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東京国立近代美術館の底力

2024年2月某日
所蔵作品展 MOMATコレクション
東京国立近代美術館 所蔵品ギャラリー(4F-2F)


濃密な企画展を観た後って、もうなんだかお腹いっぱいになっちゃって常設展示まで観られない~
ってことになりがち。
去年の11月に棟方志功展を観たときもそうだった。
今回は改めて、所蔵品たっぷりな東京国立近代美術館へ。

芹沢銈介をフィーチャーしたメインビジュアルに惹かれて。
国立工芸館が金子量重氏から寄贈されたコレクションを400点以上所蔵しているのだとか。
知らなかった~

先週の日本民藝館からの民藝つながりなのかな、気分的に。
ちなみに一昨年、静岡市立芹沢銈介美術館を訪れた。
建物からして素敵だったな~もちろん内装や作品も。
ほとんど登呂遺跡の一角みたいな立地にはビックリしたけども。

さて、本展の構成は下記のとおり。
いや~バラエティに富んでいておもしろかった。
観たことあるのも、初めて観るのも。
切り口とかテーマがいろいろで、新たな発見があった。

4階
1-5室 1880s-1940s 明治の中ごろから昭和のはじめまで
1室 ハイライト
2室 「新か?旧か?」
3室 麗子、生誕110年
4室 近代の役者絵
5室 アンティミテ

3階
6-8室 1940s-1960s 昭和のはじめから中ごろまで
6室 1941-1945|戦争/美術
7室 存在と不在―見えるものと見えざるもののはざまに
8室 流通するわれら
9室 高梨豊「町」
10室 芹沢銈介と、新しい日々

※11室と12室は時間の都合上未見


1室 ハイライト

岩絵の具について 1つの材料からいろんな色が作れる


加山又造 春秋波濤 1966

琳派を現代の感覚でとらえたような。もりっとしたフォルムに愛嬌がある。

原田直次郎 騎龍観音 1890

ものすごくデカい。龍の眼がキラキラしててかわいい。龍は炎をまとっているんだね。

和田三造 南風 1907

筋肉に目が行くよねえやっぱり。
体育座りしているのが画家本人。実際に漂流した事があったらしい。

藤田嗣治 自画像 1929

自分自身と、自分を構成する要素が盛り込まれていて興味深い。
画中画とか猫とか硯と面相筆とか。
しかし本人はキャラ濃いぃのに、絵は繊細だよねえ。


パウル・クレー 花ひらく木をめぐる抽象 1925

じーっと観ていると、花が見えてーくるー


2室 「新か?旧か?」


木島桜谷 しぐれ 1907

いろんな鹿が描かれているのだけど、鹿の尻をフィーチャー。
鹿の尻ってかわいい。以前奈良に旅行したときも写真撮ったし。


横山大観 白衣観音 1908

なんというか不思議な気持ちになる絵。
観音さまというより、ちょっと色っぽいインドの人みたい。


萬鉄五郎 裸体美人 1912

ご存じ、パンチ力抜群の裸体美人。最強の卒業制作。
いいよねこの目線とかワキ毛。生命力にあふれてる。


3室 麗子、生誕110年



岸田劉生 道路と土手と塀(切通之写生) 1915

さっき描いたみたいにテラテラしてる。


岸田劉生 麗子肖像(麗子五歳之像) 1918岸田劉生 麗子六歳之像 1919

左が5歳で右が6歳。麗子の成長よりも岸田劉生の画風の変わりようがおもしろい。
5歳は髪の毛とか着物の質感とか、とても細かい。
6歳はかぎ針編みのケープなんて、結構粗めのタッチ。


岸田劉生 麗子のおけいこ 1921

古典や古美術が気になっていた劉生が、麗子にも長唄のお稽古をさせていたとか。


岸田麗子 童女像 1921

なんかもう、すごい麗子っぽい。

画家としての岸田麗子や岸田家の資料などが展示されていた。


4室 近代の役者絵


山村豊成(耕花) 「梨園の華」より 十三世守田勘弥のジャン・バルジャン 1921

古典ではなくレミゼをチョイスするセンス。新版画の渡邊庄三郎がかんでる。


平櫛田中 鏡獅子試作頭 1938

全体像はずっと国立劇場にあった。六代目尾上菊五郎をモデルに、20年以上かけて完成したとのこと。
試作とはいえ金で彩色してあって迫力ある~


5室 アンティミテ

アンティミテとは、フランス語で「親密さ、安らぎ、私生活、内奥」といった意味の言葉です。19世紀末のパリで、身近な人々や子どもや動物の親密な情景を描いた一群の画家たちがアンティミストと呼ばれました。
※展覧会サイトより


