まもなく子宮体がんの手術をしてから２年がたちます。抗がん剤によるダメージがまだ少し残っていて、指先のしびれ、筋肉や関節の動きが鈍い部分もあります。もう一度、抗がん剤治療を乗り切るコツを振り返ります。

【なぜ急に転ぶの？足の筋肉構造と浮き指】

回数を重ねるごとに慣れて楽になるのかと思っていたら、実際は逆でした。
抗がん剤のダメージは体に蓄積されて、後半戦になるほど重くなります。
一日２４時間のうち食事とトイレ以外ほとんど寝たきりなので、足首、膝、股関節が硬直してしまいます。
人は寝ているだけでも肩がこるのですね。
適度なストレッチはとても重要です。
最後の方は急に足の力が抜けて転ぶ事が何度もありました。どうしてなの？とボディメンテナンスのドSな綾子先生にたくさん質問しました。すると…
「腕立て伏せで筋肉がパンパンになって急にバタッとつぶれた経験はありませんか。それと同じ事が足にも起きるんですよ」
関節が硬直して筋力が弱って、腹筋背筋で体が支えられずに前傾姿勢になります。
すると太ももの前側の筋肉、大腿直筋に体重が集中します。
100％に近い負荷に耐えきれず、急に力が開放されてバタッと倒れる。
えー！そうなんだ。
「このとき重要なのが、浮き指です」
なに？『浮き指』って綾子先生なんですの？
「立っていて足の指が床から浮いてるでしょ？ほら力が入ってない！地面を指で掴めてないから、体の軸が前に傾いても踏ん張ることが出来ないの」おー！指浮いてるワタシ…
「太ももの筋肉も負荷に耐えられなくなって、足の指も急には体を支えられずに、ストッパーを突然外されたみたいに前へストンと転ぶでしょ」
先生どこで見てたのというような解説。足の指は想像以上の働きをしているのですね。
何度も書きますが「浮き指」注意です。
前傾姿勢になると、太ももの後ろ側ハムストリングはあまり使わなくなります。足の筋肉は前側と後側でバランスを保たなければ歩行運動がスムーズに出来ないのだそうです。

何もないところで転ぶと情けなくて惨めで悲しくなります。寝ていて足がつると、痛くて苦しくて、孤独が怖くなります。
足の筋力が落ちないようにストレッチやゴムチューブなどで軽く負荷をかけて、少しでも体を動かしましょうね。寝たままでも出来るリハビリもありますから。
大切なのは楽しみながらやることです。

【荒れる胃袋のケア】

骨の随から襲ってくる痛みは恐怖です。
痛み止め飲もうかどうしようか、でも胃が荒れるし、でも食欲がないし。
何を食べたらいいの？悩みは尽きません。
私は食欲がない時は、インスタントのポタージュスープにパンを浸してふにゃふにゃにして食べていました。温かく粘りがあるスープは胃を保護してくれそうな気がします。そして体も温まります。
本当は細胞が元気に育ちそうな体にいいものを食べようといろいろ考えはするのですが、優先順位は「気分」が大事。
熱いと口の中をやけどするので、
ゆっくり冷ましながら、ね。

【やさしいお尻ケア】

日本の温水洗浄便座トイレは世界に誇れる文化です。トイレでおしりを洗わないなんて、もう考えられません。
お尻ケア大事です。
抗がん剤でおしりの粘膜も弱ってしまうのですよね。
大便というよりも、ちょっとずつ粘液が漏れているような感覚の下痢。
家で寝ているだけで漏れる粘液、悲しくなり涙が枕を濡らします。
排便したあと温水洗浄しすぎると、お尻の粘膜が乾いて、トイレットペーパーで拭くと痛くなりました。赤ちゃんのおしりケアは参考になります。
肛門付近だけでなく、おしりの広い範囲にボディオイルやワセリン、ベビーローションなどを塗っておくと、排便後も拭き取りやすくなります。
乾いて堅くなった肛門をケアして柔らかくなると、大便のキレもよくなる気がします。
弱ったときの「ふんぎり」大事です。
皮膚のピリピリ感が続くと、精神的ダメージが意外と大きいのです。
だから、お尻も優しく守ってね。

私は抗がん剤治療を機に、ボディソープで体を洗うのをやめました。すると今まで冬は膝や脛、肘など粉が吹いてカサカサ乾燥肌だったのが、キレイに治りました。痒くてかきむしって血が出ることもあったのがウソのようです。刺激の強いボディソープで、せっかく肌を守ってくれている保護バリアを無理やり剥がしていたのです。これからは肌バリアを壊さないように。みんな、何でもゴシゴシ洗いすぎなんだよね。

そして、とにかく心も体もリラックス。
私はYouTubeで換毛期の柴犬やモジャモジャの保護犬のトリミングをぼんやりずっと眺めていました。よく寝落ちして、握っていたスマホをゴンッ！て顔に落としました。ひたすら冬毛をブラッシングする単調な作業のリズムは眠りを誘うのです。
トモダチはラヂオ。ラヂオはともだち。地元FM局の懐メロなどをぼんやり聴きながらいつの間にか寝落ち･･･ラヂオから語りかけてくる声は、不思議と昔からの友達と、とりとめのない話をしているようで孤独な気持ちを支えてくれました。ありがと。

長文にお付き合いくださってありがとう。
元気になってね。
どうかゆっくり眠れますように。
おやすみなさいZzz…