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勘で生きている

朝起きて、顔に刺さる冷気に絶望する。
ここ数日、急に冷えこんでしまった。ああ、秋が終わって冬が来る。寒いのは本当に苦手だ。

誰もいない冷え切った居間に降りて、ティーバッグのルイボスティーを淹れる。ダイソーで買った、大容量の赤いマグカップ。冬のスタメンだ。
カップになみなみとお湯を注ぐと、ティーバッグからもやもやと赤銅色の帯が染み出してくる。出来上がりを待ちながら、ふとルイボスティーの賞味期限が気になってパッケージを裏返すと、一度も読んでいなかった淹れ方が目に止まった。


①耐熱カップにティーバッグを入れ、沸騰したお湯約140mlを注ぎます。
②蓋をして約3分蒸らします。
③蓋を外してティーバッグを数回振り、取り出します。

会社の先輩がお茶を淹れるときに蒸らすのを見てからなんとなく真似し始めたけど、正解だったのか。

いや、そんなことよりも気になることがあった。

 140ml。

たっぷりとお湯を湛えたマイマグカップを見る。明らかに140mlより多い。200か300か、いやたぶん350mlくらいある。なにせ大容量を売りにしていたマグカップだ。
しかも、いつも同じティーバッグで2杯目も淹れている。もちろん2杯目もなみなみと。そりゃさすがに2杯目は気持ち薄めだなーとは思っていたけど、本来140mlのところを700ml(推定)も淹れるとは出涸らしもいいところである。5倍て。

去年このルイボスティーを誰かにいただいてから、ずっと勘で蒸らしてたし、ずっと勘で「濃さはこんなもんだろう」と淹れていた。
勘に頼りすぎていたせいで、この商品が本来意図している美味しさを知らなかったのは損だ。でも、淹れ方を見てきっちり作る人よりも5倍のルイボスティーを飲めているのはある意味お得なんじゃないか? とも思う。少し薄い気はするけど十分美味しいし。
いかんせん貧乏性なので、「たっぷり」は幸せの代名詞みたいな節はある。

勘で生きるのも全然悪くない。

気を取り直して、ルイボスティーの賞味期限を見る。2週間過ぎていた。

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