(短編小説)電気代が高いのは時代のせいではない
たまに、意識が分かれることがある。
俺は今後の人生で二度と使うこともないであろう公式を語りながら、つい5分前に確認した今月の電気代の請求額を思い出した。
高校時代にバンドでギターボーカルをやっていたからだろうか。歌いながらギターを弾く、みたいに2つのことを同時に行うのが得意になっているのかもしれない。
だから、黒板に11,732円と書くことは決してない。
ひと月の電気代。一人暮らしにしては異様に高い。この冬からの電気代の値上げがあるにしてもこの金額はあまりにもだ。