19.地獄の入り口

 引っ越ししてまもなく、D大学附属小学校から、近くの公立のH小学校へ転校することになった。

公立では制服がないので、私服で通う。
そして、今度の学校では、女の子は赤いランドセルと決まっていたため、私は新しいランドセルを買ってもらった。

今までは20数人の一クラスしかない小学校だったが、転入した小学校は40人以上のクラスが二クラスあった。

たくさんいるなぁ…
子供だらけ〜

そんな印象だった。

お友達、できるかな。

私が入ったクラスは三年一組
女の子たちが話しかけてきてくれた。

新しい学校でやっていけそう。
よかった!!

でも…
一人だけ女の子が…
男子数人からいじめられていた。

どうしてあの子を助けないの?

「いいの。
仕方ないのよ。
私たちが男子から何されるかわからないもの。」

でも、ても…
彼女泣いてるじゃない。
助けないと…
先生は助けてくれないの?
男子を注意しないの?

「いいから、ほっときましょ。
男子から何されるかわからないから、気にしない方がいいよ。」

体の小さい彼女、
数人の男子から蹴られたりしても、涙を流しながら口を結んで、じっと耐えていた。

毎日見るその光景に耐えられなくなった。

彼女をいじめてる男子に、私は啖呵切ったのだ。

やめなさいよ!!
いじめちゃダメ!!!!

私は男子の前に立ちはだかった。
他の男子、女子は、教室の端っこで、中心にいる私たちをみんなが驚いて見た。

私も体が小さい。
整列いたら一番前にいる事が多いくらい小さい。

転校生が…たかだか学校に入って3日目に、こんな出しゃばるものではない。

私は、これでいじめがなくなればと思った。
しかし、現実はそうではない。
考えが甘すぎ!!

当然のことながら
「じゃあ、お前をいじめていいんだな?」
と言われた。

え……

何で答えていいかわからなかったけど、この子を助けないといけないと言う思いが強く、つい、首を縦に振った。

その子はもういじめないって約束する?
そしたら、それでいい。

私は覚悟を決めた。
女の子は、その場から走り去った。
その後ろ姿を見て、

よかった。
あの子はもう泣かなくて済む。

この日から、私にとってこの小学校での地獄の始まりとなった。

…続く……🏫


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