この記事は「Happy Elements カカリアスタジオ　スタッフアドベントカレンダー2021」の20日目の記事です。

今回のアドベントカレンダーでは、Happy Elements カカリアスタジオのスタッフに『カカリアスタジオの仕事』をテーマにインタビューを行っています。様々な職種のスタッフが、どんな仕事を担当したのか、普段どのような考え方でモノづくりをしているのかをご紹介します。

2021年のアドベントカレンダーの20日目は『あんさんぶるスターズ！！』チームのシナリオライター 木野誠太郎さんにお話をうかがいました！

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【略歴紹介】木野誠太郎（きの せいたろう）／シナリオライター。Happy Elements株式会社に社員として所属しながらフリーランスの小説家としても活動。『マジョカ†マジョルナ』『あんさんぶるガールズ！／！！』『ラストピリオド – 終わりなき螺旋の物語 –』などを経て、現在は『あんさんぶるスターズ！！』チームで活躍中。

作家活動をしながらゲームのアシスタントディレクターとして入社

ー まずは自己紹介をお願いします。木野さんはHappy Elements株式会社に入ってどれくらい経つんでしたっけ？

2013年からなので、8年ぐらいでしょうか。
大学時代に同人誌が目に留まり、編集者付きの作家の卵として過ごしていたのですが、卒業後の進路を考える中で、自分が持っているスキルを活かして働けるところを探していて見つけたのがHappy Elements株式会社でした。
「『Happy Elements』……怪しげな名前の会社だな」と思って面接を受けに行った記憶があります。

ー 昔から小説などは書いていたんですか？

昔から読書をよくしていたのですが、そのことがきっかけで中学生時代の友人に誘われて小説を書き始めました。
その後友人とは別の高校に通うことになり疎遠になるのですが、高校・大学と文芸部や演劇部で小説や脚本の執筆を続けていました。

ー 入社されて、最初の頃はどういった仕事が中心だったでしょうか？

実は最初は「ライター」ではなく「アシスタントディレクター」として入社したんです。
当時は『マジョカ†マジョルナ（以下 マジョマジョ）』チームと『あんさんぶるガールズ！（以下 あんガル！）』チームに配属され、 スクリプト（シナリオをゲーム内でのストーリー形式にしたり、ストーリー中の演出などを行う業務）やフレーバーテキストの仕事をしていました。

他にはキャラクターの設定資料の制作や、短めのシナリオを書いていました。キャラクター資料を作る仕事は特に印象に残っています。「こういう風にゲームは作られてるんだ」と、ユーザーからクリエイター側になって新鮮だった記憶があります。

ー キャラクターの資料などもライターに近いポジションの方が作っていたんですね。今でもそういう体制のチームはあるんでしょうか？

『メルクストーリア』や『ラストピリオド』など、新規ユニットが追加されるタイプのゲームだと、今でもそれに近い形だと思います。
基本的にはライターが自分で考えたキャラクターの設定資料を自分で作るという感じですね。

【キャラクター設定資料】
イラストレーターがキャラクターを書き起こすにあたり、イメージや設定、口調などをまとめた資料

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『あんさんぶるガールズ！』でライターとしてステップアップ

ー その後本格的に『ライター』としての仕事が増えてくると思うのですが、転機になった仕事や、印象に残った仕事はありますか？

『マジョマジョ』時代のシナリオの評判が良く、シナリオ需要の高い 『あんガル！』 チームに完全異動したのがきっかけです。

当時の『あんガル！』はイベントとイベントの間に、新規シナリオのないPvPイベントの期間が少しあって、当時のリーダーから「PvPで解放される中編ストーリーを追加したい」と言われ、そこで本格的にシナリオを書くようになりました。

『あんガル！』時代の話でも特に印象に残っているのは、第2回 君咲学院選抜総選挙です。

69人の個別ストーリーに分岐するというシナリオを書いたんですが、当時ストーリー中にシナリオが分岐するというシステムは『あんガル！』にはなくて、その時の担当プログラマーの方に相談して新しい機能として実現していただきました。

従来の枠を超えた企画をライターから提案でき、ユーザーさんが喜んでくれた ことが嬉しかった記憶があります。

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『あんさんぶるスターズ！！』では、ゲーム以外でも幅広く活躍

