総合警備業の「株式会社ワードセキュリティ」は、令和5年1月に創業。4月開業した会社です。建築、道路、水道、電気など、生活インフラを整える工事現場での交通誘導整備から、駐車場、イベント等の雑踏警備と幅広く社会の安心と安全を守る会社です。「先進的な警備の導入で人材不足や警備業界の低賃金を解決したいと話してくれたのは、代表取締役社長の平井さんです。

多様な人の雇用が起業のきっかけにも
平井さんー「交通警備会社で業務部長として働いていた時、漠然とですが自分で起業しようかと考えていました。そんな時に「働きづらさを抱えた方の就労支援について話を聞いてほしい」と、NPO法人わたしと僕の夢さん（以下わた僕）から連絡をもらったんです。人手が足りないこともあり、タダで人を紹介してもらえるかもしれないと話を聞いてみました」。

わた僕から同社に紹介されたUさんは、長い間社会との関わり薄く生きてきたせいか、声も小さく視線も合わせきれないという状態でした。平井さんは、わた僕から話を聞いていて、ふと、自分の友人との出来事が頭に浮かんできたそうです。
平井さん－「彼はコミュニケーションが苦手で仕事に就いても人間関係が上手くいかず職を転々としていました。困り果てた彼の母から相談を受け、一緒に働こうと誘ったんです。それから何か問題があれば僕は彼ととことん話し合っていきました。そんなことを続けるうちに、少しずつ相手の気持ちを考えて会話が出来るようになって、周囲との関係性も築けるようになりました。開業するときもついてきてくれて、会社を支えてくれる社員のひとりです」。

Uさんと面接で話してみると、ユーモアのある一面を知れて自分の中にあった不安が少し減り、他の社員とも上手くやれそうだと思ったという平井さんは、比較的簡単な交通誘導だと可能だと判断します。「長い間働いていない、コミュニケーションが苦手でもペースがゆっくりな人でも、出来る仕事かもしれないと希望が見えましたね」。

Uさんとの出会いは、平井さんにとって起業の後押しになりました。「コミュニケーションが苦手で社会との関わりが薄い人も活躍できる可能性が警備の仕事にはあることを知れて起業の一歩が踏み出せたんです。原動力は社会貢献としての雇用を広げたい。活躍の場を広げたい。わた僕のように、働きづらさを抱える人を支える活動団体があること知ったことも大きかったですね」。

難しいのは「理解」。だから対話をしっかりと
　今では、行政や社会福祉協議会からの相談も来るようになった同社。本人と直接話して状況などを確認し、無理のない範囲で働いてもらっています。皆それぞれに出来る事出来ない事はあるから、真面目に頑張ってくれたら良いと、平井さんは考えています。
平井さんー「妻から『多様な人に対応していく、雇っていくなら、今の考え方じゃ無理なんじゃない？』と言われたことがあって（笑）。『自分』の基準で物事を相手に伝えていたのでは、誰もついてこないと。“なんで出来ないのか”の“なんで”を突き詰めても仕方がない。今はそう思えるようになった。今でも時々『なんで!?」と思っちゃうことはありますけどね。社会貢献や就労支援の可能性を感じつつも、自分自身が上手く対応できないことも多々あるし、思うようにいかないことも沢山ある。だけど、出来ない事はないし、しなくてはいけないと思っています」。

いろんな状況の人と共に働く上での難しさの一つに、「みんなの理解を得る事」だと話してくれました。特性のある人を数名のそれぞれの状況を他の社員に説明し対応方法を話すが、全員にはなかなか分かってもらえないそう。給与に差があるので、大きな不満にまではなっていないが、十分に受け止められているとは言えないのでしょう。
平井さんー「不満を持つ側とも不満を持たれる側とも対話を持つことを意識していますね。誰かを批判するのでなく、だからどうするかを考えるべき。経験がある分、教える、自分が対処する等出来る事はするべきと考えています」。
　経験的にも能力的にも多様な社員が働く同社。平井さんは、一人一人との対話を大切にし、誰にでも大なり小なりある特性のバランスをみながら、配置や仕事の割り振りを調整しています。

（ライターのつぶやき）
　ある土曜日の朝、平井さんからわた僕に電話が入りました。Uさんが片側通行の誘導を上手くできたという報告でした。試行錯誤しながら仕事を教え、やっと上手く伝わる方法を見つけ出せた喜びとUさんが一歩前進できた喜び。電話越しに平井さんの満面の笑みが見えた瞬間だったそうです！

（同社からメッセージ）
18歳以上の人、大募集中です！まずは連絡ください！
株式会社ワードセキュリティ　TEL:0942-64-9858