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コロナ感染その時どうする?正解なんて見つからない

基礎疾患のある人

私は基礎疾患に1型糖尿病を抱えるがんサバイバーです。「基礎疾患のある人は重症化する恐れがあるので注意してください」何度もこの注意を受けて感染対策を怠らず過ごしてきたつもりです。ワクチンもファイザー製を三回接種しています。しかし、新型コロナウイルスに感染してしまいました。
感染したら、基礎疾患がある人は優先的に診察を受けられるの?基礎疾患による合併症を防ぐための治療もすぐに受けられるの?これらの疑問は何も解消されないまま、十日間のコロナ隔離期間は自動的に終了しました。
私は重症にはならなかったものの、容態が急変する人もいます。何が起きてもおかしくはなかったと思います。私はどうすればよかったのでしょうか。

この高熱と喉の激痛はコロナに違いない。いつどこで、どのようにして感染したの?あれだけ注意していたのだから自分だけは感染しないと思っていたのに。間違いであって欲しいと思いながら、片っ端から医療機関の発熱外来や役所などに電話をかけ続けました。
しかし、私が新型コロナウイルス陽性と判断されたのは、高熱と喉の激痛が発症してから五日目のことでした。職場から送ってもらった医療用の抗原検査キットで陽性と判明。その結果をオンライン診療で医師に伝え、ようやく正式にコロナ陽性との診断が下されたのです。しかしすでに体温は36度代まで下がってコロナ特有の症状は落ち着いでいました。
どんなに電話をかけ続けても、医療機関での診察は予約も取れず、ワクチン接種の時に処方されていた解熱剤アセトアミノフェンを飲んで耐えるしかなかったのです。かかりつけ医も発熱外来の受け付けを中止していて、どうすればどこで診察してもらえるのか、答えはどこにもありませんでした。

基礎疾患の治療ができない

今は鉄道のターミナル駅や公共施設などで無料のPCR検査や抗原検査を予約無しで受けることが出来ます。(2022年8月現在)
しかし発熱や咳、喉の痛みなどの症状がある場合はこれらの検査を受られません。
発熱外来の診察を受けるよう指示されます。
発熱外来でコロナ陰性と判定されなければ基礎疾患などで通っている普段の診察が受けられないのです。
私は基礎疾患に1型糖尿病を抱え、2年前に子宮体がん手術のあとに抗がん剤治療も受けています。そのためいくつかの診察予約をキャンセルしなければなりませんでした。
まずは眼科の糖尿病黄斑浮腫。糖尿病による合併症で目の黄斑という組織がむくんで視力に障害が出るため、定期的に眼球に直接注射を打たなければならないのです。
発熱してから二日目。まだコロナと判定できない状況でしたが、「体温38度で喉の痛みがある」という〝状況証拠〟ですでに診察はキャンセルしなければならないと思いすぐに電話をかけました。
私「熱が38度あって喉も痛いので予約キャンセルしたいのですが」
病院「発熱!外来の診察は受けましたか」
私「どこも予約とれず・・・まだ陽性かどうかもわからなくて」
病院「コロナの場合10日の隔離期間があるのでまず診察を受けてください」
ええ、そうですよね。ずっと電話かけ続けてもどこもつながりません。携帯3台駆使していろいろ調べていますが、苦しい・・・
とりあえず再来週どこか空いている日を。
病院「それが隔離期間は一応の目安なので、その期間で症状が治まらない人もいますから、熱や咳の症状がなくなって隔離期間が終了と判断されてから改めて予約を取り直してください」
それはそうだ。10日で治らない人もいるはずだし、私は基礎疾患があるのだからなおさら慎重に判断しなければ。
病院「申し送りにコロナの疑いで7/31に発熱と書いておくので、次回の電話で判定結果と隔離期間の終了日を伝えて下さいね。どうぞお大事に」
そうだ。医療現場は守らなければならない人たちがたくさんいるのだった。
私も、他者も、守られるべきであるけれど、もはや無策。

