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2. どんな小論文を書けば評価が高いのか【無料記事】

はじめに

日比谷高校のHP「推薦選抜の各検査における評価の観点」には

  • 出題の意図を的確に把握する力

  • 資料を正しく分析し、考察する力

  • 根拠を明確にして自分の意見を的確に表現する力

  • 文章を論理的に構成する力

の4点が挙げられています。具体的にはどのような文章を書けば、合格につながるのでしょうか。

小論文の解答の流れ

日比谷高校の小論文試験では、数百字のスペースに、自分の持っている既知の知識をひけらかすのではなく、現時点でまだ自分にとって未知で理解していない分野に、自分の目の前の資料から読み取れることと自分の持っている知識を組み合わせてアプローチし、解答を導き出す、というスタンスが求められています。

まず過去問を見てみてください。内容の高さにややたじろぐかもしれません。実は筆者も初めて問題を見たときは正直「めんどくさいなあ」と思いました。

いきなり解答を書き始める、というのは基本不可能です。ですが、解答するには何をすべきなのかを考え、細かくブレイクダウンして一つ一つ潰していけば、必ず解答できます。

設問で資料に基づいて考察を行うように「ルール指定」されますので、

  1. まずは設問を完全に理解

  2. しっかりと資料から重要なポイントを読み取り抽出して箇条書きにする(正しい分析・考察)

  3. その箇条書きの点をつないで(根拠の明確化)線にし、洞察を加えてふくらませて面にして議論を構築(意見の的確な表現)

  4. 設定された字数内に落とし込む(論理的文章の構成)

というのが小論文の解答の流れです。

まさに上記の「推薦選抜の各検査における評価の観点」の流れと全く同様になります。

それでは上記の4つのステップを一つずつ見ていきましょう。

ステップ1 出題の意図を的確に把握する

これは小論文だけでなく、すべてのテストに言える上、日比谷高校が重視する、「生涯学び続ける」ためにも必要な技能ですが、出題の意図(あるいは問題提起)を的確に把握してそれに沿った解答(研究)をしないと意味がありません。

日比谷高校推薦入試の小論文は、フィギュアスケートでいうところの「規定演技」です。細かく解答方法を規定した出題を読み取って出題者の意図を理解し、定められたルールの中で記述することが要求されます。あるいは「規定演技」を終わらせてから自分の考え(「自由演技」)を述べさせる形になっています。

まず初めに「規定演技として求められているものは何なのか」をはっきりと理解することが重要です。

素晴らしい自由演技をしても、規定演技のルールから外れていれば得点はありません。

そのため、当たり前のことではありますが、問題を見てまず最初にすべきことは「設問を完全に理解する」ことです。

過去問の分析・解説にあたってはこれを「ステップ1」として詳しく説明してあります。



ステップ2  資料からの重要ポイントの抽出と箇条書き化

令和4年の問1は、「4つの資料を見て日本の再生可能エネルギー推進に向けた取り組みの現状につき欧州と比較しながら述べよ」というものでした。

そのうちの1つに「欧州と日本の電力網の違い」という資料があります。

図には「欧州と日本の電力網の違い」とタイトルが書かれており、「日本がくし型で欧州がメッシュ型」と書かれていますが、円や線がなにを表すのかの説明は何もありません。

ですが実はこの図は、問1にしっかり解答するためには極めて重要な資料でした。

この資料は何を意味するのかを、受験生は自分で考えてポイントを見つけ出し、それを元に自分でストーリーを組み立て、答案に反映させる必要があります。

では上記の図から読み取れることは何なのでしょうか。

答えは以下の通りです。

電力網がくし型の日本は、メッシュ型の欧州と比較して電力網の相互接続性が低い上、電力を融通する送電線の容量が小さいことから、各地域間で柔軟に電力を融通する能力が劣る(ため、天候によって各地域で電力の余剰・不足が発生しやすい太陽光発電には不向きでコスト高になる)

