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【読書感想文】生かされている命⭐︎泉鏡花「高野聖」を読んだ

二段構成なのが良い。旅の僧との出会いから始まり、その僧に「おもしろい話を聞かせてほしい」とねだって床の中で聞けた話がヤバかった、という。

女に出会うまでの山道の険しさ、恐ろしさの描写もすごい。大蛇が目の前を横切った時「恐ろしさに身震いして立ちすくむと、涼しさが身に染みた。この時から聞こえはじめたのは…」この後、ヒルが降ってきたり。

女の、怪しい美しさの描写がすごい。ありそうな非現実的世界、水や月光の効果も凄いし、既読感があるのにドキドキしながら読み進めてしまう。

石の上に腰掛けて滝を見ながらの葛藤シーンもすごい。内面の乱れが手に取るようにわかった。

「おやじ」が女の事を詳しく話し「助けられたのが不思議なくらい。まったくの命拾いをなさったのじゃから、お若い方、必ずしっかり修行をなさいませ」と言った。引き返すのを止めなければ、僧も餌食の一人になっていただろう。

そう考えると、(我が身を振り返り)生かされている命を大事にし、人の役に立つ生き方がしたい、と改めて思った。

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