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【毒親】肩車お父さん

母が未だによく言う言葉があります。

お父さんは全然子供達を可愛がらなかった、
あんたのことちっとも世話しなかった、
子供を可愛がるという感情のない人だった、

母の言葉が心に突き刺さるように
確かに私は幼少期、父との記憶があまりありません。

母の言葉だと、父親としては絵に描いたような最低男。
母の妊娠中の浮気を筆頭に、ひたすら相手を変えては家を空ける日々。
家にいる時は、いつもお酒を片手に貫禄とは違う圧で子供達を制圧していました。

私もきっと、父親が嫌いでした。
父がいると家の空気は悪くなって、母は怒って泣いて、兄達は逃げるようにどこかへ行ってしまう。

けれど時々、ふと思い出す光景があります。

仕事が終わって珍しく早く帰ってきた父に、当時小学生くらいの私が肩車をせがみました。
父親は特に嫌がる素振りもせず、肩車をするには大分身体の大きい私を乗せて、家の中を一周してくれました。

その後私は自分の部屋へ戻って
鼻歌を歌いながら、学校の宿題に取り掛かりました。


母から見る父は最低で
おそらく本当に父は最低で

けれど
その日の父の肩車は
私にとって最高でした。

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