【第23回】『利他』

『相手のしてほしい事をやって、イヤがる事はやったらアカンよ』って、イエス様も教えてはるやん。
仏教で言うと『利他の心』な。

『素直に言う事をきいて、他人のために自らの利を差し差し出す』ような人間が増えると、管理する側にとったらメッチャ ラクやん。そやから便宜上、そう教えとるんやろなって、中学・高校の頃は思っとったわ。ひねくれたクソガキやな。我ながら。

53歳になって『本当に利他の心って大事』やなと思うようになった。大人になったら、ぎょうさんおるやん。
『自分のポケットだけ満杯になったら、それでエエねん』っちゅう人。で、そういう人がメッチャ幸せに暮らしましたとさ!になってへんねん。一時的には、モノが沢山手に入るんやけど、維持できへんかったり、『もっともっと』と思って、不満がつのったり。とにかく、そんなに幸せそうや無いねん。

ウチの母親なんて、親戚の学費を出したり、つぶれそうな、これまた親戚の会社に運転資金を貸したり。で、自分はワシが中学校の頃、使ってたジャージを着とるんよな。
『恥ずかしいからヤメてくれや、ミドパッチ(緑のジャージで近所の中学校からバカにされてた)履くのん』って言うても
『エエやん、誰に見せるでも無いし、第一、まだ使えるやんか』やって。

でな、会社引退したら、色んな人が『コレ、今年とれたお米です。食べてください』なんて、持って来られるんよな。玄関に手紙と一緒に置いてあるねん。そやから母親も言うとったわ。
『お米とか野菜は沢山くださるから、牛乳とか卵以外は買い物行ってないなぁ』『年金ももらっとるのに、申し訳ないなぁ』って。

『人生100年時代』って言うやん。
前半に貯めてきた信頼貯金の利息をもらうのが50歳以降なんやろな。
この年代になったら、いつバタンって倒れて、あの世行きになるか分からへん。脳とか心臓の血管詰まったら、一発やんか。

そやからこそ、『信頼貯金』。違う言い方したら『徳』
それをチョットでも増やしていけるようにせなアカンのやろな。

人生の前半で不幸なのは、親のせい、世間のせい。
後半で不幸なのは、自分のせい。
前半で信頼貯金不足ぎみやったから、コレからチョットずつ信頼貯金していこか。遅ればせながら。母親見習って。
お金も運も幸せも『自分以外の誰か』が運んできてくれるんやから。





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