ餌を食べに来る。昨日まで大きかったケケのお腹がペシャンコになっておっぱいをあげている跡が分かると それが無事に赤ちゃんが産めた証拠だ。1か月もすればお披露目してくれるから、それまでそっとしておく。
 まだまだ赤ちゃんが小さい時期に 大きな雨が降ったり カラスなどの外敵に見つかったりすると その度にケケ母さんは赤ちゃん猫の首根っこを加えて1匹1匹安全な居場所に引っ越しをする。産んだ赤ちゃん全員を無事に引っ越しさせるのは 並大抵な事じゃない。雨風の中をびしょ濡れになりながら 加えて移動するケケを何度も見た。途中 落っことしたり 滑ったり。でもケケ母さんは諦めない。
 あと残り1匹となった時 最後の子が水に流された。戻ったケケは何度も何度も辺りを探す。強い愛情と悲しみを背負って 守らなければならない我が子のところにケケは戻る。そして明るく強く子育てをする。
 だんだんと子猫が育って 母乳だけでは足りなくなると、人間から餌をもらう術を覚えさせなければならない。だから、そのための猫の棲家の引っ越しは、日に日に母家に近づいて もうすぐそこまで来ていた。
 ケケ母さんは、私たち人間がいるのを確信すると ニャーオニャーオと近寄ってきて バタと倒れてお腹を見せる。私たちはひざまづくと「ケケちゃん 赤ちゃん連れてきたのー良い子だねー」とケケのお腹をさすってあげる。ケケ母さんは、わざとその姿を赤ちゃん猫に見せているのだ。人間は怖くないよ。上手に甘えて餌をもらうんだよって 身をもって見せる。だから、ケケの子はみんな人懐っこいのだ。
 ケケ母さんの赤ちゃんを人間に懐かせる方法は功を制して母家の庭が子猫の遊び場になった。可愛い盛りの子猫たちは、追いかけっこやかくれんぼ、木登りをして日々成長を見せてくれる。

 ある日
  ケケ母さんは3匹の子供たちに狩を教えようとしていた。小さなバッタを自分が捕まえて、子猫たちに見せて、飛び跳ねるバッタを捕まえる練習だ。

ケケは自らバッタを捕まえてきて  子猫たちの目の前に離す ほら、捕まえてごらんなさい

子猫たちは、とっさに捕まえることができずに バッタはぴょーんと跳ねて飛んで逃げた。

ケケ母さんは、再び 違うバッタを捕まえてきた そしてまた、子猫たちの目の前で離した。

子猫たちは、また バッタに逃げられた。

ケケ母さんは、再び 違うバッタを捕まえてきた。
そしてまた、子猫たちの目の前で離した。

子猫たちは、今度こそと頑張った けれど またバッタに逃げられた。
そのとたん ケケ母さんは 子猫の頭を叩いたんだな  これが。

 笑笑 ケケの気持ち分かるよ💦


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?