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就活で100社以上落ちた「吃音」就活生の体験談

吃音症に負けないで欲しい

まず最初に、私は吃音症持ちの社会人1年目の男です。(22卒ですね)
今は、就活生向けのWEBメディアを運営する企業で、コンテンツマーケティングを行っています。

小学校低学年の頃から、難発性の吃音症を持っており、社会人となった現在でも吃音症に苦しんでいます。

会社全体のmtgで発表する時は本当に地獄です。

「もっと発表の練習をしてください」と言われます。

この記事は、1年前の私と同じように吃音症に苦しみ、毎日心が折れそうになっている就活生に向けて書いています。

この記事を通して私が、吃音症に苦しんでいる就活生に向けて伝えたいのは、「吃音症に負けないで欲しい」という事。

私が、吃音症に苦しみながら乗り切った就活体験談・感じた事を全て書きたいと思います。

就職活動において吃音はハンディキャップだと思う。

一応説明しておくと、吃音症とは「自分の思い通りに言葉が出ない言語障害」の事です。「どもり」という言葉の方が伝わりやすいでしょうか。

あまり理解されないけど、中々に辛い障害です。

そして、就職活動において吃音症は間違いなくハンディキャップです。断言できます。(異論は聞きますが、認めません。)

就職活動、特に面接の場面で、吃音持ちの人は圧倒的に不利だと思っています。

なぜなら、どれだけ洗練された「志望動機」・「自己PR」を提げて面接に臨んでも「伝える事ができないから」です。

就職活動は、面接官とのコミュニケーションで「自分こそが御社で活躍できる人材です」とアピールできるかどうかが全て。そして、アピール手段はどんな業界でも「口頭でのコミュニケーション」が土台となっています。

自分が「自社の今後を担う学生を採用する面接官」だと思って想像してみてください。あなたなら次のどちらの学生を採用したいと思うでしょうか。

  • 流暢にスラスラと自身の魅力をアピールする
    笑顔で自信が溢れている就活生

  • 言葉が途切れ途切れで、話が長く何を言っているかわからない
    自信のなさそうな就活生

圧倒的に前者の方が多いと思います。

就活のマナーは、「結論ファーストで端的に自身のアピールポイントを話す事」です。これができてない就活生は、「この学生は話の要点がまとまっていない・準備不足だな」「こんなに緊張していて、面接練習をしなかったんだろうか」とマイナスな印象を持たれてしまう事が多いです それに、「流暢に自身の魅力を伝える自信に溢れている学生」の方が、「活躍できそう」である事は自明でしょう。

吃音症に苦しみ続けた1年半の就活体験談

私の就活体験談を語る前に、簡単に私の就活遍歴を紹介します。

  • 志望業界:広告(WEBマーケ)・人材業界(就活支援がしたかった)

  • 就活実施期間:大学3年の5月〜大学4年の8月末

  • 大学:関関同立/MARCHレベル

  • 選考を受けた企業数:ざっと100社以上

  • 獲得内定:5社

  • 大学時代の活動
    ①ウェディングスタッフのアルバイトを4年間やっていた。
    (アシスタント職:結婚式の責任者の右腕的な役所(披露宴中の進行が円滑に進むように、披露宴チームとお客様との中間に立ちながら常に走り回っています。余興のサポートとかします。)
    ②アパレルスタッフのアルバイトを1年間やっていた
    ③よくあるスポーツサークルに所属

以上が私の遍歴です。吃音症で接客が苦手だったにも関わらず、人と話す事が好きなので接客業のアルバイトをしていました。
(アルバイトも吃音にとても苦しみました)

「なんでそんなに頑張ってるのに内定ないのw」が辛かった

1年半の就職活動を通して、最も辛かったのは「上手くいかないのは、努力不足が原因だと言われる事」でした。

今、同じ悔しさを抱いている方は多いのではないでしょうか?

