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#5 波瀾万丈…西日本緊急周遊記

#4 のつづき

貧乏人の朝は早い(Day2 / 朝)

怒涛の2月23日を終えた私は春日井のネットカフェにいた。
起きたのは大体早朝5時50分頃。そっから二度寝して6時5分くらいだっただろうか?
なぜそんなに早起きかと言うと、ネットカフェの料金体系は長くいればいるほど料金が高くなるというシステムを採用しているため、一刻も早く起きて「チェックアウト」しなければどんどんお金を取られてしまうからである。
しかし、このネットカフェは6時から無料のモーニングを提供しているため、ギリギリまで滞在し、モーニングの恩恵にあやかってすぐに出発しようという魂胆であった。私は食パン二枚(0円)に備え付けのバターを塗って大急ぎで口に突っ込むと、会計を済ませ、ネットカフェを後にした。

街の澄んだ冷たい空気がマスク越しにも伝わってくる。まず私は、取材対象者の両親が経営するお店に向かうため、前日の早朝まで滞在していた某所まで向かうことにした。取材中断の旨をきちんと説明していなかったのと、滞在のお礼と家族へのお土産を兼ねて商品を購入しようと思ったからである。

春日井駅の名古屋方面のホームは混雑していたが、私のいる中津川方面のホームは閑散としていた。それでも、通勤客のサラリーマンや学生たちの姿が見られた。

お店の営業開始までまだ時間があったので、JRから愛知環状鉄道に乗り換え、八草という駅でリニモという鉄道に乗り換えた。特に目的地があったわけではなく、リニモに乗ってみたかったので乗ったのだ。リニモとは、東京で言うところの「ゆりかもめ」のような無人運転の鉄道で、正式には愛知高速交通東部丘陵線と言う。リニモの名前の通り、リニアモーターカーのシステムで動いている日本最初の鉄道路線なのだ。要は、ちょっと変な鉄道ということで興味があった。

途中、2005年愛知万博(愛・地球博)の跡地を見下ろしたが、なんとも寂しい場所で、およそ20年前にここに世界中の人々が集まったとはにわかに信じがたい様相だった。

ちょっと寂しそうなリニモ

リニモを乗り終えた私は、いよいよ取材対象者の両親がいるお店へと向かった。そっと店に入ると、高齢のお父さんがいた。取材対象者は二階で寝ていると言うので、起こさないように事情を説明。理解のある方ですぐに何が起きたのかわかってくださった。商品を購入。かなり負けてくださって申し訳なかった。

名古屋って何があるの?(Day2 / 昼)

取材対象者のご両親(お父さんしかいなかったが)に挨拶をするという目的を果たし、愛知県にいる必要がなくなった私はひとまず県庁所在地・名古屋へ向かうことを決めた…のだが、まず名古屋って何があるんだろう?

大阪と言えば通天閣に新世界、あべのハルカスもあるしユニバもある。札幌は時計台や季節限定だが雪まつりも有名だ。広島には歴史遺産・原爆ドームがある。博多は天神や中州の屋台とか福岡タワーも有名だ。我が街東京の23区内にはスカイツリー、東京タワー、浅草、渋谷、新宿、観光地ではないけど霞ヶ関の官公庁に皇居とかも…。ディズニーは正確には千葉県だ。それに比べて名古屋って何があるんだろう?名古屋城とか言われても城なんて日本全国にあるし、これと言って観光地が思い浮かばない。埼玉ほどではないが、何にもないんじゃなかろうか?

そんなことを考えていた私が唯一思いついた「名古屋らしいもの」は「味噌カツ」だった。赤味噌が古くからの名産である名古屋は独特な食文化が発達し、甘じょっぱいソウルフードが多いという話を前にどこかで聞いたことがあったのだ。その代表的なメニューが味噌カツである。早速私は美味しそうな味噌カツ屋さんをググって、いくつか目星をつけた。

愛知県某所を出発した私は、途中回り道をして大曽根駅で降り、日本唯一のガイドウェイバスである「ゆとりーとライン」に乗って、上島(東)停留所で下車、昨晩滞在した春日井市の春日井駅まで歩くことにした。また鉄道の話になってしまって恐縮だが、ガイドウェイバスは鉄道とバスを混ぜたような交通システムで、「旅鉄」の私としては乗ってみたかった路線なのだ。

普通のバスと違って専用の軌道を走るガイドウェイバス。法律上は鉄道扱いらしい。
途中で専用軌道を降りてバスになる。ドイツや英国でも導入事例があるが、日本ではここだけ。

魅力を感じないタイプの田舎(Day2 / 昼)

春日井は酷いところだ。どうせ春日井市民に読まれないのでボロクソ書いてやるが、田舎の割には全く魅力を感じない。これが上島(東)停留所から春日井駅まで3キロの道のりを歩いた感想である。もちろん急に暑くなったのとお腹が空いたのと想像より遠かったのでイライラしていたという理由もあっただろう。しかし、それにしても驚いた。田舎というのは「不便だが美しい自然や美味しい食べ物があり鳥や虫がさえずり移住者には冷たいが旅人には優しい老夫婦が住んでいる」というイメージを持っていたが、春日井には中途半端にビルが建っており、川は汚いし草木は枯れてるし鳥はカラスしかいないし老夫婦も住んでいなかった。本当につまらなかった。

魅力を感じないタイプの田舎 春日井
川に近寄ると溺れるらしい。きっと中途半端な田舎だから誰も助けてくれないのだろう。

やっと春日井駅に辿り着いた私はあまりの暑さにコートを脱いだ。そして列車に乗り、謎多き県庁所在地・名古屋へと向かったのだった…。

#6 につづく)

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