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狂い死に


突き刺すような視線にうちは犯される。いつものように。
ああ、このままうちの体をズタズタに引き裂いて・・・お願いやから・・・

今日もうちは狂ったように安酒を煽り、腐りかけてる臓器にトドメを刺す。
この世に未練はない。
面白くも何ともないくだらない世界とはおさらばすんねん。
酒と薬はうちを極楽浄土に導いてくれるわ。
そやねん、うちは天使になんねん。堕天使に・・・

9才で実の父親に強姦されて、うちは汚い女になったとさ。
14才で娼婦になって足掛け13年7ヶ月と3週間、不特定多数の男に股を開き続けてこの世のあらゆる煩悩とどす黒い欲望のはけ口となるべく、うちは世にも奇妙で奇想天外で空前絶後な公衆便所になりましてん。
まあ、試しに一辺でもええさかい致しておくんなはれ。西成で立ちんぼしてるうちを見掛けたら声を掛けてや。おもろいでぇ・・・

ちょいとお兄ちゃん、そこの男前のお兄ちゃん、あんたや、あんたやで、さっきからうちが呼んでるん聞こえへんのんかぁ?
なあ、なあって、うちはいつでもどこでもどんだけでもあんたの汚い臭いゲー出そうなところを綺麗さっぱり掃除したるわ。すっきりさせたるわ。なあ、ええやんかぁ・・・

せやさかいに銭おくれ。たんまりおくれ。気持ちようしたるさかいになんぼでも銭おくれ。
その銭で酒と薬を買いまんねん。うちも気持ちようなりたいよって、酒と薬をたぁくさん買えるだけの銭をおくれ。たのむわ、ほんまに。

うちはもう手遅れなんよ。
生まれた時から筋金入りの基地外で近所でも有名な頭がおかしいイカレポンチな少女やったわ。
歩く生殖器と陰口を叩かれていた色ボケ女の母親は、他所に男をこしらえて酒浸りで無職の父親と基地外娘を捨てて出て行きよったとさ。

嫁に捨てられてヤケクソになったアル中親父は、事もあろうに実の娘に手を出しよったとさ。
しかもまだ初潮を迎えていない9才の幼女にやで?なんぼ生まれつき基地外でどないもならんゆうても、われの子やで?完全に狂うてるわ。
この親にしてこの娘や。あーあ、ついに一線を越えてもうた。あかんわ。もう遅い。やってもうたぁ。

アル中親父に何度も何度も中出しされた救いようのない哀れな基地外娘は、13才と半年を迎えたくっそ寒い真冬の早朝、ついにアル中親父のガキを身籠ってしまった事が判明したんやってさ。
翌年のくっそ暑い炎天下の午後、基地外娘は自分に瓜二つの基地外とアル中の混血女児を無事出産したんやってさ。さー大変。
困り果てた基地外娘は我が娘を見ず知らずの裕福そうな豪邸の門前に置き去りにして帰宅。
酔い潰れて熟睡しているアル中親父のだらしなく開いた口からウォッカと唐辛子を擦った赤い液体を大量に流し込み何処へと逃走を図ったとさ。

こうして基地外娘は出生地を遠く離れ、縁もゆかりもない大阪へと辿り着いたとさ。
さあて、14才の無一文の基地外娘はこの先どないして生きていこうかと基地外のくせに一丁前に考えを巡らせていたところ、小汚い酒臭いおっさんに背後からいきなり声を掛けられたとさ。
「おい、ねーちゃん。5千円やるからお〇こさせろ!」
基地外娘はラッキー!と閃いたので、おっさん相手に交渉したんやってさ。
「ええけど5千円はないわぁ。1万くれるかぁ?なあ、おっさん!」
交渉は難航を極めたが基地外娘はあの手この手を駆使して無理くりおっさんを言いくるめて無事商談は成立したんやってさ。
この事をきっかけとして基地外娘は大阪西成の地で華々しく娼婦としてメジャーデビューしたんやってさ。

「トメ子!随分捜したぞ。」
ある日いきなり背後からおっさんに声を掛けられて、うちは腰を抜かした。
アル中親父、生きとったんかい!
ようみたら親父の後ろに腹ぼての中学生ぐらいの娘がおる。
「その娘は誰や?」
「お前とわいの娘や。ほんでな、こいつは今妊娠5ヶ月や。」
「はあ?お腹の子のてて親ってまさか・・・」
「そうや、わいや。」

・・頼むから死んでくれ・・・
なんやったらうちが殺ったろか? ああ?


おわり









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