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#5 古民家暗中模索中 イベント編その2

DAY17 5月3日 人が集まってくる

プレイバック・シアター ラボの合宿の日だ。
この古民家は3月に片づけ始めたばかり。
トイレは汲み取り。電気はつかない。夜はヘッドライトで入らないといけない。
水道はお水のみ。
お風呂は入れない。
参加者の皆さんは、わざわざこの不便な家に来て3日間の共同生活をするのだ。
なるべくならそのことを楽しんでもらえたらいいなと思う。

午前中に最後の片付けをやりながらも、足りないものやお昼の買い出しに
車を出してあちこち走り回る。

みんなは13時に伊太祁曽神社に集合だけど、早めにくる人、遅く来る人とみんながバラバラにやってくる。
家なので、大丈夫。それらを広く受け入れられるのだ。

わたしが竹由庵に着いた時には、多くの人がまったりと家でくつろいでいた。

この家はとにかく風通しがいい。
50年以上人が住んでいないけれど、こんなにかび臭くない古民家ははじめて!と言われるほど、とにかく湿気ている部分がない。
それがこの家の強みだ。

みんなが居て、その間を風が通り抜けていく。
縁側も広いので陽は家の中にあまり入ってこない。

この後の数日間、とにかく快適に過ごしてもらえたらと願う。

午後から遅れた人を迎えてから伊太祁曽神社へ。
明日、ここでお祭りがあるため、神社もその準備に余念がない。
普段は人が少なくてシンとした感じだが、今日は人の出入りがあって
神社自身もそわそわしている感じがする。

お水を汲ませてもらい、神社の中にある古墳を見る。
この古墳は小さい頃中に入れた。
不思議な場所。


お水を汲める場所でパチリ


うららはいつも中途半端なピースと目を閉じて映るというこだわり


竹林も見てもらう。

向かいのおじさんがタケノコあったら掘ったらいいと鍬を貸してくれる。

はたしてちょっとあった。
せっかくだから掘ってみる。

帰ってから、みんなで初の料理。
串本から買ってきた干物や掘った筍をゆがいたもの、ふき、それからうちから持ってきた糠漬けなどを用意して、ご飯を炊いてお汁も用意する。


金華さばの干物 


平飼いの生卵で卵かけご飯をする人も
なんとか炊けた!6合!

みんなでご飯食べるっておいしいなあ。としみじみ。
串本から干物いっぱい買ってきてよかった!!
ご飯を食べたら、みんなで銭湯へ。
以前の下見の時にも利用させてもらった手平温泉。
昭和の雰囲気たっぷりの銭湯。
電気風呂がお気に入り。


帰ってきたらあっという間に10時過ぎ。
長い1日は終わった・・・。

明日は昼からもう一人がご参加される。
わざわざ和歌山までありがたいなあ。

気絶するように寝た。


DAY18  5月4日 竹林へ

朝早くに目覚める。

男女7人8畳と10畳の二間で寝袋で雑魚寝。
2日の夜は3人だったせいか、またはお風呂に入らなかったせいか
すごく寒かったのに、3日の夜はとにかく暑かった。
電気風呂が効いたのかな。

朝から昨日のご飯の残りとお汁を温め直し、朝からみんなすごい食欲!
あっという間に平らげて、あ、お米足りないことが判明!家からもう一度持ってくることにする。
9時から竹林に入るつもりが、なんだかんだで10時過ぎ。
よしだのおじさんが、
9時から山で待ってるんやで!!と呼びにきてくれる!
ああ、そうか!!きてくれてたのか!
よしだのおじさんは筍掘りの名人。いろいろと詳しく教えてくれる。
ずっと前に4日に掘りに行くつもりです、と告げたきりだったから
まさか待っててくれるとは思っていなかった。





今回も缶ジュースやコーヒーを用意して待ってくれていた。
そしてみんなにレクチャーしてくれた。
ありがたいなあ。

わたしは少し山で作業をしたのちに、山を降りて家でお米を1升6合用意する。
これなら足りるだろう!
そしてお弁当をもらって13時半にもう一人合流する人を迎える。
今日は伊太祁曽神社はお祭りのため車を乗り入れることができず。
その手前で待つことに。
すごくいい天気だ。
みんなはお腹を空かせているだろうなあ。

