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まいりりっくす⑤奥の細道マイロード

奥の細道マイロード
作詞:庚之孝心
作曲:庚之孝心

月日は百代の過客にして
行かふ年もまた旅人なり
漂泊の思いにかられ幾年ぞ 
旅立ちの弥生の空を見上げたり
行く春や鳥啼き魚の目は泪(なみだ)

栄耀栄華は一睡の夢のうち
衣川兜は割れて虫の声
英雄の姿も今はおぼろなり
陸奥(みちのく)の雲間に見ゆる都かな
夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡

一つ家に遊女も寝たり萩と月
すみごろも仮寝の宿ぞ女郎花
うつせみの名残は夢の戯れか
蛤もふたみに割かれ別れゆく
この道や行く人なしに秋の暮

丹頂の飛ぶや飛ばずや畔の道
霜柱あした踏みしめ参ろうぞ
旅に病んで夢は枯野を駆け巡る


注:本作品は、松尾芭蕉の紀行文「奥の細道」およびそこに掲載された俳句ならびに松尾芭蕉のその他の俳句を基にして歌詞を構成しています。
(各構成部分は以下の通り)

月日は百代の過客にして行かふ年もまた旅人なり
←「奥の細道(序)」(月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。)より

行く春や鳥啼き魚の目は泪(なみだ)
←「奥の細道(千住)」(行春や鳥啼魚の目は泪)より

夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡
←「奥の細道(平泉)」(夏草や兵どもが夢の跡)より

一つ家に遊女も寝たり萩と月
←「奥の細道(市振)」(一家に遊女もねたり萩と月)より

蛤もふたみに割かれ別れゆく
←「奥の細道」(蛤のふたみにわかれ行秋ぞ)より(改変)

この道や行く人なしに秋の暮
←「笈日記」(此の道や行く人なしに秋の暮れ)より

旅に病んで夢は枯野を駆け巡る
←「笈日記」(旅に病で夢は枯野をかけ廻る)より


<参考メロディー>
~ドレミファソラシドをCDEFGABCで表示。ただし、低音部は片仮名、
高音部は英数小文字で表示 。(空白は休符、ーは長音)

 つきひ   / シEG
はヒャクだい    /BBBAG
のカカクニし     /AAAAAB 
てーーー   /Eーーー
 ユキコートシ   / DEG♭-DD
もーまた      /シーシシ
 タビビトな  / G♭GAAD
りーーー     /E---
 ヒョウハクの   /G♭-G♭G♭A
オモイニユラれ     /GGGG♭EEシ
 イクとせ     /G♭G♭G♭ーA
ぞーーー     /Gーーー
 タビダチの  /G♭G♭G♭G♭A
ヤヨイノソラを     /GGGG♭EEE
 ミアげた     / AAAc
りーーー     /Bーーー
 ユクはる     / シシEG
やーーー     /Bーーー
 トリなき     / AAAA
うーおー     /G-E-
のメハなー     /E♭E♭EG♭ー
ーーみー     /ーーB-
だーーー     /Eーーー
ーーーー     /ーーーー

 タンチョう     / cccd
のーーー     /eーーー
 トブやと     / cccd
ばーずや    /e-dc
 アゼのみ  / BA GG
ちーーー   /G♭ーーー
 シモバシら    / GGGG♭E
アシタフミシメ  / AAAAAcc
まいろー  /BBc#ー
ぞーーー  /e♭ーーー
---ー  /ーーーー


(作者コメント)
中学生くらいのころ、松尾芭蕉(あるいは同行した門人の曽良)が「隠密」だったのでないかという雑誌の記事を読んで、「奥の細道」に興味を持ち始めました。
高校生になったころ、「行く春や鳥啼き魚の目は泪」の一句が、何だか謎めいた意味を含んでいるような気がして、この部分にメロディーをつけて口ずさんでいるうちに、全体の構成がまとまってきた、という経緯があります。
(作品中「すみごろも仮寝の宿ぞ女郎花」は僭越ながら私の自作です。)

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