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カルト宗教が牙をむく時・4~何度も騙し騙される人

【カルトと投資詐欺の手口】
オウム真理教を脱会してからの大沢ひろみ(仮名)は流行のファッションに身を包み、テレビのバラエティー番組やアイドルなどの話題も豊富で、魂のことや宗教的な悩みを抱えている様子はまったく見受けられませんでした。何度か私の職場近くて会っていますが、大沢はいつも服やブーツ、バッグが欲しい、イタリア料理が食べたい、お土産を買いたい、新宿じゃ駄目だ、渋谷に行きたい、やっぱり新宿のあの店で買えばよかったと時間の限り東京中をせわしなく歩き回るのです。
結局ぐるぐる回っているうちに本当に欲しいものは何なのか自分でもわからなくなってしまって「あーあ結局あちこち行ってもどこも一緒だ。行かなきゃよかった」と後悔するのです。
私は1回付き合っただけで懲りたので「もう買い物には絶対付き合わない」と宣言しました。
大沢ひろみに何度も繰り返し伝えている言葉があります。
「私にとってあなたは取材対象者であって松本智津夫死刑囚の刑が執行された時にカメラの前で取材に答えてもらうことが目的です。だから一日買い物に付き合う暇も興味もない」
悩みを聞いてくれる優しい人だなどと勘違いされないように。

大沢ひろみは本業の仕事以外にも暗号資産の投資など、様々な副業に手を出しているようでした。 「仮想通貨って知ってますか?そう暗号資産っていうのか、それ今はビットコインよりもリップルの方が儲かるらしいですよ。ほんと早く始めた者勝ちだからどうですか」
そう言って何度も勧めてきました。興味は無いとあしらうと、今度はなにやら錠剤を手渡してきました。
「仕事いつも忙しいでしょ?はいビタミン剤。これサンプルだからさ、タダだから」
栄養補助のサプリメント販売にも手を出しているようです。
プラスチックとアルミで閉じられたPTP包装シートには製造販売元や成分表示も何も書かれていせん。透明のプラスチックから見える錠剤にも何の刻印もありません。大沢ひろみが元オウム信者だからという理由だけではなく、何だか得体の知れない錠剤を人からもらって口に入れるなど恐ろしくて出来ません。私はこの時いつもに増して本気で怒りました。
私「口に入れるものなのに何の成分表示もないし、ただ体に良いからと勧められたって飲むわけないでしょう。何の説明にもなっていないし販売員としてあまりに無責任だよね。もし私の体に異変が起きてもあなたは何の責任も取らないし、取れないよね」
大沢「もう…ほんと頑固なんだからさ、そんな怒ることないじゃん。ねえ飲んでよ体にいいんだから絶対に大丈夫だって」
私は大沢の態度があまりにも無責任で不愉快だったので、この錠剤捨てるからなと怒鳴ると、大沢はしぶしぶその錠剤をかばんにしまいました。
私「あなたの〝絶対〟は絶対に信用できないんだよ。そうやってあなたは全く根拠のない〝絶対〟を無責任に押し売りして何人を事件に巻き込んだのか忘れた?財産を奪って、人生を奪って、命までも奪われた人たちが何人もいるんだよ」
大沢は悪びれる様子もなく、それとこれとは全然違うし…たかがビタミン剤で大げさだとしばらくブツブツ文句を言い続けました。

この数年、大沢ひろみは金儲けの話をしてくることが目立ってきたので、カルト宗教の次は詐欺まがいのマルチ商法に引っかかる危険があると、私は強く警告してきました。
私「全財産をオウムにお布施して出家までしたのに、カルト宗教を脱会した出直し人生で、物欲の煩悩にどっぷり浸かって再び道に迷うことがあってはいけないよ」
しかし大沢ひろみにはまったく響いていないようです。
私「何度だって言うよ。親しい人を勧誘して巻き込んでしまったという呵責はないの?」
暗号資産の投資もマルチ商法まがいのサプリ販売にも親戚や友人を誘っているに違いないと思い聞いてみると。
大沢「よくわかりましたね。でも大丈夫ですよ。本当に儲かるんだって親戚も喜んでいるし」
私「いやいや投資詐欺の被害が明らかになるのはこれから。最初は少し儲けさせてから元本割れが出てきて、返金を求めて訴訟を起こそうって時には計画倒産で幹部がみんな持ち逃げしているっていうのが詐欺事件のいつものパターンです」
詐欺事件の犯行グループは同じような顔触れで構成されていることも多く、同じ顧客名簿を使って何度も同じ被害者を狙い、同じ手口で金をむしり取るのです。メンバーの中には前科がある人もいるでしょうし、逆に会員には過去に詐欺被害にあった人も少なくないはずです。大沢にそう告げると。

大沢「なんでそんなことまで知っているの?幹部の人が前に訴えられて裁判になって負けちゃったんだって。でも本当はその人は悪くなくて被害者なんだって」
もう投資詐欺のお手本を見ているかのようでした。
「オウムで全財産を失ってもまだ学習しないのか。被害者は同時に加害者になり得ることも学んだはずだよね。また信用も金も失うよ。でも私はきちんと警告はしたよ」
カネの臭いを嗅いで理性を失ってしまった大沢に私の言葉は届かないようでした。
(つづく)


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