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やきものの良さを再認識

2023年7月某日
尾形乾山生誕360年
琳派のやきもの ―響きあう陶画の美
出光美術館


尾形光琳の名が由来の「琳派」。
遊びまくって実家の財産を食い潰しそうになって
「ほな絵ぇ描いてなんとかしますわ!」
と言ったかどうかは定かではなく、私の楽しい妄想。
その後「派」を冠せられるくらいの芸術家になったんだから、人間モチベーションが大事なんだなあ。
流れを捉えるって感も大事か。
あと、生まれ持ったセンスも。
まあそれを言っちゃあ身も蓋もないけどねえ。

そんな兄貴とつかず離れず、いい関係だったと思われる尾形乾山。
同じ芸術家の道を歩みつつ、陶芸をチョイス。
「乾山焼」というジャンルも確立。
琳派関連の展覧会で目にすることが多く、「これ欲しい~」と思うこともたびたび。
兄貴に負けず劣らずセンスにあふれた人だと思う。
実家の雁金屋は京都の呉服商なので、幼い頃からきれいなものに触れていてセンスが磨かれていったんだろうな~

ちなみに光琳が次男で、乾山が三男。
長男は…実家を継いだのかな?
いろいろあったみたいで大変よねえ。


第1章 詩書画の陶芸
第2章 王朝文学の情緒
第3章 交響をなす琳派の陶画
特集 重要文化財「色絵芥子文茶壺」をめぐりみる
第4章 継承される陶画の美


第1章 詩書画の陶芸

・銹絵獅子香炉
尾形乾山。てっぺんに愛嬌たっぷりのお獅子が鎮座。

・乾山作陶図
田能村竹田がニコニコしながら制作する乾山を描いたもの。ほっこり~

・銹絵の角皿
光琳とのコラボ。外縁にも柄が入ってるのがいいなあ。いろんな角度から観る。

・扇面散貼付屏風
俵屋宗達作の六曲一双。さすがの扇子。じゃなくてセンス。
自然が描き込まれたシックな背景に、きらびやかなお扇子が散らされている。
扇子の1つ1つのデザイン性がイカしてるぜ。


第2章 王朝文学の情緒

・花卉摺絵古今集和歌巻
書/本阿弥光悦&版下絵/俵屋宗達のタッグ。
光悦が宗達に「わてが古今の歌書くさかい、下絵よろしゅうに」とオーダー(また妄想)。
「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が頭をよぎる。

・銹絵染付金銀白彩松波文蓋物
尾形乾山。メインビジュアルになっている蓋もの。
ざらっとした地に金・銀・染付・白彩の松がゆらりと描かれている。
蓋を開けたら白い世界。
いや~バランスが素晴らしい。


第3章 交響をなす琳派の陶画

・鹿蒔絵硯箱
伝 尾形光琳。もりっと盛り上がった硯箱に鹿がたたずむ。蓋を取っても広がる世界。

・染付白彩流水文鉢
尾形乾山。光琳の流水図からインスピレーションされた器。縁が流水の形で切り取られていておもしろい。

・色絵芦雁文透彫反鉢
尾形乾山。縁の周りを雁が飛ぶ。ちょっと上の方から眺めると、前後の雁が立体的に見える。
この立体感が絵とは異なるところ。やきものならでは。

・紅白梅図屏風
伝 尾形光琳の六曲一双。熱海の国宝と同じモチーフ。水際の四角い金箔使いとか、ぐにゃりとした梅の木、大胆な空間使いなどなかなか見どころアリ。

・色絵乙御前人形
仁阿弥道八。乙御前=お多福さんがかわいい~。表情と着物の柄が素敵。

・色絵椿文輪花向付
尾形乾山。緑地に白い椿が映える!緑の色味がすごくいい~好き~~~

・色絵紅葉文壺
尾形乾山。六芒星のようにデザイン化されている紅葉。
白の中に赤青黄のちっちゃい紅葉。型紙で色つけしたとのこと。
この形を壺の周りにいい感じに配置するのって、よく考えてみたらすごいと思うの。

・色絵梅花文四方香炉
野々村仁清。梅を散らしているんだけど、蓋にちょこんと座っている兎と両脇の象が気になる…

・赤楽兎文香合
本阿弥光悦。こちらは素朴な兎。楽家じきじきに陶芸を教わってた?


特集 重要文化財「色絵芥子文茶壺」をめぐりみる

・色絵芥子文茶壺
野々村仁清。赤金銀と緑で美しくもあやしい芥子が壺を彩る。

・麦・芥子図屏風
狩野重信。麦と芥子の組み合わせは初めて観た。不思議な雰囲気。


第4章 継承される陶画の美

・銹絵金彩桐一葉形皿
仁阿弥道八。黒に金が効いていて渋い。

・四季草花図屏風
深江芦舟。どよーんとした、もといこってりとした植物の世界。嫌いじゃあない。

・光琳百図・光琳百図後編
酒井抱一編。光琳モチーフを後の時代の抱一っつあんがまとめたもの。ホント好きなんだねえ。まじリスペクトなんだねえ。


絵は平面だけど、やきものは立体的な構成ができるのがメリットなんだな~と改めて感じた。
茶碗や皿や壺の見込みとか、蓋を開けたときのギャップとかいろいろ遊べる。
あと絵は眺めるものだけど、やきものは手に取って使えるものなのがポイント。
使ってナンボ。用の美。
せっかくなら飾っておくより使って愛でたいよね。
いや~観に行く前は渋めかも~って思ってたけど、結構楽しかった!

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