マガジンのカバー画像

のつちえこが書いたもの

26
のつちえこが書いたものはこちらから。
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

のつちえこ短歌集「はるくれ」通販

短歌の個人誌、ついにできました! この短歌(詠草)集はのつちえこが2021年に制作した短歌作品160首が収録されています。 「かりん」誌やネットプリントなどに掲載されたものを一部加筆修正したもののほか、未発表の50首連作も載っています。 まとまった歌数で発表するのは初めての機会となります。100部のみ再販予定はありませんので、ご興味がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。 この冊子に関するお問い合わせはtwitter:@chii_edit までお願いします。 【冊子

誰が一番つらいかといえば誰ですかね(短歌連作)

金曜日 はなやかなれば明後日の花火大会うるさかろうな 新品の靴下ろすならおだやかな晴れの午前を選ぶといいと 言葉で殺すのは簡単、だし殺すなら言葉でだと思ってる 真っ暗な川をのぞけばある川底、眠る魚群、死という衝動 急逝を知らされる日は明るくて、暑くて、のちの夕立 うまそうに熟れたトマトが路に二個写真に撮ってツイートにする 懐かしのアニソンメドレー垂れ流す後で見る動画あと 個ぐらい 現場猫嫌いな話を思い出す 思い出語りに消える星屑 書くことは加害と思う 美し

個人ネプリ「ある街とわたくし」(短歌連作)

今年も個人ネプリ「ある街とわたくし」を発行いたします。 三十一首連作を掲載しています。ぜひご覧ください。 ※2021年のネプリ配信は終了いたしました!なお以下に過去作と合わせてデータを掲載していますので、ご覧になりたい方は記事を購入ください。

有料
100

生きてるんだから生のことをいうのはずるいじゃないですか(短歌連作)

開けたての木綿豆腐の肌触り 深みにはまる生きがいだった 生きてるし前提として生のことわざわざいうのはずるいじゃないですか 洗濯機爆発しそうあるとして紛争地区に横たう青天 青菜っぱ もやし しめじのローテーション どうしても泣きたくなったら泣くことにする イヤホンしたら聞こえる音があり公園にいる子たちの笑い 心臓がばくばくしてるバスドラム手を伸ばしたら弾が撃てるよ 絵本には出てくるおばけがいないこと私が犀なら教えたくない 一斉に洗濯物が傾いて風は斜めに吹く、そういえば あか

私の好きな短歌連作5篇(と入りきらなかったのを思いつくだけ)

短歌は基本的に一首で作品が完結するものですが、私は連作という形式で作品を読むのも好きです。 連作はざっくりいうと、数首〜数十首の短歌の並びを構成して一つの作品とする形式です。何かしらのストーリーが展開するものもあれば、あるテーマのもとで一つの世界観を作り上げるものもあります。 有名な一首も連作で読むと違った印象を受けることがあり、新たな一面を発見したような気持ちになります。(一首屹立派からみるとそういうブレは良しとされないかと思いますが) 前置きが長くなりましたが、自分の

Scarborough Fair(連作29首)

作品 Scarborough Fair      のつちえこ たましいはまじなう言葉にさらわれる軽やかさでいて すぐ風は来る このシャツを針も持たずに縫えたならあなたではない人を選べた  その針を指に刺しては透明な血がふくらんでこぼれて落ちる  白栲の洗いざらしにやわらかく手に滑る服のごとくあなたは その爪に泥の食い込む跡があり黙々と当然の労働 色のないスープに浮かぶ油の円をつなげては割り割ってはつなげ  今日何があったかを聞く毎日の短い返事に少しずつ飽き  手を触れて夜

読めるところ③

2021年〜で参加・掲載はこちらに。 冊子・「かりん」2017.8~ ※ 作品1B 欄になりました。2021年は「歌集紹介」、2022年は「今月のスポット」も担当しています。 ・「短歌往来」2021.6月号「今月の新人」 ・「現代短歌」2021.9月号「Anthology of 60 Tanka Poets born after 1990」 ・「短歌」2021.10月号「結社賞受賞歌人大競詠」 ・『こなっつ vol.4』短歌4首 2022.1月発行 ・『くくるす 第一号』