深沢紅子 立てる少女 1959

ちょっとモディリアーニ風。でも岡田三郎助に師事していた。


森田元子 想い 1947

ちょっとマティス風。でも岡田三郎助に師事していた。
岡田三郎助の影響力すごいな。


牧野虎雄 明るい部屋 1931

ほんと明るい。こんな部屋に住んでたら自然とポジティブに生きられそう~


古賀春江 月花 1926

さまざまなイズムを取り入れていった古賀春江。なんか不思議な世界観で、観るたびに心がざわざわするのよね。
この絵は童話的な雰囲気。童話ってメルヘンだけじゃあなく、ダークな部分もあるから奥深い


小寺健吉 陶器作りの庭 1967

アール・ブリュットを感じる


ピエール・ボナール プロヴァンス風景 1932

色彩が炸裂してる!わちゃわちゃしてるんだけど、ボナールワールドって感じ。じーっと観てるとおもしろくなってくる。


中村岳陵 少女 1948

うわ~ええとこの子やな~って感じ。帽子のつば広すぎる


土方久功 猫犬

猫と犬のハイブリッド?土方久功はなかなかユニークな人だったらしい。
去年せたびの展覧会行けず…


6室 1941-1945|戦争/美術


小牧源太郎 積木と栗鼠 1941

なんだこれは。シュールというか。


国吉康雄 誰かが私のポスターを破った 1943


独特の暗さがある。けどなんかかっこいい。
ポスターは国吉の友人のベン・シャーン画。反ナチスを訴えたもの。


7室 存在と不在―見えるものと見えざるもののはざまに


マックス・エルンスト つかの間の静寂 c.1953-57

おもしろ技法から生まれた作品かな?


岸田劉生 壺の上に林檎が載って在る 1916

タイトルが絶妙。壺のつやつや感があるんだな~


浜口陽三 アスパラガス 1957

メゾチント技法。独特な雰囲気。ホワイトアスパラが食べたくなった。


8室 流通するわれら


赤瀬川原平 ヴァギナのシーツ(二番目のプレゼント) 1961/94

結構デカい。モチーフも含めて、現代美術ぅって作品。


ハイレッド・センター ハイレッド・センター名刺 1963 など

高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之の3名によって1963年に結成された集団。
結構アクティブな活動をしていたらしいお三方。なんか気になるのよね~


10室 芹沢銈介と、新しい日々


芹沢銈介 木綿地藍染いろは文着物 1961 芹沢銈介 文字文地白麻部屋着 1971
かっこいい~


芹沢銈介 ばんどり 1957

ばんどりとは、山形県の民具。荷物を背負うときに背中に挟んで使うもの。実物見たことあるけど、編み込みが素晴らしいの。デザインのバリエーションもあって、まさに用の美。


柚木沙弥郎 型染紬地団鎬壁掛布 1982

柚木さんらしい色合い。テンションあがる色合い。


芹沢銈介 絵本 どんきほうて 1937



芹沢銈介 新版絵本どんきほうて(別刷) 二 作男さんちょ従へ廻国の門出 1971


芹沢銈介 新版 絵本どんきほうて 1975 紙、型染

芹沢銈介の手にかかると、ドン・キホーテがほっこりした雰囲気になる。
英文学者・寿岳文章を仲介役として、『ドン・キホーテ』収集家であるアメリカのカール・ケラーから制作依頼を受けて制作した絵本とのこと。そんな始まりだったんだ~ほえ~


芹沢銈介 煙硝入れ 1970 芹沢銈介 メキシコみやげ c.1968

うまいのはもちろん、味のある絵だわ。



式場隆三郎の著書の装丁

民藝コネクション。やっぱり洒落てる。


可否道

獅子文六の『コーヒーと恋愛』(原題が『可否道』)。おもしろそう~


芹沢銈介 カレンダー 壁一面に


芹沢銈介 カレンダー 年によってテーマがある


芹沢銈介 カレンダー 焼き物シリーズなど


芹沢銈介 カレンダー デザインが素晴らしい



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