お花摘みをするべく、車を降りたところで、大きな帳(とばり)を見つけた。大きな透明のドーム状のものがある。
 「入っていきなさい」
と姫神様が言うので、しぶしぶ進むと、なんのことはない、通り抜けられた。私がびっくりしていると
「善悪、正邪で考えないで欲しいけど、これは私たち姫神のようなものをはじくものです。あなたのような三次元の者には関係ありません。」
とのこと、「開ける」をするようにということなので、両手を上げると、天井に小さな穴があいた。
「走って車に戻れ!」
というので、振り返らずに車に戻った。
車に戻ると、皆ニヤニヤしている。
「そんな、走らなくてもよかったのに(笑)(笑)」
「随分時間かかったもんね(笑)(笑)」
「大きい方だったんだね(笑)(笑)」
そ、それは、誤解です!!!
でも、言い訳もできず、顔を赤くして、小さくなっていた。

 帰京して地図で調べてみたけど、そこには何もない。姫神様たちは、知らないほうがいいよ、と言いながらも、ヒントをくれた。あそこには遅効性の蛇毒を作る工場があったとのこと。
「それはもしかして陰謀論者の好物とするものではありませんか?」
と言うと、姫神様たちは、きょとんという顔をして、
「良い、悪いと評価をするな!」
と、またハリセンで叩かれた。
「良い蛇毒なんてあるんですかあ」
と、つい口答えすると、また、ハリセンで叩かれた。

新田神社に行き、さすがは薩摩の国の一之宮と思いながら長い階段を登る。ニニギさまのお墓があり、ご家族が祀られているということだが、ご祭神を見るに、コノハナサクヤヒメ様の名前が無い。ちょっと、ムッとしたけど、そこはきちんと参拝する。

次に鹿児島神宮に行くのに、やはりナビが動かない。途中の公園で一度、車を停めることに。飲み物でも買おうと自販機を探して歩くと、なんと、隼人塚が。その前に立つと、足がコンクリートで埋められたように、動かない。動かしたくても動けない。コノハナサクヤヒメ様がしくしく泣いている。

奥さんが、出発しますよ、と声を掛けてくれて、ようやっと動けた。

鹿児島神宮を参拝してから、霧島神宮古宮跡に向かう。人家もまばらな山道になっていく。そこから登山道があり、山頂に天の逆鉾と言われるものがある。山頂に、剣がささっている。坂本龍馬がそれを抜いたらしい。今はレプリカが置いてあるとのこと。なんであれ登山する時間はないので、麓の古宮跡に行くことにする。駐車場は休憩所やトイレも完備した綺麗なところ。私たち以外には人は居なくて、案内板に従って歩いていく。一人だったらとてもじゃないけど、不安になる、淋しい道。しばらく行くと急に開けて、すがすがしい場所に出る。360度見回しても一軒も民家がない。建物が一つも見当たらない。こんなところが日本にあるなんて驚く。

UFOが発着出来ます。と姫神様が仰る。思わず頷いてしまう。夜に来たら、1つも明かりも無く真っ暗だ。誰にも見られることはない。

「鹿児島にこんなところがあるなんて知らなかったわ。」
と、奥さんが感慨深げに言う。

おっとりさんがお気に入りの「たまご牧場」でオムライスを美味しく食べて、霧島神宮も無事に参拝して、空港に移動する。喜例川駅という風情のある素敵な駅を見学して、空港近くの、ざぼんラーメンを食べて帰京する。ざぼんラーメンにも、やはり、大根の浅漬けのようなものがあり、無限に食べられる美味しさ。まだまだ、美味しいラーメンがあると言われ、後ろ髪をひかれる思いで帰る。今回は大隅半島が中心だったから、次は薩摩半島を回ろうと約束して別れた。

帰りの飛行機の中でネットで道鏡を調べると、孝謙天皇が亡くなったあと、処刑されるわけでもなく、関東の下野薬師寺でお勤めして亡くなっている。天皇をかどかわした罪なら死罪でないのか?と不思議に思った。道鏡は悪くないという説を述べる本や団体もあり、これは少し調べてみようかなと思った。

 鹿児島のお土産はもちろん、しろくまグッズ。むじゃきのシロクマがデザインされた靴下がカラフルで、めちゃめちゃ可愛い。


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