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公共の再生

 ミュニシパリズムという言葉を初めて聞きました。地方自治体を意味する「municipality」を語源とし、政治参加を選挙による間接民主主義に限定せずに、地域に根付いた自治的な民主主義や合意形成を重視するという考え方や取り組みのことで「住民自治」とも呼べる新しい社会のあり方とのことです。
 斉藤幸平さんが提唱されている「コモン」という理念と相関性が高く、ヨーロッパではドイツのベルリンやフランスのパリ、スペインのバルセロナといった大都市でムーブメントを作りつつある。とのことで、アメリカ発のグリーンニューディールとも相関性は高いものと思われます。
 2024年の今、公共性の高いもので人々の生活の基盤となるものを、日本も含めて世界中で1980年代以降、新自由主義の波に乗り、民営化を推進してきたデメリットが顕在化してきています。地方自治体では会計年度任用職員という非正規雇用の公務員が増え、行政サービスの低下や労働者の経済的逼迫が常態化しており、教育現場では保育園から大学まで、非正規教員による指導レベル低下による受益者(児童生徒・学生)の不満の高まりや労働者の生活困窮が固定化されてしまっています。
 住まいに関しても、駅前の利便性の高い立地は大資本による高価格な物件に占拠されて、一般的な物件や公営住宅は疎外、縮小される傾向にあります。
 日本では始まったばかりですが、ヨーロッパでは水道の民営化が進行した結果、料金の高騰や価格構造や安全性のブラックボックス化が生じているとのことです。
 その反動としてのムーブメントがミュニシパリズムであり、その内のアクションの一つが公共の再生となります。
 パリでは一度民営化した水道事業を20年の民間企業との契約期間終了後、再度公営化に戻したとのことですが、日本でも新自由主義の象徴である公→民のシフト及びそれに関連する非正規雇用の拡大について検証して、再考すべき点を住民主体の原則に鑑みて整理し、次の社会システムのあり方を考えていかなければならない時期であるのは間違いないと思います。
 私が関与している不登校問題(多様な学び問題)も新自由主義に基づいた意識構造、社会システムの影響が大きいため、次世代に禍根を残さないよう検証し、必要なアクションをしていきたいと思います。



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