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川勝静岡県知事の国語講座

川勝静岡県知事が辞任した。相次ぐ失言による批判が殺到し、ついに知事の任に耐えられなくなった。この失言、川勝知事はマスコミの切り取り報道のせいで誤解されたと主張している。

川勝知事は学歴、経歴を見るに偏差値は高そうだ。では、川勝知事の作文に対しマスコミや国民が間違った解釈をしたということだろうか?静岡県庁新入職員に対する祝辞の問題となった話題に言及している段落すべてを抽出し、検証する。

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それからですね、我々はふじのくに静岡県といいます。富士山、これは2013年6月22日に世界文化遺産になりました。信仰の対象、または芸術の源泉ということで、あの品格のある姿、その姿を自分の心の姿にしていただければと思いますね。富士山に向かって恥ずかしいことをしない。つまり自分、天知る、地知る、己は己のことを知っていますから、天知る、地知る、そして自らも知っているということで、そこに富士山をかがみとして恥ずかしいことはしないということです。

それからみなさん優秀ですから、なかなか物をわかってくれない人がいるかもしれない。その時にですね、情理を尽くすということが大切です。理屈ではわかっていても、腹にストンと落ちない場合があります。ですからハート・トゥ・ハートで、その心からこうすると本当に良いというように言って差し上げるとストンと落ちる場合がある。ですから情と理、情理を尽くして、自分が正しいと思う信念を貫くということが大切です。

そしてですね、そのためにはですね、やっぱり勉強しなくちゃいけません。実は静岡県、県庁というのは別の言葉でいうとシンクタンクです。毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです。ですから、それを磨く必要がありますね。で、それは磨き方はいろいろあります。知性を磨くということ。それからですね、やっぱり感性を豊かにしなくちゃいけない、それから体がしっかりしてないといけませんね、ですから文武芸、三道鼎立(ていりつ)と。文武両道というのは良く聞くでしょう。しかしですね、美しい絵を見たり、良い音楽を聴いたり、映画を見たり、演劇を見たりした時にですね、感動する心というものがあると望ましい。
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第一段落で、新入職員に対し抽象的に己を律せよという趣旨を述べているが、第二段落で“みなさん優秀ですから、なかなか物をわかってくれない人がいるかもしれない”という一見不明瞭な発言がある。その後を読めば、職員は優秀だけども話をする相手がわかってくれない、つまり、わからないのは職員ではなくその交渉相手、対談相手だという意味が読み取れる。この段落ではそうした、わかってくれない相手を説得するために理屈ではなく情理を尽くせと述べている

そして第三段落の出だし、第二段落で提示された能力を身につけるために勉強せよ、と述べたあと、皆様は野菜を売る人達と違って知性頭脳が高いから磨け、としたあとにその磨き方を示して話が終わっている。

この一連の文章から読み取れるのは、職員は優秀だけども交渉相手となる相手が、職員が優秀なゆえに言ってることが理解できない人もいるけど、スキルを磨くことでわかってもらえるようにすることが可能である。そしてスキルを磨くに際し、職員は野菜をつくる人と違って頭脳のレベルが高いから頭脳レベルを上げる必要がある。そのレベルを上げることでスキルが磨かれる。

と、なると以下のようにまとめられる
* 職員は優秀なゆえに、その交渉相手となる一般市民は優秀でないので話がわからない人もいる。
* 職員は野菜を売る人(一般市民)と違って頭脳レベルが高いからよりレベルを上げて、情理を尽くしてわからせることができるようにする

川勝知事は、報道の内容は自分の意図と違う、と主張しているが、国語がめちゃくちゃ苦手なのだろうか?本当に早稲田大学の教授だったのか、と疑うほどのレベル。

それはさておき、きりとりでなく、しっかり読み込むと、まあなんというか、エリート意識というより差別マインドむき出しというか。自分たちは優秀だから優秀な人の言葉がわからない人がいるのだという、こんな男が知事であることがおぞましいというレベルだ。

でも、ひとつだけ、川勝知事は良いこと言った。マスコミの切り取り報道を批判したこと。この文章も含めて見ると、優秀な県職員の言葉がわからない県民をバカにしている部分がスッポり抜けてるね。たしかに切り取り報道だ。

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