就活生時代の私のルーティンは、「徹底的に企業分析をする事」・「面接前夜にカメラに向かって一人で笑顔を浮かべながら志望動機を話す事」でした。

以下に、実際にやっていた企業分析の内容をご紹介します。

<企業分析>
選考を受けた100社全てを徹底的に分析してました。
<志望動機>
面接の前日は何時間もカメラに向かって志望動機や自己PRを話続けてました。

企業分析は、「採用HP・実際に働いている人のインタビュー記事、Youtube動画・ワンキャリアやUnistyleに掲載されている選考体験談を見ること」・「志望業界に務めている先輩から業界事情を聞く事」、悔いを一切残さないように、自分にできるありとあらゆる事をやり尽くしました。

志望企業の社長や役員のSNSまで見ていました。面接での話題を作る事、何よりも「入念な準備をし、本気で選考に望んでいる事(=志望度が高い事)」を伝えたかったからです。

面接の最後には必ず、「質問リストを作ってきたのですが、質問させてもらっていいですか?」と、本気で興味を持って選考に臨んでいる事をアピールしていました。

現在働いている企業の社長からは、「どれだけ質問するねんw」って思われていたようです。ストップと言われるまで、質問をしまくったほどにです。

私の大好きな漫画である「鬼滅の刃」の錆兎の名言である「努力はどれだけしても足りないんだよ」のように、努力はどれだけしても足りるものではありませんが、自分にできる全ての準備をして、面接に臨んでいました。

<鬼滅の刃 第7話「亡霊」>

今振り返っても努力が足りていたのかはわかりません。

けれど、誰に対しても「私は頑張った」と胸を張れるくらいに、全力を尽くしました。「準備不足の不安」が心にあると、吃音が出やすくなるような気がしたからです。

しかし、自信満々で面接に挑んでも、期待通りのパフォーマンスができた事は片手で数えられる位しかありませんでした。

自己紹介すらできない日もあれば、順調に話せていたのに急に吃音が出まくったりもする日もありました。コントロールができないのです。

二次面接で期待通りのパフォーマンスができ、「弊社に合いそうな素敵な方だと聞いています」と最高の雰囲気で始まった役員面接でさえ、吃音のコントロールができず、志望企業の役員が困惑するくらい話せなかった時もありました。
面接が終わってないにも関わらず、途中で悔しくて泣いてしまったこともあります。

1年半の就職活動の中で、最も記憶に残っている辛かった3つの言葉があります。

  1. 入念な準備をした挑んだ企業の面接官からの
    「もっと準備をして面接に臨んでください」

  2. 仲の良い友達から言われた
    「〇〇くんはなんでそんなに努力しているのに内定が出ないんだろうねぇ」

  3. 誰よりも努力を認めてほしい父親からの
    「事前準備が足りてないから、落ちるんだ」

無理もないですが、「自分の苦しみと血と涙を滲ませ続けた努力が理解されない事」「過程を軽んじられる言葉」がとても辛かったです。

吃音症は、障害者が多い割に認知度が低く、理解されにくい障害なので、似たような悔しさを味わっている方は本当に多いと思います。

辛すぎた就職活動の終わり

本当に就職活動は辛かったです。
カレンダーが進むにつれ、新卒採用を終了する企業と、「就活終わった!」のストーリーの数が増えていきました。

典型的な「22卒NNT(無い内定)就活生」でした。
「自分だけが取り残されていく焦燥感」と「終わりが見えない就職活動の恐怖」は22年の人生の中で最も自分に涙を流させた相手だと思います。

私の就職活動の終わりを簡潔に伝えると、
「WEBマーケ×人材」の2つの志望業界にマッチし、自身と同じ就活生を支えるメディアを運営する企業からの内定を獲得する事ができました。

いわゆる納得内定です。
我ながら100点の就職活動だったと思っています。

しかし、同時に運が良かっただけだとも思っています。
たまたま、吃音がそれほど出ず、「多少のコミュニケーションの不自然さ」より、「私の人間性」を見てくれる企業に出会えたから内定を勝ち取れただけです。吃音状態が最低だったらきっと落ちていたと思います。

