選者の方々/50音順：
井上弘美先生
髙柳克弘先生
夏井いつき先生
星野高士先生
村上鞆彦先生
山田佳乃先生

葉書俳句：

テキスト：

春：

前奏の長くうれしいひなまつり　ハードエッジ
座布団の猫を退かせて雛の客　ハードエッジ
しほ水のいつもと違ふ浅蜊の夜　ハードエッジ
親に似るものか浅蜊の縞模様　ハードエッジ
蒲公英の盛り踏まるる盛りかな　ハードエッジ
蒲公英に弱気の花はなかりけり　ハードエッジ
磯遊び黒船を見し子らの裔　ハードエッジ
立つてゐるだけの灯台磯遊び　ハードエッジ
野に遊ぶ子らを見てゐるそれだけで　ハードエッジ
蝌蚪の池すなはち蝌蚪の遊園地　ハードエッジ
鳴いて済む話でもなし捨て子猫　ハードエッジ

夏：

老木の自ら励む若葉かな　ハードエッジ
夏もまた幼年期なり子供の日　ハードエッジ
筍は出たがり人は食べたがり　ハードエッジ
筍の尻の白さよ潔し　ハードエッジ
筍の竹となりつつまだ細身　ハードエッジ
香水の跡を警察犬が追ふ　ハードエッジ
香水の匂ふが如き斜陽かな　ハードエッジ
夏休み半ばの坊主頭刈る　ハードエッジ
変てこな塔の工作夏休　ハードエッジ

秋：

朝顔やその日その日を全力で　ハードエッジ
朝顔や朝餉の後の洗ひ物　ハードエッジ
爪紅の花より小さし子らの爪　ハードエッジ
妹をおぶふ子もなし鳳仙花　ハードエッジ
種飛んで発条も散り散り鳳仙花　ハードエッジ
大根のまだ幼きを間引くなり　ハードエッジ
切り出して一丁二丁新豆腐　ハードエッジ
四角から四角切り出す新豆腐　ハードエッジ

冬：

七五三当日の歯を磨きをる　ハードエッジ
ひんやりと神のまします七五三　ハードエッジ
先づはその心構や冬構　ハードエッジ
おでん屋の今日は出戻り娘とよ　ハードエッジ
おでん屋の壁の達筆ゆでたまご　ハードエッジ
トルストイよツルゲーネフよ暖炉燃ゆ　ハードエッジ
葱入れよ白滝増やせ薬喰　ハードエッジ
山奥に猪の母泣く薬喰　ハードエッジ
落葉食ふ虫が落葉を少し食ふ　ハードエッジ
朝方は氷でありし水たまり　ハードエッジ
叩いても割れぬ氷の憎らしや　ハードエッジ

新年：
青竹の誉れ左義長仕る　ハードエッジ

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以上です