【資格勉強】悲壮の覚悟で目指せ簿記1級!Part3
前回に引き続き簿記をテーマに書きたいと思います。
⑧ ストレスから起こった身体の異常
ちょうどこの頃から、私の身体にはある変調が起こっていました。
それは頻尿です。
厳密には頻尿”感”で、実際にトイレに行ってもさほど尿は出ないのですが、尿意だけが起こるという症状がみられました。勉強中も30分も経てば尿意を催すようになり、頻繁にトイレに行くようになりました。模擬テストでも後半にはもう集中力が続きません。
調べてみると、心因性の頻尿があるようで、「膀胱・尿道の病気もなく、また尿量も問題ないにも関わらず、トイレのことが気になって何回もトイレに行ってしまう状態」らしいので、当時の私はまさにこれだったと思います。※日本泌尿器科学会HPより
本番は大丈夫だろうか・・・
簿記1級のテストは以下のような時間割で行われます。
当時の私のコンディションだと、いかに間に15分の休憩があったとしても、そもそも90分間集中を続けることができませんでした。
⑨ ボロボロだった本番・・・
そんな状態でとうとう試験当日を迎えました。
私はTOEICや簿記で、何度も資格試験を経験してきました。その経験から、その日のコンディションは自身の行動からわかります。私の場合、行きの電車の中や、到着後の教室で、試験開始前まで勉強ができるときほど、余力があり、試験結果も良いことが多かったのです。
ですが、その日はボロボロでした・・・
前日は眠れないと困るので、市販の睡眠導入剤を使用しました。
しかし、エアコンの温度調整を間違えてしまい部屋は寒いまま寝てしまいました。薬の影響から目覚めることもなく、朝には寝冷えで、起床時からダルさが身体を襲いました。
受験会場は横浜あたりの会計専門学校。(だったような)
行きの電車からぐったりしており、これから試験が行われるとは思えないほど、予習もなにもやる気が起きません。会場に到着後、周りに合わせて会計学の参考書を手に取りましたが、文字を読めど頭には一切入りません。
試験が始まりました。
最初の「会計学」は記憶力勝負で、体調が悪くても過去の積み重ねが活きます。怪しい箇所はありましたが、何とか乗り越えました。ところが、次の「商業簿記」に入ると、途端にペンが止まりました。(細かいことは忘れましたが)、とある設問が、時間がかかるとか、計算ミスをしそうとか、そういうレベルではなく、そもそも解けなかったのです。
私は あぁ、終わったな と思いました。
簿記1級において、章ごと失点してしまったら合格ラインに届く可能性はゼロに近くなります。そもそも会計学も「悪くない」程度の出来でしたから、せいぜい平均的な受験生レベルの得点だったと思います。
私は前半の会計学と商業簿記だけは受けましたが、後半の工業簿記は受けずに帰りました。試験官の方に「体調悪いので帰ります」と言ったら、びっくりした顔をしていました。そりぁそうです。
私は失意の中、帰りの電車で「どうしようかなぁ」と思っていました。
また簿記1級を狙うか。正社員になるために他の方法を探るか。
もう28歳。正社員になるためにはタイムリミットが迫っているのは自分でもわかっていました。
⑩ 無気力化、しかしまさかの正社員に
当初からの予想通り?試験後は簿記の勉強をする気がまったく起こりませんでした。再受験をするとしても半年後なので、そんなにすぐに勉強し始める必要もないのですが、それにしてもやる気がでません。
おそらく簿記3級:2か月、簿記2級:3か月、簿記1級:6か月、と合計すると1年間同じような勉強を続けたので”飽き”もあったのでしょう。
私は久しぶりに「何も勉強しない日々」を過ごしていました。
受験してから1週間が過ぎたある日でした。
「ちょっと来てくれる?」
直属の上司が私を呼び出しました。
まずい・・・
派遣社員が社員に呼び出される。これは良い報告の可能性よりも悪い報告の可能性が高いのです。一緒に仕事をしていて、そんな気配は感じませんでしたが、「会社の都合でこれ以上雇えない」といった、”肩たたき”の可能性を考えました。
「正社員になってみない?」
え・・・
私は驚きで声も出ませんでした。
当時働いていたのは大手広告代理店。真っ当に入社しようと思ったら何回もの面接をくぐり抜けてようやく入れるような会社のはずです。そんな会社だったので、派遣会社からも「この会社で正社員になれるということは期待できない」と言われていましたし、私も「そりぁそうだ」と思っていました。
確かに当時、仕事も頑張っていました。派遣社員として生き残るためにも、「〇〇を業務を経験した」という実績は多いほうが望ましいので、コピーだろうが、Web会議のセッティングだろうが、どんな仕事にも「やります!」「やらせてください!」と前向きに取り組んでいました。でもそれは、将来自分が損をしないように(言い方は悪いですが)打算的に考えた結果でした。
また、簿記の勉強をしたかったので、ほぼ残業は断っていました。そんなアンチ社会人的な態度で評価されるとは考えていませんでした。
まったく予想外の展開。
でも、それまで私を苦しめてきた貧乏や非正規というコンプレックスからの解放。嬉しさしかなかったことを覚えています。
私を社員登用するよう推薦してくれたグループリーダーは非常に優秀な人でした。その後、人事や役員との交渉も進めてくれて、私は建前的な面接を経て、本当に正社員になることができました。
⑪ 簿記1級受験は大きな財産に
正社員になったことで、簿記1級の取得は必要なくなりました。
もう、あのハングリー精神で勉強することができないので、狙うこともありません。
ですが、簿記1級の勉強自体はその後の業務で大変役に立ちました。当時私が所属していたのは、いわゆる大企業で多くのグループ会社を保有していました。簿記1級で学ぶ、税効果会計や連結会計の知識が大いに役立ったのです。
また、勉強が習慣化したことも大きな財産になりました。
学生時代には大して勉強をしていませんでしたし、勉強する意味もわかりませんでした。しかし、社会人になって、生活が追い込まれたことで、初めて勉強に向き合いました。そこで初めて自分なりの勉強法を発見することができました。
それは、世にある「〇〇勉強法」とはぜんぜん違います。
自分はどういうケースでサボりやすいか、何がモチベーションになりやすいか、何がストレスになるか、そんな自分自身との対話です。画期的・革新的な勉強法なんて存在しないことが発見だったとも言えます。
さて、3回に渡って簿記をテーマに書いてみました。本気で簿記1級を取ろうと思っている人は少ないと思います。でも他の資格勉強等々にも共通する部分もあるかもしれません。何かの参考になれば幸いです。
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