合流して、お弁当を持って山へ行く。
慣れない作業でぐったりしてるかと思えば、なんと!竹林が見違えるように光が入っている。
なんで?すごい!!いつのまにかみんながチームで動いていた。

お昼で〜す!
の掛け声に集まってきた人たちの顔つきはみんなイキイキしている!!
今年は筍の不作と言われているのに、おじさんの指導のもと、ちゃんと見つけて掘っていた。
さすが、わざわざ不便な古民家の生活を選んできただけあって、それぞれがやれることをしっかりとやっていた。

男子はひたすら切って倒す
そして掘る
女子だけで道を作成してくれた!!すごい!!

帰ったら夕飯の段取り。
今日は汗もかいているのでしっかりと温泉に入るため、早めに夕食を作っておいて
帰ってからゆっくりと食べようという算段。

二日目ともなればみなさん早い!

そして今日はカレーなのであった。
私の秘伝のスパイスを羽地さんに託す。
とにかくみんなやたらと米を食べるから、一升6合炊いた。

温泉は花山温泉に行く。
ここは私の大好きな温泉。
みなさんをお連れできるのが嬉しい!
温泉では久しぶりに冷泉と温めた温泉との交互入り。
そして露天風呂。
ほんま、気持ちよかった!

そしてちょっと見ない間に、どくだみソフトクリームなるものが登場していた!
食べてみると、後味にかすかにどくだみの香りがする。
悪くない。また食べてみようと思う。

ドクダミソフト悪くないという顔


帰ってからカレー!
いや〜!美味しかった〜!!!
みんな大皿山盛り二杯以上は食べたので、かろうじて朝食の分が残ってるくらいにとにかく食べた。
すごい!

竹のお皿で死ぬほど食べる
レタスも竹皿に盛る。なんか美味しそうよ!

夜はホテル泊のゆきのさんを送りにみんなで駅まで散歩する。

昭和の匂いのするタバコやさん
まるで女優のような感じでイチゴ電車に乗る人

あっという間に帰りの電車の時間が来て、みんなで駅まで送る。
たまという猫が駅長さんで有名な線。
そしていろんな種類の車両がある。
たま電車、いちご電車、うめぼし電車などなど。
実は私は貴志川線に乗ったことはないけど、初めて来た人は、どんな車両に乗れるか楽しみにしているみたい。

帰ってきて片づけたらやっぱり気絶するように寝てた。


DAY19  5月5日 みんなが帰る日


あっという間の3日間だった。
この家にこんなに人が集まってこんなに楽しい時間になるとは今年の3月まで思ってもみなかった。
全員気持ちよく不自由さを楽しんでくれた。
ほんとうにありがたかった。

朝ももちろんカレーの残りを食べて、そしてプレイバックシアターをする。

この家でプレイバック・シアターするとは思いもよらなかった。
最初はこの3日間の思い出から、どんどんそれぞれの人生の話になる。
笑ったり泣いたりしながら時間はあっという間に過ぎていった。

最後にこの間串本で買ったハガキをプレゼントする。
これは、昔の絵葉書や雑誌の復刻版。

なんかかっこいい!


和歌山という場所を近しく思ってもらえるとうれしい。

朝食にへっついさんで焼き芋を作る
残ったご飯をおにぎりにしてみなさんにもらってもらう


みんなが帰ってからも、この家の掃除をスタッフ3人でする。
排水の溝掃除を最後に3人でする。

気になってたのよ。

家の掃除を終えて、荷物をまとめて、3人ともお昼ご飯を食べていないことに4時ごろに気づく。
羽地さんお気に入りの珈琲もくれんでそれぞれサンドイッチやトーストを頼んで
ざっと合宿のふりかえりをする。

誰一人怪我なく、この3日間を終えられて本当によかった。

今回のメンバーには家との特別な縁を私が勝手に感じている。
だってこんなに不完全なのに、それを楽しんでもらえたのはすごく嬉しかった。

またきてほしいと心から思う。

家は、人がいてなんぼなんだな。
人がいない家は家にならないんだな。

そんなことを思った3日間でした。