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ヤマビルから生きるを学ぶ

雨の翌日、丹沢の鍋割山に行った。

この時期の山登りではヤマビルが悩みの種だ。近年丹沢では鹿が増え、一緒にくっついてきたヤマビルもエリア拡大中らしい。虫除けスプレーと、アルコールスプレー、塩(ヤマビルにかけると死ぬ)、とにかく思いつくものは全て持って行った。

表丹沢県民の森にクルマを置いて出発。
うーん、やはり前に登った時よりペースが上がらない。心臓がバクバクしてる。

前日の雨で四十八瀬川の流れも早い。秦野市随一の清流らしい。ほとばしる水の勢いに山の鼓動を感じた。
新緑も目に鮮やか。本当は葉っぱを触り、幹に抱きついて木の息づかいを感じたかったけど、ヤマビルは木からも落ちてくる、と聞いたので怯んでしまった。

新緑の中に木道が続く

登山ルート途中に鍋割山荘で使う水がペットボトルに詰めて置かれている。「余裕のある登山者は運搬の協力をお願いします」と記してあるのだが、私は自分の身体を運ぶのに精一杯だったよ。

さて肝心の?ヤマビル。行きでは出会わなかったが帰り道では夫の首にひっついていた。小さくて細いナメクジみたいだ。早速、虫除けとアルコールをダブルでぶっかける。奴はポロリと落下した。

やれやれ私は無傷で済んだわ…と思って下山後、靴を履き替えると、なんと私のふくらはぎにもしっかり食いついているではないか!
登山靴とズボンが白くなるほど虫除けをかけまくったのに、その間隙を縫って食らいついてくる逞しさよ‼️ 
吸血するとその後一年以上も生き延びるらしい。
うねうねと身体をよじりながら吸血するヤマビルはどこから見ても気色悪かったが、凄まじい生への執着を感じた。

そうだよ、気持ち悪かろうが嫌われようが、生きることにまっすぐ真剣になっていればいいじゃん‼️

私は主治医から「(仕事を)休めるうちは休んだ方がいい」と言ってもらえて、がんが発覚してからずっと休職させてもらっている。
ありがたいことなのだが、周りの人から「頑張れば復職できるのに」と思われているのではないか、がん患者さんの中には復職して治療を続けている人も沢山いるのに私は…と、どこか後ろめたい気持ちがあった。

ヤマビルよ、あなたの一心不乱な姿によって私の心の弱さ ―世間体を気にしたり、他人と比較したり― に気づくことができたよ。私の生き方は私が決める。
ありがとうヤマビル。

しかし、抗がん剤入りの私の血液を吸ったヤマビルは健康を害さないのだろうか?
日本赤十字社によると抗がん剤をやっていると献血もダメらしい。
ヤマビルの予後が心配だ〜笑。

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