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「チャイルディズムについて」(第1章関連)(2023.7.12議論)

本日より、宮坂靖子著「ケアと家族愛を問う」の輪読を行ってまいります。

チャイルディズムとは?
「子供を大切にする考え方」 子どもや若者を社会の一員と考え、制度的に阻害されないようにする試み。そして歴史的に根付いている大人前提を覆すような試み。(※この言葉は多義的で使われる文脈、学問分野によっても意味が異なる。)

デンマークにおける官製チャイルディズムの成り立ち
官製フェミニズム(ジェンダー平等の促進)
…当時、デンマークでの労働市場における性別職務分離等の問題から、国家主体で
 女性就労を促進するために整備されたフェミニズム。例:パパ・クオータによる
 女性の負担軽減
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新自由主義の台頭によるパパ・クオータの廃止(ジェンダー平等の後退)
…2001年までにパパ・クオータを廃止、それに伴い両親休暇の整備

大塚陽子(2012)親休暇を所得したことのある給与補償の受給者数の推移によると5パパ・クオータ廃止により2002年に男性:35,542人、女性:58,280人であったものが2007年には男性:41,060人、女性:93456人と男女比の差が拡大

→民間企業では労働環境や雇用契約により、また失業者と自営業は両親休暇を思う
 ように取得できないことがあり、ジェンダー格差が浮き彫りとなった。また男女
 の取得率の差から、女性の失業・就労のシフトダウンや年金受給率の低下と女性
 ばかりに不利益が生まれる。
↓↓↓
児童福祉は維持・拡充(子供の権利の保障)
…保育施設の増設、その他社会的養護の強化。社会的養護とは「保護者のいない、
 また何らかの理由で保護者が養育できない子供の成長や発達を図る公私の取り組
 み」を指す。

デンマークの社会的養護ケアの2分類
① 親子を分離する家庭外ケア(親子を分離し、子どもを里親や施設に措置するな
              ど)
② 在宅で支援を受ける予防的ケア(ハイリスクな家庭に対し、子供が在宅のままで                 生活を立て直せるようにする行政サービス) ↓↓↓
官製チャイルディズムの完成

ジェンダー平等が十分に達成されずに子供の福祉追求へ傾斜
女性のライフスタイルへの影響を懸念



参考文献
・大塚陽子「北欧福祉国家とジェンダー平等」,政策科学19-3,2012
・佐藤桃子「デンマークにおける子どもの社会的養護 : 予防的役割の必要性」,年報
 人間科学 35 ,2014, p.53-71
・中里英樹,ノルウェーとスウェーデンにおける「パパ・クオータ」の意義,
 DIO,2019-3
・childism institute,「WHAT IS CHILDISM?」,2023-7-9

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