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流氷に憧れて【5】冬の知床一人旅

時間があったので、すぐ近くのホテルKIKIリゾートで立ち寄り入浴をすることにした。温泉は先ほどの宿とは違い無色透明で、温度の違う複数の内風呂と露天風呂、それから2種類のサウナと水風呂も
あった。
私はサウナに挑戦してみた。極寒の地でのサウナを試してみたかったのだ。まずは、フィンランド式のロウリュウの出来るサウナに入り、サウナの中で流れる落ち着くBGMを聴きながら、とりあえずじっと座ってみた。じわっと温まってきた気がしたので、露天風呂の横にある屋外デッキに出てみた。しかし、やはり外は寒く、すぐに露天風呂に入った。
しばらくしてもう一種類のウィスキングサウナ
に入ってみた。自由にヴィヒタが使えるようになっていた。温度が低めでヴィヒタの爽やかな香りも相まって快適だった。冷水器のハッカ水を飲みながら、横になるような姿勢でしばらくリラックスしていたが、バスの時間が気になり、再度屋外デッキに出るも、また断念して露天風呂に入った。先ほどサウナに入っていた人が隣の屋外デッキで気持ちよさそうに横になる。私がしてみたかったことだ。しかし私には、サウナよりも露天風呂が合っていた。朝日を浴びて冬の冷たい空気を吸って長い時間浸かった。

8時半ごろ、ホテルを後にし、バス停のある道の駅まで歩いた。9時に到着し、道の駅でサーモンバーガーの朝食を食べ、少し買い物をしてからバスに乗った。残席が少なく、私は一番前の荷物置き場のすぐ隣に座ったが、外を眺めるには特等席で、晴れた海に広がる流氷や、時々動物の足跡が見える白い大地、白鳥の姿までもを見た。

斜里駅の停留所で、昨日の彼が「どこで降りますか?」と私を見つけて日本語で話しかけてきた。互いに目的地が同じことを確認し、網走道の駅で
降りて合流した。それから初めてお互いの名前を聞いて、私の空港行のバスまでの1時間ほどをGoogle翻訳で話しながら過ごした。台湾では、4か月の兵役のあと、1年間のモラトリアムがあり、彼は、モラトリアムの最後の期間を北海道で過ごしていたようだ。

空港行のバスが来て、彼と手を振った。彼はその後、北浜駅まで向かうという。
空港に到着した。あわただしく、少しのお土産と機内で食べる地元のパンを購入して搭乗口に向かった。
ついに羽田に到着。東京は2月ながら異例の暖かさで知床の防寒着では暑すぎた。

帰宅する頃、彼から北浜駅の写真が送られてきた。
私も東京の夕暮れの写真を送った。

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