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好古家の楽しいコレクションとコネクション

2024年3月某日
榧園好古図譜―北武蔵の名家・根岸家の古物(たから)
國學院大學博物館


大学付属の博物館、結構おもしろいかも!
と去年あたりから気づきはじめた。
その分野の資料や研究成果がぎゅっとコンパクトに展示されている。
新しい研究がまとまれば随時公開されていて、新鮮な出会いがあるんだなあ。

國學院大學博物館は「考古」「神道」「校史」の三本柱。
ちなみに「校史」は校名の「国学」にまつわるもの。
「国学」とは、日本文化のモノから心を究明する日本文化学とのこと。

現在は「考古」ではなく「好古」をフィーチャーした企画展示を開催中。
大学にも北武蔵にもまったく縁がないものの、「好古」というワードにピンときてさっそく訪れたのだった。


現在の埼玉県熊谷市の名家・根岸家。11代当主の根岸友山と子息の武香は著名な好古家だったとか。
そんな根岸家の蒐集品蒐集品が描かれた図譜が、このたび発見された。
昭和30年代から行方不明だったらしく、見つかってよかったねえ。

ちょっと話は逸れるけど、最近若冲が晩年に描いた絵巻が見つかったね!
何年か前に鏑木清方の絵が見つかったってこともあったし。
画商や美術館や家族がいるにも関わらず、ちょいちょい作品が行方不明になるものなんだなあ。

話戻って、企画展示の話。
根岸家が熊谷直実の子孫てことにまずびっくり。
歌舞伎の演目にもなっていて、すごく切ない話。一谷嫩軍記の熊谷陣屋ね。
中村吉右衛門さんがなつかしい…ってまた話が逸れた。

で地元の名士なんだけどなんやかんやあった根岸家。
それでも好きなものへ突き進み、埴輪、土偶、鏡や地図、古文書などなど、幅広く蒐集していった。
集めすぎて私設博物館的なものまで作っちゃった。
そこにシーボルト、モースなど学者たちがやってきて交流があったとか。
好きって気持ちで動くとつながっていくんだねえ。

●企画展示

人物埴輪(武装男子) かっこいい 図譜もいい味
人物埴輪(女子)
ギリシアの土偶
テラコッタ製。シーボルトより寄贈。ちなみに出島に来たシーボルトの次男
モースの器物画
根岸家にあった土器を描いた。大森貝塚を発見したモースともからんでいたとは


松浦武四郎 アイヌ舞踊の図

構図がおもしろい!
2021年に発見されたものだとか。
アイヌ関係の展示は先週建築資料館で観たし、4月から静嘉堂文庫で始まる「画鬼河鍋暁斎×鬼才松浦武四郎」も観る気マンマン。
我ながらいい流れ。興味津々数珠つなぎ~

松浦武四郎も相当アクティブ、いやアグレッシブな人。
蝦夷地探査して「北海道」の名付け親ってエピソードがチョー有名だけど、好古家でもあったんだね。

撥雲餘興 首巻
埴輪スケッチby武四郎


蓑虫山人 埴輪群像図

圧巻ですな~さらさらっと描いてる風だけど。
蓑虫山人もパンチが効いてる。どこかで作品を観たことがあるんだけど…どこだったか。
亀ヶ岡遺跡で遮光器土偶を発見したとか、ホンマかいな!?まいずれにせよ、気になる人ではある。


●「榧園好古図譜」
もともと名前はなかったが、今回発見されたタイミングで武香の雅号「榧園」をもとに命名された。


美しい花々の絵 きりっとした埴輪男子
埴輪の実物と図譜 箱書きがしっかりと
鏡と石細工
縄文土器と石棒
鏡 たらし込みのような表現で描かれている
古瓦 瓦拓?も


●古器物陳列場

根岸家を訪れた好古家たちに公開したという陳列場

これが国内で初期に作られた私設博物館だそう。
勢い余って日本(ほぼ)初。

土器の破片のリサイクル方法が結構斬新
板に破片をくくりつけて、展示棚の上にかけていた。
こんな使い方しちゃうところが、なんかスゴい


●アイヌ関連の展示も少し

イクパスイでトゥキからお酒をすくってーカムイに捧げるのよね
イタとマキリ 独特の文様が刻まれている。女子用のマキリがあるんだー
やっぱり気になるアクセサリー関連


●常設展示


火焔型土器。いいねえ~やっぱりいいねえ~
以前十日町市博物館でいっぱいガッツリ観たことがある


人物埴輪 帽子と髪型がおしゃれ


土器土器
どきどき
ドキドキが止まらない
並んでてかわいい動物たち


陶棺 三角の模様と色味がすばらしい



根岸家も、交流があった人たちもそれぞれに興味深い。
ちなみにちょうど1年前、歴博の好古家の展示を観ていた。
私ってば、そういう人たちが好きなんだなあと改めて自覚した。
時代を越えたキュレーションって感じ。
今も昔も、強烈なコレクターっておもしろいもんね~

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