まずは鞍馬に行けということだった。テレビをつけても、携帯をみても、鞍馬がこれでもかというくらい画像にあがってくる。こういう時は行かなくてはならない。

 山の天気は変わりやすいので、ちゃんと登山靴を履き、鞍馬駅から登って行く。女性が一人で登山はまずいかなと思っていたが、高尾山登山なみに、沢山の人がいる。スニーカーならまだしも、ヒールの人も居る。

 幸い、天気も良く、とても気持ちのいい登山だ。
鞍馬寺は割とすぐに着く。ケーブルカーだともっと簡単だろう。しかし、そうすると由岐神社に寄れなくなるので、歩いた方がいいと思う。

 鞍馬寺の奥から山道になる。奥の院魔王殿に向かう。晴れているので、とても歩きやすい。
 早速、金星人を見つけた。異常な足の速さだ。向こうも、こっちを認識した。お互いに無言でペコリを頭を下げる。何か用事があるようで、あっという間に登っていってしまった。私も、凄く身体が楽で、すいすい登れて、次々に人を追い抜く。富士山登山の時と違い、あっという間に奥の院に辿りつく。さっきの金星人が、上をみて、ずっと立っている。また目が合ってしまったので、一応目礼して、私は貴船神社に続く道へ行く。ひたすら、山道を降りていく。ずっと同じ景色を歩いている感覚になる。貴船神社側から登ってくる人も居る。若いカップルも多い。なぜかヒールで来ている。晴れているし、体力もあるから大丈夫だろうが、歩きにくいだろうと思う。山道だし、せめてスニーカーで来た方がいいのになと思う。

 結構、急な山道をおりるので、あっという間に貴船神社側に着く。
奥宮から順番に回っていく。奥宮はものすごくしっかりした結界に守られていて、気持ちがいい。特に、なにかある感じではなく、中宮(結社)に行く。コノハナサクヤヒメ様のお姉さんのイワナガヒメ様が祀られている。和泉式部がいる。すごく知的な人の感じがある。
今日はこの人に会いに来たみたいだ。
「人払いしてあります。」
と言う。確かに、オフシーズンではあるものの、誰も居ないというのは凄い。
「心を研ぎ澄まして、1つも聞き漏らさないで下さい。」
と、キリっとした表情で言う。そう言われると緊張する。
「月をコントロールしている三角を綺麗にしましょう。」
言葉として、きちんと聞いたけど、意味が分からない。
「月をコンロトールしている、は、ちょっと置いといて、綺麗にする三角を探せばいいのですか?」
と質問すると、
「そうです。」
とのこと。月と三角を入力して調べると、新宿の住友ビルが出てくる。
「これじゃないですよね?」
と聞くと、黙っている。三角、鳥居で入力して調べると、三本鳥居、というのがいっぱい出てきた。
「じゃ、これですか?」
と見せると、大きく頷く。
「ここに行けばいいんですね?」
と聞くと、
「あちこちで貰った麻紐を持って行け。」
とのこと。
「これで月をコントロールしてたんですか?」
と聞くと、
「その三角の下に綺麗な水を張ったり、鏡を置いて、使っていた。今は、汚くなってしまっている。」
と言う。
「私に関係ないんですけどお・・」
と言うか言わないかのうちに、また、ハリセンで叩かれる。でも、なんか、とても怖い。おどろおどろしいものを感じる。
「まずは、上賀茂神社に行って、ご協力を仰ぎなさい。そして、翌日、三本鳥居に行きなさい。」
と言われた。今日,行けと言われなくて良かった。
「来週か、再来週に行きます。」
と言うと、納得してくれたようで、団体の客がわーっと入ってきた。
ここで、用事は終わったみたいだったので、オフシーズンの川床料理を食べた。室内から川を見て食べるという趣向だ。山登りを済ませた格好で良いでしょうかと、お店の人に聞くと、大丈夫とのこと。至れり尽くせりの空間で美味しい料理を堪能した。

せっかくなので、貴船神社も参拝し、貴船駅に行くバスに乗った。待っていたかのように、ぴったりバスが来て、スムースに進んだ。こういう時は神様からのOKサインだ。今日は、課題をクリアしたらしい。

三角と月と私について、あれこれ考えながら、家路についた。


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