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Happy Women's Map 大阪府豊中市 日本女性初全盲の情報技術者・IBMフェロー・全米発明家殿堂入り 浅川智恵子 女史 /The First Japan's Female Blind Information Technologist, IBM Fellow, a member of the NIHF, Ms. Michiko Asakawa

-日本科学未来館HP

「見えないから、気づく」
"Because I can't see, I notice."

浅川 智恵子 女史
Ms. Chieko Asakawa
1958 - 
大阪府豊中市 生誕
Born in Toyonaka-city, Osaka-fu

浅川智恵子 女史は日本女性初の全盲の情報技術者・IBMフェロー(IBM技術系最高職位)・全米発明家(NIHF: National Inventors Hall of Fame)殿堂入り。点字のデジタル翻訳システムを開発、デジタル点字図書館の基礎を構築。世界初の音声ブラウザー・ソフトウェア「ホームページリーダー(HPR)」を発明。
Ms. Chieko Asakawa is the first blind female Information Technologist in Japan, an IBM Fellow (the highest technical position at IBM), and a member of the National Inventors Hall of Fame (NIHF). She developed a digital translation system for Braille, laying the foundation for digital Braille libraries. She also invented the world's first voice browser software called "Home Page Reader (HPR)."

「繋がっていたい」
 智恵子は会社員家庭に生まれ水泳に夢中になります。ところが、11歳の時にプールでの事故をきっかけとして14歳のときに視力と「体育大学に進んでオリンピック選手になる」という夢も同時に失います。それでも家に引きこもることなく学校に通い続けます。「社会と繋がっていたい、学校と繋がっていたい、友達と繋がっていたい」。自分で教科書は読めず、辞書も引けず、授業についていけない中、興味のある英語の教科書をテープに吹き込んでもらって丸暗記を始めます。驚いた先生・生徒たちがサポートしてくれるようになります。「目が見えなくてもいろいろなことを楽しみたい」。高校は盲学校に通い、とにかく途方に暮れながら一から点字を学び、さまざまな基礎的なトレーニングを受けながら、陸上・水泳・スキー・スケートなど挑戦します。「何か自分にしかできない仕事に就きたい」。智恵子は通訳を目指して追手門学院大学文学部英文科に進学、アメリカ留学もします。会議通訳のために膨大な点字資料を四苦八苦して読み込む中、情報技術・ITエンジニアという新たな職種を知ります。早速、智恵子は視覚障がい者向けの情報処理トレーニングを提供する専門学校に2年間通って必死でプログラミングを習得。IBM東京基礎研究所で唯一の視覚障碍者の学生研究員として、英語テキストを英語点字に変換するプロジェクトに参加します。「あきらめなければ道は開ける。不可能は可能になる。」

「自分にしかできない仕事」
 
智恵子は視覚障害者向けの点字をデジタル化するプロジェクトを立ち上げます。点字タイプライタを使って直接紙に点字を打つのではなく、パソコンで編集した文章を点字プリンタで出力できる新たなシステムを開発。さらに全国のボランティアはじめ点字図書館をネットワークでつないで点訳データを共有、デジタル点字図書館(現在のサピエ図書館)の基礎を作ります。東京で点字翻訳されたものが、その日のうちに日本中で共有できるようになります。結果を出した25歳の智恵子はIBMの視覚障害者としては唯一の研究員として採用されます。そしてPCが登場。結婚・出産・育児をやりくりしながら、智恵子は「ネットは見るだけでなく音声でもアクセスできる」と周りの目の見える研究者の偏見を拭いながら、視覚障がい者向けにウェブページを音声で読み上げる世界初の音声ブラウザー・ソフトウェア「ホームページリーダー(HPR)」を発明。マウスのかわりに数字キーパッド(テンキー)を操作するだけでリンクを読んだり探したり、Web上の情報を行読みしたりパラグラフ読みできるようにします。すると視覚障碍者さらに運転中のドライバーや高齢者のための音声ナビゲーション・システムに発展。この功績が認められ、智恵子は全米発明家(NIHF: National Inventors Hall of Fame)に日本女性初で殿堂入りを果します。「障がいがあるということは大変でも健常者とは違う視点でいろいろな技術を生み出すこともできる。」

「障碍者支援技術でイノベーション」
 ウェブ上に視覚的な情報がどんどん増え音声認識が難しくなっていく中で「視覚障碍者が視覚を使わないで、触覚と聴覚だけで、どこまで視覚情報を認識できるのか」智恵子は43歳で東京大学大学院工学系研究科博士課程に進学します。技術開発リーダーとして障碍者支援プロジェクトや、アクセシビリティー実現のための研究を続け、51歳で日本人女性初のIBMフェロー(IBM技術系最高職位)に就任します。「もっと気楽に町歩きがしたい」「周りの雰囲気を楽んでショッピングしたい」。智恵子は視覚障害者の自由な移動を助けるナビゲーションロボット、AIスーツケースの実用化に向けて取り組みます。センサーやモーターを内蔵したスーツケースにスマートフォンであらかじめ目的地を入力、スーツケースのハンドルを持つと自動的に動き始め、センサーが周囲の障害物や人物を認識して持ち手部分の振動で方向を知らせ、スマートフォンから音声で到着や店舗の情報などを知らせる仕組みを、オープンソースとして広く社会に公開します。61歳の智恵子は、宇宙飛行士・毛利衛に続く日本科学未来館の2代目館長に就任。研究者や開発者はじめキュレーターや運営スタッフと一緒に、みんなが自分事として社会課題を実感できるように2年をかけて常設展示リニューアル。障碍者を支援する技術で社会に変革をもたらすべく、来館者と一緒に社会実装実験に取り組みます。「他の人たちと違う視点を持つことは想像力のリミッターを外すきっかけになる。」

-『見えないから、気づく』浅川智恵子著(聞き手:坂元志歩)ハヤカワ新書2023年
-IBM
-サピエ図書館
-日本点字図書館
-日本科学未来館

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