もうひとつ、8月はがんの定期検診も予約していました。
私は2020年に子宮体がんの手術を受けています。1年目は1か月に1回。2年目は2か月に1回。血液検査や細胞診などでがんの転移がないかを調べるもので、これは10年続けることになっています。今のところ怪しい影や血液検査の腫瘍マーカーといわれる数値に異常は見つかっていません。検査が1か月抜けたくらい大丈夫ではないかと私は思っていたのですが、主治医によりますと検査を1か月先延ばしにすることで比較データが抜け落ち、結果として異変を知らせるサインの見落としにつながるのが怖いのだそうです。
がん検診での見落としや基礎疾患による合併症、その上でコロナが重症化したら、さらなる多重衝突事故が起きることは目に見えています。
それでも発熱外来の診察を受けて「コロナ感染ではない」という逆説の証明ができなければ、基礎疾患の治療や診察を受けることができないのです。
電話の応対はどこもグルグル回る繰り返し。
かかりつけ医で相談して~発熱外来に電話して~保健所に聞いて~発熱外来の番号をお伝えしますね~3日目くらいにはつながるらしいですから~グルグル3日経っても5日経ってもまた同じ。

お守りはパルスオキシメーター

今回経験してわかった必需品は体温計、解熱剤(アセトアミノフェンなど)うがい薬、のど飴、氷枕。体温などの病状記録メモは医師の診察や隔離期間の設定などに役立ちます。そして指先に挟んで動脈血の酸素飽和度SpO2を計るパルスオキシメーター。コロナ発生当初はそもそも商品自体が品薄で入手さえも困難でした。ネットでは粗悪な外国製品もかなり高額で取引されていたようですが、今は適切な値段で日本製品も入手可能です。
私はもしもの時に備えてコロナに感染する少し前にパルスオキシメーターを購入していました。
手術で入院した時に常に計っていたので、動脈血酸素飽和度がなぜ重要なのか、知識ではなく体感として記憶していたからです。
入院中に容態が悪化する患者は、間違いなく酸素飽和度が低下するのです。
エンジンと同じで新鮮な酸素を取り込むことができなければ心臓は血液を循環させることができないのです。
コロナが重症化すると肺炎で呼吸が苦しくなるといいます。肺炎を起こしているかどうか病院でCTスキャンなど検査ができればよいのですが、いまの医療現場の状況を考えると、検査までたどり着くことは難しいでしょう。
パルスオキシメーターの動脈血酸素飽和度は重症化の目安として重要なのです。
とはいえ、重症患者が救急搬送で足止めされる状況ですから、これで計ったからといってすぐ救急搬送の順位が上がるわけでもないのですが、私はお守りのようにこのパルスオキシメーターの数字を眺めては「98%だから大丈夫」と心の支えにしていました。
基礎疾患がない人には一つ数千円もするこの小さな医療機器を買っても次に使う機会はないしもったいなと思うかもしれません。
保健所に申請をすれば貸与されるはずなのですが、ホームページの申し込み枠は予約いっぱいで順番待ち。電話もつながらず、また理由は様々だと思いますが返却率も非常に悪いそうで、次々と希望者が申し込んでも隔離期間中に手元に届く確率は非常に低いとみられます。

コロナ後遺症の息苦しさなのか

8月の猛暑はコロナ患者にも容赦なく気温は36度。体温も36度。隔離期間を終えて久しぶりに駅までの1点2キロを歩くと頭がくらくらします。
暑さのせいかと思いながらしばらくぼーっと歩き続けていましたが、なかなか速度が上がりません。10日間も寝たきりだったせいかとも思ったのですが、胸が苦しいというか息苦しいというのか、どうも肺に酸素が取り込めていないような気がするのです。日陰に入って呼吸を整えると少し楽になりました。もしやコロナウイルスはまだ体内で肺の奥深くで生息しているのでしょうか。
すぐにパルスオキシメーターで計ってみると98%でした。単純に体力が落ちているだけなのかもしれませんが、この恐怖はしばらく続くのだと思います。一度感染したから耐性ができるというわけでもないようで、二度三度と感染する例もあるようですし。4回目のワクチン接種は今打っても効果があるのか疑問なので、もう少し情報を見極めて主治医に相談するつもりです。
いま自分と大切な家族を守るためには何をすべきか。基礎疾患があってもなくても、手洗いうがい、部屋の換気、マスク、ソーシャルディスタンスの感染対策で見えない敵と闘うしかないのです。


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