どこまで行っても不利な就職活動だったと思います。

「吃音持ち」の逆境に抗い続けるしかない

これまでに紹介した1年半の体験談を通して、皆さんに伝えたい事は、

「吃音持ちの就活生は、逆境に抗い続けるしかない」

という事です。

吃音症の当事者にしか理解されないと思いますが、吃音症を患った就活生がお祈りメールをもらい続ける原因は、吃音という「コントロールできない外的障害」によるものがほとんどです。

観光・航空業界に起こったコロナという外的障害による「内定取り消し」と同じです。

「吃音のせいにするんじゃない」という意見がある事は、もちろんわかっています。

しかし、現に吃音症を患っている人は、日本に約120万人世界で約7000万人もいるにも関わらず、完成された治療法は一つもありません。(詳細記事)
恐ろしいほど研究が進んでいないのです。当事者からしたら不治の病なのです。

一般的に吃音症の治療が成功しやすいのは、「私の子供は吃音かもしれない」と気づいた親が、幼少期に子供を治療施設に連れ行った場合がほとんどだそうです。
大人の吃音症を治療するのは、難易度が高く、とても時間がかかります。
そして完治はしません。

子供の頃の私は、両親に気づいてもらえませんでした。

気付いてくれなかった両親を何度も恨みましたが、仕方がないとも思っています。吃音症の知名度が低いのですから。

親しい友人も私の吃音症に気付いた事はありません。
吃音持ちの人は自然と「吃音を隠すような話し方」になり、周囲から気付かれにくくなるからです。音読などの、日常会話とは異なる「話すことへのプレッシャーが掛かる場面」でようやく、吃音症状が出ますが、何も知らない他人からしたらただの「緊張して噛んでいる人」にしか見えません。最悪です。

前述で話したように、吃音症を抱えての就活はどこまでも「逆境」です。
変えようのない事実だと思っています。

しかし、なりたい自分になる為に「就職」する事が必要なのであれば、就活から、吃音からは逃げ出す事はできません。

私は100社以上不採用通知を溜め込んでも、どれだけ「死にたい」と思っても、絶対に逃げたくなかったです。

ですので、吃音症だけど「就職したい」と思っている方は、

吃音という逆境に抗い続けてください。
そして、絶対に負けないでください。

就職活動というゲームのルールは、吃音に悩んでいる人に対して、悲しいほど無慈悲です。全然優しくありません。

「自分はいらない人間なんだろうか」・「自分に価値はないんだろうか」と何度も思わせてきます。

けど、吃音で上手く話せないからといって、皆さんの価値が下がる事は絶対にありません。

重たすぎるハンディキャップを背負いながら頑張り続けている皆さんは、本当に凄いです。

私の大好きな「コムドット あむぎり」さんも、吃音症というハンデを抱えながらも、何百万人もの人に笑顔を与え続けています。

<「コムドット あむぎり 」さんのインスタグラムより。com.amugiri>

TVでラップバトルを行うほどにです。

本当に凄い方だと思っています。

なりたい自分になる為に、頑張り続けてください。

私も頑張り続けます。

私の伝えたい事は全て書ききる事ができました。

拙い文章ではありましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました。

吃音の治療に役立ちそうな知識を記しておきます

冒頭で私は、今でも吃音症に苦しんでいると記しました。

きっと一生苦しみ続けると思います。

しかし、苦しみながらも吃音症の治療を行っています。

以下に、私が利用している吃音症の治療に役立ちそうな医療施設や知識サイトを記しておきます。

治療施設|国立障害者リハビリテーションセンター

<成人吃音相談外来>

・国立障害者リハビリテーションセンター(HP)
・〒359-8555 埼玉県所沢市並木4-1
<※注意>
初診は予約が本当に取れません。
2ヶ月待ちとかになります。早めに問い合わせる事が必須です。

WEBサイト|川村の吃音メゾッド

<川村の吃音メゾッド>

・川村の吃音メゾッド(HP)

毎日見ています。

吃音のメカニズムや日常でやれそうな治療法について詳しく解説してくれています。



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