抽象的なこの図から具体的なポイントを洞察力を持って抽出し、他の資料からのパーツをつなぎ合わせて、事実と根拠に基づく論理的な文章を構成していくことが求められます。

ここで「日本の交流電源は50Hzと60Hzの二つに分かれているため日本の東西での電力の融通が難しい」などと書いてしまいたくなる人もいるかもしれません。

ですがそれは前述した通り、「資料をもとに書け」という出題の意図に反していて、「規定演技」のルールから外れていることに気づきましょう。

重要な点をしっかり抽出し、箇条書きにし、それを最終的に繋げて一つの文章にしていくことで、ステップ3の「根拠の明確化」が図られます。

ステップ3 点をつないで線にし、面にして議論を構築するため、連想ゲームができるだけの知識が必要

ステップ3では、資料から読み取ったポイントをふくらませていく作業、具体的には読み取ったキーワードから連想ゲームを働かせてさらに新しいキーワードを思いつくことが必要となります。

たとえば過去の設問を見ると、「地球温暖化対策」というキーワードから「クールビズ・ウォームビズ」「リサイクルの徹底」「電気自動車」などの連想ゲームを行い、連想ゲームで導き出された新しいキーワードを使って具体的な議論を展開する必要があります。

連想ゲームができるためには、一定以上の知識が必要とされることは間違いありません。そして連想ゲームで得られた新しいキーワード、たとえば「リサイクルの徹底」について、実際にどのような施策が実行可能なのかの具体的なアイデア、それをすることで良くなる点と悪くなる点は何か、などについて自分なりの意見を的確にかつ論理的に表現・構成していく必要があります。

最終的に提出する解答の一歩手前で、箇条書きにしたポイントをつなげ、そこから論理的に自分の意見を展開していくことが求められます。そしてそれを一度制限字数を軽めに意識しながら「仮の解答」を作ります。

ステップ4 最終的に解答にする

文章を書くプロでも、例えばあるテーマで420字以内で何か書いてください、と言われて一発でその字数にぴったりの文章を書ける人はほとんどいません。

ステップ3で作った「仮の解答」の字数カウントをして、それが制限字数より多ければ冗長だったり必ずしも必要でない部分を削ります。少なければ説明を肉付けしたり、新たな材料を付け加えられないか検討します。

制限字数が120〜140字とあれば、最低でも130字以上書くのがベターです。420〜460字とあれば、440字以上ということになります。

具体的な解答の作成方法については、過去問を見ながらこのあとお伝えしていきます。

小論文問題の解答にあたって、例えば「貧困の再生産」「車輪の再発見」などの難しい表現を知っていることは、短い字数で多くのことが伝えることができるためある程度有利に働きます。ですが、誤った言葉の使い方をしてしまうリスクもあります。不安があれば字数は増えますが平易な言葉を使った方がいいでしょう。

繰り返しになりますが、知識をひけらかすことが小論文試験ではないのです。

何が評価を下げるのか/「NGワード」は何か

令和4年度の推薦入試の小論文受験者数は215名、合格者は63名です。小論文の満点は250点です。

以下が令和4年度の小論文の点数分布になります。このグラフを見ると、ボーダーラインが202点近辺(250点満点中80.8%)であることが推定できます。

学校HPより

採点にあたっては215人分の小論文を読まなければなりませんが、すべての受験者の小論文を細かく採点しているとは考えにくく、何らかの「やらかし」があった答案を大きく減点して詳細な点数づけは後回しにし、一定以上のクオリティのある答案を細かく採点している、と考えるのが自然でしょう。

1月26日の試験日から、合格発表の2月2日(おそらく1月31日ごろには合格者は決まっているはず)まであまり時間がないことを考えれば、やむを得ないことだと思います。

逆にいうと、大きく減点される「やらかし」をしなければしっかり採点してもらえるということでもあります。

では、何が大きく減点される材料なのでしょうか。考えられるのは以下の通りです。

  • 設問を理解せずに解答(答えになっていない)

  • 設問は理解していたが時間不足など何らかの理由で制限字数に満たない

  • 資料から読み取れない事実をもとに議論を展開

  • 資料で必ず読み取ってそれをもとに議論を展開しないといけないポイントをミス

どれも、「今回の小論文試験は『自由演技』ではなく『規定演技』に近い」と理解していれば避けられるミスです。

本当に時間がなく、制限字数に到達できない、と思った時は、そこであきらめず、クオリティを下げてもいいので、指定制限字数を超えるぐらいまで書き殴って未完に終わるぐらいの方が絶対にいいです。


次に、小論文試験の解答テクニックを見ていきます。

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