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マルタ島旅行の思い出

未だコロナ終息の見込みなく夏になってしまった8月現在。
毎年だいたい二回程海外旅行に出掛けるが今年は無理なので、以前旅行した場所の写真を眺めながら思い出に浸り、しばしバーチャル旅行気分を楽しんでいる。
どうせなら、記憶が風化しないうちにここに記しておこうと思った。
一緒にしばし軽いバーチャル旅行を楽しんで頂ければ嬉しい。

マルタ島(マルタ共和国)に行ったのは2016年の1月だった。
イギリスの冬は寒さこそマイルドだが暗くて長い。
季節性ウツになる人も多く私もそんな一人だ。
部屋で暖炉の火を見つめつつ、ゆったり過ごすのも嫌いでは無いが、太陽の光に当たらずにいると少しづつ気分が落ち込んでくる。
だから私は毎年冬に3、4日ほど太陽を求めて逃避行する。

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自宅から車で30分も掛からない地元の空港から約3時間の直行便フライトでマルタ島に到着する。
日本ではあまり馴染みは無いかもしれないが、マルタ共和国は現代史の中で重要な事柄が起きた場所なのだ。
マルタ共和国はイタリアのシチリア島の少し下にある大小3つの島からなる国である。大きさは淡路島の半分くらいらしい。夏は紺碧の海のリゾート地として人気がある。
首都はバレッタ(Valletta)で市街地はユネスコの世界文化遺産に登録されている。
この島は紀元前からの歴史があり、ヨーロッパとアフリカ・中近東の中継地点として幾度となく侵略されてきた。
19世紀にイギリスの領有地となり、1964年英国自治領を経て1974年に英連邦マルタ共和国となった。現在はEU加盟国。
1989年、旧ソ連ゴルバチョフ書記長とアメリカのブッシュ大統領が米ソ首脳会談にて戦後44年の冷戦時代が終結したその場所がここマルタ共和国である。

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そんな訳でマルタ共和国の公用語はマルタ語と英語である。
旅行に出掛けたら現地語で会話をするのも楽しいが、英語が普通に通じるのは気楽だ。
英語の他にイギリスの影響を受けていると感じたのがハイストリートだった。私の地元と同じチェーン店が多い事に驚いた。
首都バレッタは聖ヨハネ騎士団に作られた要塞都市なので、今も大きな頑丈そうな壁に守られゲートを通って街へ入るようになっている。

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マルタと言えば猫の島としても有名である。
首都バレッタにあるアッパーバラッカガーデン(Upper Barrakka Gardens)で沢山の猫に出会うことが出来た。

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時期は冬、気温は14℃程だったが風が強いせいか体感気温はもっと低い。
猫たちも出来るだけ陽の当たるところで日向ぼっこしている子が多かった。

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アッパーバラッカガーデンから海に向かって大砲が配置されており、正午に発射されるという。

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私の旅の目的はのんびりとする事だったので、観光にはあまり興味は無かったが、マルタで一番有名な聖ヨハネ大聖堂くらいは見ておこうと軽い気持ちで出掛けたのは間違いだった。

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割とシンプルな外観から中へ入った途端、眩しいほどの黄金色の装飾と隙間なく描かれた天井画。

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あと天使のラッパが長すぎて壁を削って納めたという彫刻。もちろん素晴らしいけど、そういう逸話があると忘れられなくなる。

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バレッタからバスで20分くらい離れた郊外のリゾート地区に宿泊しながら周辺を散歩したり、ホテルからはバレッタ経由でバスに1時間くらい揺られて小さな漁村マルサシェロック(Marsaxlokk)へ出掛けてみたり、朝起きて気分のまま脚の赴くままプラプラした。

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マルサシェロック(Marsaxlokk)の伝統的なカラフルなルッツと呼ばれる船はどれも個性的で可愛い。船に眼(オシリスの目)が書かれているものもあって、古くはフェニキアの時代から漁師達を海難事故から守る魔除けらしい。

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一日の半分は出掛けて、あと半分はホテルのバーで一人でお茶飲んだり、スパのプールで泳いだりして過ごした。夏に賑わうリゾート地のシーズンオフである冬は観光客はかなり少ない。
だから、私はあえて冬にリゾート地へ出掛けるのが好きなのだ。
一人でバーでお茶していると、暇そうなスタッフが「お客さん、どちらから?」と話し掛けてきた。リーズから来たと答えると、「さっき、ここでお茶飲んでいたカップルもリーズからだそうです。私はフットボールが好きで、しょっちゅうロンドンへ試合観に出掛けるんですよ!」と楽しそうに語っていた。

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宿泊ホテルはリゾート地区より崖の上の方にあって、近くにバス停が一つしか無かった。
30分に一本くらいしか来ないバスに乗るため、少し早めにバス停に行ったら年配のカップルがいた。そのカップルが「何処から来たの?」と話し掛けて来たので、イギリスのリーズからだと答えた。そのカップルはドイツから来たそうだ。暫くすると、少しづつ近隣のホテルからバス停に人が集まってきた。
誰か来るたびにお喋りの輪が広がって、バスを待つ時間がさっぱり苦では無くなった。

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冬なので宿泊していたホテルの外のプールには入れないので、スパの温水プールを利用していたが、殆ど貸切状態だった。
ある日プールで泳いでいたら、女性3人組が入ってきた。
耳に入ってきた言葉は日本語だった。
更衣室で3人組のうち2人に遭遇した。
思い切って話し掛けてみた。やはり日本人だった。
日本から直接マルタにはフライトが無いので、トルコ航空でイスタンブール経由のパッケージツアーで来そうだ。
いつも3人で旅行をしているらしく、前年にはロンドンへも旅行したと話していた。
ふと日本の話になり私の出身地を聞かれた。そのうちの1人は昔は私の出身地の近くに住んでいて、さらに出身高校が同じだと判明した。私よりも年上の方なので接点はなかったが、マルタ島の数あるホテルの中同じホテルに泊まっていて、しかもほんの数時間しかいないプールで同じ出身校の人に出逢うとはなんという奇遇。

私の母がオランダ・アムステルダムのスキポール空港で私との待ち合わせ場所へ歩いていた時、前から来たヨーロッパ団体ツアーの中に母の友人が居て驚いたという。お互いに旅行に行く事は知らなかったらしい。
アムステルダムのスキポール空港はヨーロッパへのハブ空港なので、ありえなくは無いだろうが確率的にはかなり低いだろう。

旅行中のこういう奇跡的な瞬間は体験するのも、そういう話しを聞くのもとても楽しい。

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私が旅に出た時いつもやりたい事は海を見ながら朝のコーヒーを飲む事だ。
出来そうで案外完璧な条件が揃う事は少ない。
マルタでは朝焼けを見ながらコーヒーを飲む事が出来たので、まぁ良しとしておこう。
さて、次はいつ何処で海を見ながら朝のコーヒーを飲む事が出来るだろうか?

*** おまけ ***
バレッタの国立考古学博物館で見た巨大なコーヒーカップ!?

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読んで下さってありがとうございます💝