ー 『あんガル』『ラスピリ』などを経て、現在は『あんさんぶるスターズ！！』チームに所属されています。最近担当したお仕事について教えていただけますか。

『あんスタ！！』では基本的にはアプリ内のイベントストーリーの執筆を担当しています。

他にも最近だとMV上映会 『ES Music Garden（以下ESMG）』のMCパート であったり、11月に情報が解禁になった、特別上映アニメ『あんさんぶるスターズ！！ -Road to Show!!-』の脚本 などアプリ外の施策についても担当させていただいています。

ー ESMGの話が出たので少し詳しいお話を聞きたいのですが、ESMGについて、こだわった点や難しかった点などはありますか？

ESMGではアイドルたちがライブをするのですが、近いコンテンツで『あんさんぶるスターズ！！DREAM LIVE（3Dライブ／通称スタライ）』があるので、そちらとの差別化に気を配りました。

『スタライ』の場合はファンの方々に向けての言葉が多いですが、ESMGの場合はゲーム内MVを扱うこともあり、『あんスタ！！』のストーリーの延長線上にある、アイドルたちの普段の会話に近い印象になるように意識しました。

また、MV自体がかなり力のあるコンテンツなので、それを邪魔しないような、簡潔にアイドルの魅力を伝えられるような言葉を選びました。

ー 木野さんは社内のライターの中でも幅広くいろんなところで活躍されている印象があります。そのあたりは何か理由があるのでしょうか？

シナリオ執筆の速度と精確さ、ディレクターの要望を汲み取るスキル、そこから生まれる 『信頼感』 でしょうか。

アプリ外の施策はゲーム内シナリオと違って不確実性が高いため、新しい仕事を任せてもらうためには普段から周囲の信頼を得ておく必要があります。

そのためには、ディレクターの要望を細かく汲み取ったり、スケジュールに余裕を持ったシナリオ提出をしたり、媒体に応じて他の作品や市場の調査・研究をしたり……そういった地道な積み重ねを続けています。

おかげで、『ラスピリ』チームでは一部メインストーリーを書かせていただき、『あんスタ』チームの社内ライターとしても最も多くのシナリオを書かせていただいています。

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インハウスライターと作家の両立

ー 木野さんはHappy Elementsに所属しながら、フリーランスの作家としても活動されています。「会社に所属しながら、作家としても活動する」ことについて、メリットを感じることはありますか？

私自身は現状、作家が安定的に生活するのが難しい環境だと考えていて、生活のために別の仕事やアルバイトなどで「文章を書けない時間」が増えていくのはデメリットだと考えています。

インハウスのライターとして所属することで、収入もそうですが、スキルを上げるための仕事が恒常的にあるというのは大きいメリットだと思います。
他にもメリットとしては、「ゲームシナリオには適さないアイデア」を個人作家として発表できる点がありますね。

ー 興味深い視点です。では、Happy Elementsのライターはどういった方が向いていると思いますか？　世の中には「会社に所属すると作家として活動しづらいんじゃないかな」と思われているかたも多いと思うんですが。

ご自身の筆力を活かし、チームのためにシナリオを書ける方に向いていると思います。

ゲームシナリオは作風を統一するのが一般的なため、ライターの個性が削がれるのではと思われがちです。
ですが私は 「個人の個性をベースに組織として戦える」のは大きいメリット だと思っています。
個人の力を持った人が、集団で戦うことでより良いものを生み出せるイメージです。

また、作家活動が制限されるかというとその通りではありません。
というのも、私が最初に出版したのが他社さんのゲームノベライズ作品でしたので……（笑）

当然、ゲームシナリオを書くことは競業避止のため副業許可は下りませんが、小説に関しては、普段の業務に支障を来さないかぎり広く許可をいただける認識です。

ー では最後に、Happy Elementsのライターを志望されている方に一言メッセージがあればお願いします。

ライターとして働く上で、高いシナリオ能力は前提として必要になります。
ただそれをコミュニケーションや作品分析・組織で戦うという意識で補えるのは、インハウスのシナリオライターの良いところかなと思います。

ライターには自らの筆で『0から1を立ち上げる仕事』も、『1を10に広げる仕事』もあり、そのどちらもできるのが自社のオリジナルゲームを制作するHappy Elements株式会社の利点であり魅力です。

ライターとして一緒に戦える仲間がいるのは心強いと思います。
一緒に成長していけるような方と働きたいと思っています。

（ー 木野誠太郎さんありがとうございました！）

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