自選30首-2

結社誌「かりん」より ぼろんぼろんこぼしてみたい苛立ちをおさえおさえて乳首の痒み 2018.11 いとおしむふいにこぼれる鼻唄の風に消えゆくその無防備を   2018.12 星光るように怒りは華やいであなたはとてもめんどうなひと   2019.2 風に耳晒して弱音聞きとめる二月冷えゆくふざけてばかりの   2019.5 春滲む社員通用口らへんうまく言われたいばかだねぇ、って   2019.5 目の前に広がる沼のかがやきを否定している 怖いのだろう   2019.10 口笛が吹

#名刺代わりの漫画10選

Twitterのタグ遊び「#名刺代わりの漫画10選」を最近よく見かけるので、せっかくならと思いnoteにまとめてみることにしました。 私がマンガを読みつけるようになったのは、大学生になってから。所属サークルの部室に大量のマンガ本があったことがきっかけです。それまで自発的にマンガを読むことはなく、図書館にある学習マンガや手塚治虫作品、友人が持っていたコミックスを読ませてもらう程度でした。 社会人になって収入が増えると、少しずつマンガ単行本を買い始めるようになりました。物量を増

なんで短歌の結社入ったか思い出してみたんだけど【23年10月追記】

最近「結社入会について」の話題をちょいちょいツイッターのタイムラインで観測していて、層的にも短歌連作サークル『あみもの』さんが終了するのもあるだろうなあと思っています。(私も大変お世話になりました) 実際に短歌を作っていると、活動の場の選択肢として「短歌結社」が挙げられると思います。「短歌結社」は、平たく言えば短歌を作っている人たちのグループで、規模は様々です。全国いたるところにあります。どんな結社があるかは、短歌の総合誌を見るとよくわかりますが、ウィキペディアにもざっくり載

『えいしょ2020』という分厚い短歌の同人誌について

みなさん、こんばんは。12月がいきなり冬になったので驚いています。 先日お知らせしましたが、私の所属する短歌同人「えいしょ」が『えいしょ2020』という同人誌を制作し、11/22 文学フリマ東京にて初頒布しました。 文フリ後は通販を開始し、より多くの方にお求めいただけるようになっています。 以下の記事に記載のURLからお求めいただけます。中身の一部も紹介しています。 自分のnoteアカウントでお知らせしてなかったなーと思ったので、記事を書いたのですが、ちょっとだけ自分の内

読めるところ②

2020年11月以降、のつちえこの作品・文章が読めるところは以下になります。 2019年1月以前のものはこちらからどうぞ! Web関連・えいしょ同人 一首評企画「詠所」 ・短歌連作サークル「あみもの」(19号以降)  39号:EXIT 38号:犬を放つ 37号:それでも退屈だというのならそれでもいいけど、まさかそれでいいと思ってる?  31号:氷菓 28号:全然 27号:モモンガ・ショットガン  26号:ムササビ・マシンガン 24号:往還  21号:のつと書かれたビニールの

十首連作「走行距離」

車のないサービスエリアで一昨年のしけった線香花火をもやす 一台もすれ違わない高速でいくつかの亡霊ということにした光 東尋坊は僧侶の名前と教えられ悪を殺して荒れる大海 賛美歌を歌うなよって ぞんざいな怒りで何かがやれましたか 一面の集団墓地の草っぱら供花が朽ちて地に還りゆく 手の皺と皺を合わせるこのなかの運命線の途切れている箇所 転々と学校変わるさみしさをあなたから聞く 返事はしない うっすらと朝を迎えて目指す海 人はかがやくものを求めて 突然に雨が降り出し

一度聞いてほしい「般若心経」動画・おすすめ5選

般若心経、正式名称『般若波羅蜜多心経』は300字たらずの本文に、大乗仏教のありがたい教えが説かれた経典です。宗派によっては読誦しないこともありますが、日本において比較的馴染みのある経典と言えるでしょう。 実は、最近の般若心経はさまざまなアレンジを施されて、音源・動画としてアップされているものを多数見かけます。この記事では、筆者の独断と偏見に基づいた、一度は聞いてほしい「般若心経」の動画を紹介します。 般若心経 (cho ver.)(2020 mix.) × 一休寺・京都