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いろんな時代の色を味わう「歴博色尽くし」

2024年3月某日
歴博色尽くし
国立歴史民俗博物館


千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館の企画展示「歴博色尽くし」。
テーマは「色」ながら、バラエティに富んでいておもしろかった。

「いろ」を中心に、素材のもつ質感や微細な構造がかもす「つや」と、それらの組み合わせがつくる「かたち」をフィーチャーしている。
醍醐寺の五重塔、赤絵、漆、蒔絵、螺鈿、アクセサリー、勾玉、九州の壁画、などなど。
ジャンルも時代もさまざまなMIX具合。嫌いじゃあない。つーかむしろ好き。
常設展示も含めて、今回も歴博の懐の深さを思い知ったのだった。


1. 2棟の建築彩色模型 ~あなたがたはなぜ、歴博に?~

醍醐寺五重塔彩色模型

醍醐寺五重塔の内部に施されていたという極彩色の文様。
歴博創立初期に文化庁からやってきた。
昭和31年度から32年度にかけて制作されたとのこと。
なのにスゴいヴィヴィッド。塗り立てみたい。

醍醐寺五重塔彩色模型 天井部分


醍醐寺五重塔復元 色絵の具見本も

トレーシングペーパーで文様を写し取っていて、復元模型が作成された。
この文様は宝相華というのね。

・醍醐花見図屏風 
醍醐寺といえば醍醐の花見。
安土桃山時代のものだけど、よく残ってるなー特に胡粉の白。赤も効いてる。
花見のわいわい浮かれた感じがよく表されてるなあ。


平等院鳳凰堂斗栱(ときょう)彩色模型

展示スペースの真ん中にどーんと構えてる。
平等院鳳凰堂の天井を支える組物の一部を復元した彩色模型。
平成修理(平成24~26年)の前に作られた彩色だとか。
過程も大事だ。

平等院鳳凰堂斗栱(ときょう)彩色模型 見上げたところ



2. 身にまとう色 ~染織工芸の色と模様~

寿印色手本 当時の流行がしのばれる。ちょっとダルな色味が好き


友禅染見本帖 女物はやっぱり、柄が大事よねえ


法隆寺裂帖

布のかけらを大事に取っておく、って心持ちが素敵。
考古利今(こうこりこん)というらしい。
※考古利今…古き良きものを学び、現代に生かそうとする態度


●3. ふたつの「赤絵」 ~色がなす文化、文化がなす色~

疱瘡(ほうそう)絵

疱瘡(天然痘)にかかった子供の見舞いに用いられたのが疱瘡絵。
モチーフは達磨、富士山、鍾馗、源為朝など。めでたいとか強そう~みたいな。
赤色には魔除け・厄除けの意味があるのだとか。


開化絵 改良貴婦人競 楊州周延

たしかに、明治維新あたりの錦絵って、赤がバチーっと効いてるイメージ。
しかも、こってりした赤。


4. 漆工芸にみる色彩 ~蒔絵(まきえ)・螺鈿(らでん)・色漆(いろうるし)~

(左)菊花漆絵盆 (右)月に浪兎漆絵盆 

兎だぴょーんって感じの疾走感が見事。
黒字に赤・黄色・緑ってカラフルなのもかわいい。
会場は暗くてちょっとわかりにくかったけど、結構緑~なお盆。シンプルにいい。


(左)乾漆粉ほか蒔絵色見本手板 (右)色漆発色試し板

画家のパレットを観ているよう。
今ではいろんな色味の漆のお椀とか、結構手にしやすくなってる。


(右)蒔絵(鳩)試作および色漆発色試し板
お試しだけど、作品のような雰囲気


蒔絵粉手板(梨地)
梨地も金粉の細かさによって雰囲気が全然違ってくる


花鳥螺鈿大型円卓(蝶文三脚台付)

すっごい大きいテーブル。直径1メートルくらいかな?「うわ、でかっ」って声出る。
しかもビカビカ。輸出用とのことで、さもありなん。


朝顔花鳥螺鈿ゲーム箱
カードゲーム用の貝殻チップを入れる箱。これも輸出用

ちなみに伏彩色螺鈿らしい。薄い貝の裏にカラフルな着色を施している。まあそうすると、意図した色合いが出せるよね。


印籠 象嵌に蒔絵に螺鈿に

印籠って、技術とお洒落がぎゅーっとつまってると思う。
こまかーいところに凝るっていう日本人の粋というか。
さらに根付との組み合わせとか、考えるの楽しそう。


5. 古墳の彩り ~「もの」と「空間」~

(左)駄ノ塚古墳出土品より装身具

綺麗な色や光るものやツヤっとしたものを身につけたいって気持ちは、古墳時代から変わらないんだねえ。
いい感じに加工する技術も向上させたんだろうねえ。
権力やステイタスの象徴だったのかもだけど。

腕輪や鏡、ビーズも欠かせないファッションアイテム


金は永遠に輝く


(左)王塚(おうづか)古墳 前室正面戸口右側壁復元模写
(右)珍敷塚(めずらしづか)古墳 後室奥壁 復元模写


・王塚(おうづか)古墳 前室正面戸口右側壁復元模写
ちょっと北欧デザインのような 
馬がデカすぎるのか、人が小さすぎるのか。
ま、そんなことはともかく、色とデザインが素晴らしい。

・珍敷塚(めずらしづか)古墳 後室奥壁 復元模写
なんなんだろうスゴい発展してる街みたいな雰囲気。
古墳の時代とは思えないくらいモダンな印象。色づかいも含めて。

壁画コーナーは写真NGだったんだけど…
模写とはいえ、四方をカラフルな壁画で囲まれた空間は…よかったなあ。
なんというか、意外とテンションが上がるような~落ち着くような~不思議な空間。

ほとんど福岡の古墳(1点は熊本)で、いや~九州は独特だなあ。
大陸と近いから当時の中央国家とは異なる文化が栄えてたんだろうなあ。
他にも、赤緑黄色黒の三角がひたすら連なる模様とか、赤緑の丸がぐるぐる重なる模様とか。
いわゆる装飾古墳がいっぱいあるらしい。ん~気になるぞ。
ちなみに模写したのは、日下八光。装飾古墳の壁画模写をいっぱいやったスゴい人らしい。ほお~



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