見出し画像

にじにこうえん

それじゃあ、「こうえん」で「にじ」にあいましょう。

と、あの人が言った。

たのしみです。

久しぶりの、待ち合わせなのだ。

きをつけてあるいて。

あのひとは、やさしいようなはぐらかすような答え。

ありがとう。
 
「こうえん」は高くて遠いから、

ふらふらしていると落っこちてしまいそうだ。

おまけに、広くて遠いので、あの人がなかなか見つからない。

「虹」に待ち合わせと言っていたっけ。

いったい、どの色に立っていたらいいのかしら。

二児の子供がいるお母さんが公園のベンチに座って泣いている。

私は彼女の肩をやさしく抱いてやりたかったが、そのあと何を言えばいいのかわからない。

二字の言葉で言い表すことのできる、すばらしい慰めがあったはずなのに。

「合間しよう」というからには、私との関係にあの人も疲れてしまったのかしら。

私、できることならその合間のなかにずっといたいな。

ずっと行間でいいから、私、そこにいたい。

白くて、いつも次を探してもらっている場所にいたい。

永遠に終わらない気がするところにいたい。

あの人は見つからない。

どこにいるのだろう。

あの人との待ち合わせは、いつも難しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?